マンションの管理状態を自治体が評価する「マンション管理適正化法」とは?

配信日: 2022.01.17

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マンションの管理状態を自治体が評価する「マンション管理適正化法」とは?
住まいの選択は、一戸建て持ち家、分譲マンション、賃貸住宅、社宅・寮などさまざまですが、分譲マンションの比率は全世帯に対して1割を超えています(※1)。
 
今回は、2022年から施行される「マンション管理適正化法」(※2)と管理組合の関係について学んでみましょう。
植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

マンションと管理組合の課題

国土交通省によると、マンション管理に関する現状については、次のような4項目の課題があるとされています(※2)。

●「高齢化・非居住化、管理組合の担い手不足」
●「マンションの大規模化」
●「既存住宅流通量の増加、管理情報の不足」
●「適切な長期修繕計画・修繕積立金の不足」

特に、築後40年を経過したマンションは81万戸あり、10年後には200万戸近くになるとされており、再生や建て替えも大きな課題になっています。
 
このようなマンションを取り巻く課題に対処するために改正されたのが、「マンション管理適正化法と建て替え等の円滑化法」です。ここではマンション管理適正化法について、見てみましょう。
 

改正マンション管理適正化法の骨子

改正されたマンション管理適正化法の一番のポイントは、市町村などの地方自治体がマンション管理の適正化に関わることです。
 
具体的には、地方自治体は、個々のマンションの「管理計画の認定制度」と「管理適正化のための指導・助言」をおこなうことができるようになります。
 
マンションの管理計画を「認定」することにどのような意味があるのかと言うと、市場で流通している中古マンションの管理状態を自治体が認定することで、所有者や新規購入者に対して客観的な評価の目安を提示することだと考えられます。
  
集合住宅についての長い歴史のあるフランスでは、2014年に制定されたALUR(アリュール法)によって、集合住宅を6段階に分けていますが(※3)、マンション管理適正化法ではどのようになっているのでしょうか。
 

自治体のマンション管理適正化への対応

マンション管理適正化法は2020年に改正されましたが、地方自治体は、この法律のねらいである適正化を推進するための、マンション管理の実態把握や施策が求められています。
 
国交省のガイドライン(※4)が2021年11月に作成公表されましたが、具体的な認定基準は自治体で独自に定めるか、または指定認定事務支援法人(マンション管理事業者団体などが想定される)に委託することになっており、明確ではありません。
 
また、自治体間で取り組みに差があり、必ずしも順調ではない自治体も出てくると思われます。特に、自治体は「認定や助言・勧告をできる」とされており、自治体にはすべてのマンションに対しての認定や指導勧告の義務がないのが気になるところです。
 

マンション所有者・新規取得者として知っておきたいこと

このような状況のなかで、マンション所有者などは以下のことを知っておく必要があるでしょう。

●管理適正化についての認定制度があり、2022年以降に具体化されること。
●マンションの価値は建物自体の評価と共に管理状態が大きな評価基準になること。

マンションの管理状態は、管理組合と管理会社の両輪で成り立つものですから、日ごろから管理組合の活動と管理会社の業務内容に関心を持ち、積極的に関わることが大切です。
 

まとめ

分譲マンションは、一戸建て住宅に比べて購入・処分共に短期間に済ませることができる流動性の高い不動産・住まいと言うことができます。
 
ただし、適正な価値を維持するためには、建物本体の立地や状態と共に、管理運営が大きなポイントになります。マンションの価値維持のため、マンションの管理(管理組合と管理会社)にも関心を持つことが大切になってくるでしょう。
 
出典
(※1)国土交通省 分譲マンションストック戸数
(※2)国土交通省 マンション管理適正化法の改正概要
(※3)住総研 フランスにおける新たな「不適切住宅」の実態と対策の研究 49P
(※4)国土交通省 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律第5条の3に基づくマンションの管理計画認定に関する事務ガイドライン」を策定しました
 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP

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