更新日: 2021.12.24 子育て

コロナで家計が急変。学生の支援にはどのようなものがある?

コロナで家計が急変。学生の支援にはどのようなものがある?
長引くコロナ禍が人々の生活に影響を及ぼしています。多くの大学生たちは、休校やオンライン授業で不安な毎日を送ってきました。通常授業に戻りつつあるようですが、経済的理由で学生生活を継続できないなど、将来への不安を抱く声も聞こえてきます。
 
学生の親は、応援したいという思いがあるものの、収入減少がつづき、授業料が払えないという現実もあるようです。国や各学校では、意欲と能力のある若者が学びを継続できるようさまざまな支援を打ち出しています。
 
学ぶことをあきらめる前に、どのような支援があるのか知っておきたいものです。
大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

学生が申請する支援

経済状況の悪化により学費を納めることが難しい場合は、学生が申請することによって受けられる支援がいくつかあります。
 

■高等教育の修学支援新制度

高等教育の修学支援新制度は、世帯収入が一定以下で学生に学ぶ意欲がある場合に、授業料が減額されたり給付型奨学金が支給されるものです。
 
(1)給付奨学金(家計急変採用)
通常は春と秋の募集ですが、家計急変採用は通年で申し込みを受け付けています。緊急に支援の必要性がある場合に、意欲と能力のある若者が経済的理由により進学および修学の継続を断念することのないよう返還義務のない奨学金が支給されます。
 
家計が急変したことに加え、成績等による基準や学生自身と生計維持者の所得基準など要件をみたした場合に対象となります。世帯の所得金額に基づき判定された支援区分のほか、国公立か私立か、自宅通学か自宅外通学か等により支給される金額が決定されます。
 
給付奨学生として採用されると、支給が認められた年月分から卒業予定年月まで毎月学生名義の口座に振り込まれますが、成績や出席日数が基準を下回るような場合には支給は打ち切られます。また学業不振により退学などの処分を受けた場合は返還が必要になることもあります。
 
(2)授業料等減免
給付奨学金の支給対象の学生は、授業料等の減免も同時に受けることができます。給付奨学金に申し込み後、別途学校での申請が必要です。
 
収入基準や支援の金額については、日本学生支援機構のホームページ(※2)でシミュレーションが可能です。
 

■日本学生支援機構の奨学金「貸与奨学金」

学生自身が申請し、貸し付けを受ける奨学金です。給付奨学金と同様、通常は定期採用ですが、家計急変などによる「緊急・応急採用」は通年で申し込み可能です。在籍している学校の窓口を通して申し込みます。
 
第一種(無利子)と第二種(有利子)があり、種別や学部、通学形態により上限金額は異なります。貸与型についても、日本学生支援機構のホームページにてシミュレーションができます(※2)。
在学中の返済は発生しませんが、大学卒業後に返済する必要があります。
 

■大学独自の支援策【窓口:大学の学生支援課や学生センター】

多くの大学では、給付や授業料の納付猶予・減免といった支援策が実施されているケースがあります。成績基準や返済の要否、また関連団体での運営などさまざまですが、相談してみることをおすすめします。
 

その他の制度を活用する

■「学生納付特例」申請で社会保険料の支出を抑える

20歳になると国民年金の被保険者となり、保険料の納付義務が発生します。ただし、学生については申請により在学中の納付が猶予される制度(学生納付特例制度)があります。特例期間から10年以内であれば追納することができますので、社会人となって収入が安定してから支払えば、将来の年金額は満額に近づきます。
 

■アルバイト収入がある場合には「確定申告」を忘れずに

アルバイト等で収入がある場合、支給額から所得税が差し引かれていませんか。
 
勤務先で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合には年末調整により1月から12月までの収入に対して税金を再計算されますが、複数のアルバイト先からの収入がある場合や、年の途中で退職した場合には確定申告をすることで払い過ぎた所得税が還付されるケースが多くあります。スマホからの申請も可能ですので忘れずに申告しましょう。
 

親が申請するべき支援策

新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した場合の支援として、生活福祉資金の特例貸付「緊急小口資金」や「総合支援資金」など、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付制度があります。
大学授業料など教育関連としては、以下のとおりです。

■国の教育ローン(日本政策金融公庫)審査によりますが、学生1人につき最大450万円融資可能(※3)
■生活福祉資金貸付制度(教育支援資金)【窓口:お住まいの自治体(社会福祉協議会)】

大学等に修学するために必要な費用の貸付制度(※4)。
住民税非課税程度の所得で、必要な資金を他から借りることが困難な世帯対象。
大学の場合は月6万5000円以内(特に必要な場合は1.5倍(9万7500円)まで可能)

 

あきらめないで

コロナ禍においては、思いがけず「人生」や「お金」について考える機会となりました。学生の方は、何のために進学を決めたのか、いま一度考えてみてください。
 
夢の実現のための通過点であるならば、夢に向かって、できることを一歩ずつ進んでいくことです。自分自身のこと、親のこと、社会の一員として、さまざまな観点から検討してみてください。支援を活用して継続することも、別の道を歩むことも選択肢ですが、くれぐれも後悔のないよう決断してほしいと願っています。
 
出典・参考
(※1)文部科学省 新型コロナの影響を受けた学生等の経済支援
(※2)日本学生支援機構 進学資金シミュレーター
(※3)日本政策金融公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)
(※4)全国社会福祉協議会 福祉の資金(貸付制度)
日本学生支援機構 
 
※2021/12/24 内容を一部修正させていただきました。
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士

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