更新日: 2022.01.26 子育て

高等学校等就学支援金制度 を利用するといくら支給されるの?

高等学校等就学支援金制度 を利用するといくら支給されるの?
子どもを育てる保護者の方への公的な手当てとして、「児童手当(子ども手当)」と「高等学校等就学支援金制度」の2つが知られています。
 
児童手当は中学校卒業とともに受給期間が終了し、高校進学以後は高等学校就学支援金制度へと移行しますが、本制度は2020年4月の制度改正により支援金の額が大きく拡充されました。本記事では改正後の高等学校等就学支援金制度の仕組みについて解説していきます。
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

高校進学の費用負担が変わる

教育費の準備は子どもを養育する保護者にとって重大な関心事の1つですが、教育費には塾などの習い事の費用も含まれ、教育方針によって必要額が変化するため、個人差の大きい費用でもあります。また、特に高校の入学金や授業料は、私立か国公立かによってかかる金額が大きく異なります。
 
これまで国公立の高校へ進学した場合、その費用は高等学校等就学支援金制度の支給金によってまかなうことができるため、実質無償化となっていましたが、私立高校の場合は支給額だけでは不足してしまうため、足りない分は保護者が負担する必要がありました。
 
しかし、2020年4月の高等学校等就学支援金制度の改正により私立高校への進学する場合の支援金の額が大幅に拡充され、実質無償化が達成されました。なお、児童手当とは異なり、支援金は保護者などが直接受け取るわけではなく、学校が受け取ることになります
 

支援金の拡充額は?

高等学校等就学支援金制度の支援の額は、私立・国公立共に以前は年額11万8800円となっていましたが、現在は改正により私立高校(全日制)の場合は、実際の費用負担額を勘案し、年額39万6000円まで支給額が引き上げられています。
 
しかし、この支給額の引き上げは世帯の所得要件が加えられているため、世帯構成や収入状況によっては以前と同じ11万8000円または支援金が停止となる可能性があります。
 

支援金の額は世帯所得により変化

高等学校等就学支援金制度の利用の判定基準は以下の計算によって行われます。
 
・市町村民税の課税標準額 × 6% - 市町村民税の調整控除の額
※市町村民税の課税標準額と市町村民税の調整控除額は、課税証明書等で確認することができます
 
この算出額が15万4500円以下の場合は支給額が最大39万6000円となり、これ以上の場合は支給額は11万8000円となります。また、この算出額が30万4200円以上の場合は支援金が停止となります。
 
両親が共働きで高校生の子が1人だけの場合、給与による年収660万円までが支援金額39万6000円を受ける目安となり、年収1030万円を超えると支援金が停止となる可能性があります。
 
高等学校等就学支援金制度の判定の注意点として、年収ではなく保護者の所得を元にした課税標準額によって判定が行われているため、同居の祖父母などの収入は含まれません。もっとも、大学生などの扶養対象親族の人数や共働きか否かなどによっても影響を受けるため、収入要件に触れそうな方は事前にチェックしておくことをおすすめします。
 

まとめ~所得要件に注意して高等学校等就学支援金制度を活用しよう~

高等学校等就学支援金制度は、改正により私立高校においても授業料の実質無償化が達成され、経済的理由などで進学先を制限していた学生や保護者にとっては朗報となります。
 
しかし、住民税の課税標準額による保護者等の課税所得を基準とした判定も追加されているため、制度を活用するにはその金額を超えないよう注意が必要です。
 
住民税の課税標準額は、給与所得や事業所得などのほか、株式や先物取引による利益や配当金による収入なども含まれます。一方で住宅ローン控除やふるさと納税といった税額控除は課税標準額算出には寄与しません。
 
住民税の課税標準額を抑えるには生命保険料控除やiDeCoなどによる小規模企業共済等掛金控除といった所得控除が有効となるため、所得要件に触れそうな方は利用を検討してみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表
 

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