更新日: 2021.12.22 その他暮らし
英語外部検定利用入試って? 英検の検定料はいくら?
英語外部検定利用入試では、事前に外部検定試験に複数回チャレンジでき、最も高い級やスコアを利用できる、というメリットがある反面、利用者の多い「英検」の受験料が年々値上がりしているというデメリットがあります。
複数回チャレンジできるといっても金銭的余裕がない家庭の高校生は、圧倒的に不利な状況です。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
英語外部検定利用入試とは
英語外部検定試験は、英検やG-TEC、TOEICなどの民間の英語検定試験を受験し、その成績やスコアを各入試に活用するものです。
▽英語外部試験を活用(活用あり+活用予定)している大学
文部科学省の調査(※)によると、英語の資格・検定試験の活用(国公私)は、一般入試では21.1%、AO入試では36.8%、推薦入試では24.4%となっています。検討(検討中+検討予定)は、一般入試では34.5%、AO入試では21.0%、推薦入試では28.0%となっています。
同調査において、英語の資格・検定試験の「活用あり」の選抜区分により入学した者(延べ人数)は、一般入試が4万440人、AO入試が2万2239人、推薦入試が3万6715人の計9万9439人となっています。
学校種別に見ると、国立大学では、一般入試が8637人、AO入試が1862人、推薦入試が2656人の計1万3155人です。
公立大学では、一般入試が181人、AO入試が273人、推薦入試が1367人の計1821人です。私立大学では、一般入試が3万1622人、AO入試が2万104人、推薦入試が3万2692人の計8万4463人となっています。
▽活用方法
活用の仕方は大学により異なります。以下の5つのパターンがあります。
(1) 出願資格
出願する上での必須要件としている。
(2) 加点
個別学力検査または共通テストの点数に「加点」している。
(3) 得点換算
個別学力検査または共通テストの点数に「換算」(置き換え)している。
(4) 個別学力検査の代替
大学独自の英語試験を設けず、英語資格・検定試験の成績のみを個別学力検査の成績として用いている。
(5) 判定優遇・合否参考
英語資格・検定試験の成績によって合否判定を優遇したり、英語資格・検定試験の成績を合否判定の参考にしたりしている。
同調査によると、一般入試における活用方法としては、国立大学ではセンター試験に換算(免除なし)が80.0%、公立大学ではセンター試験に換算(免除なし)が50.0%、私立大学では個別学力検査に換算(免除あり)が36.3%と最も多くなっています。
推薦入試における活用方法としては、国立大学では判定優遇・合否参考が34.3%、公立大学では出願資格が42.0%、私立大学では出願資格が42.4%と最も多くなっています。
▽利用可能な英語資格・検定試験
同調査によると、利用可能な英語資格・検定試験ベスト5は、
(1) 一般入試では、英検(96.8%)、GTEC(87.6%)、IELTS(81.3%)、TEAP(80.5%)、TEAP CBT(49.7%)
(2) AO入試では、英検(95.5%)、GTEC(72.5%)、IELTS(65.1%)、TEAP(58.1%)、TEAP CBT(48.0%)
(3) 推薦入試では、英検(92.2%)、GTEC(69.4%)、IELTS(55.1%)、TEAP(49.5%)、TEAP CBT(34.0%)
となっています。
受験生としては、採用する大学が多い英検やGTECを活用するのがよいでしょう。
▽英語資格・検定試験の有効期限
同調査によると英語資格・検定試験の有効期限は、一般入試では「一律2年以内」が30.3%、AO入試では「特に定めていない」が33.3%、推薦入試でも「特に定めていない」が45.6%とで最も多くなっています。
英語外部検定試験の検定料
さまざまな英語外部検定試験の中で、どれを選んで受験したらよいのか迷うかもしれませんが、各大学の入試で採用数が多いものを選ぶのがよいでしょう。ただし、TOEICやTOEFL、IELTSなどと比べると、英検は海外ではほとんど役立ちませんので日本の大学入試に特化した検定試験といえます。
ここでは、日本の大学で最も採用されている英検の検定料について見てみます。
英検は、実用英語技能検定の略で、公益財団法人日本英語検定協会が主催する英語資格試験です。1級(大学上級程度)、準1級(大学中級程度)、2級(高校卒業程度)、準2級(高校中級程度)、3級(中学卒業程度)、4級(中学中級程度)、5級(中学初級程度)の7つの級があります。
5級と4級の試験は、「読む」「書く」「聞く」の3つの技能が問われる筆記試験のみですが、3級~1級では、それに加えて「話す」の面接が二次試験に加わります。
高校生が受験するにふさわしい、準2級以上の検定料を見ると次のようになっています。2021年度の検定料は協会が直接設ける本試験会場で受検する場合、準2級は9200円、2級は9700円、準1級は1万700円、1級は1万2600円となっています。
英検の検定料は年々値上がりしており、高校生の受検が多いとされる2級は7400円(20年度)、準2級は6900円(20年度)から大幅に値上げされています。
▽検定料を安くするには
検定料を安くする方法に「準会場」の活用があります。準会場とは、協会が準会場として認めた団体(学校、塾など)が設置する試験会場です。英検2級以下で学校や塾など団体受験する場合に活用できます。準会場には、
(1) 「1次試験:準会場 2次試験:準会場」
(2) 「1次試験:準会場 2次試験:本会場」
(3) 「1次試験:本会場 2次試験:準会場」
の3パターンがあり、(1)のパターンが最も安く、2021年度の検定料は準2級が5400円、2級は6100円と本会場に比べて準2級は3800円、2級は3600円安くなっています。
小・中学生に「英検」の検定料を助成する自治体は多くありますが、高校生を対象とするものは見当たりません。お住まいの自治体に要望をしてみてはいかがでしょうか。
(※)文部科学省「大学入学者選抜における英語4技能評価及び記述式問題の実態調査(令和2年度) 」
(出典)公益財団法人 日本英語検定協会「受験内容」
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。