「お客様は神様?悪魔?」悪質クレーマーに対して店側は返金の義務はあるのか?

配信日: 2018.03.04 更新日: 2019.01.10

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「お客様は神様?悪魔?」悪質クレーマーに対して店側は返金の義務はあるのか?
「クレーム」という言葉を聞くと、ネガティブなイメージを思い浮かべる人もいるかと思います。しかし、クレームはサービス改善にとても役立つもの。お客さんの意見を真摯(しんし)に聞くことは、どんな業態でも必要不可欠です。

とはいえ、中にはそれを逆手に言いがかりのような悪質なクレームをつけてくる人もいます。もし、悪質なクレームを度々入れられ、悪態をつかれた場合、そのお客さんを「恐喝」で訴えることはできるのでしょうか。

Y美さんのケースをみてみましょう。

FINANCIAL FIELD編集部

Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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石垣美帆

監修:石垣美帆(いしがき みほ)

弁護士

中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。

「惣菜の味付けがしょっぱすぎる!返金しろ」Y美さんのレストランに来た悪質クレーマー

Y美さんは小さなレストランを経営しています。Y美さんのレストランでは普通の食事はもちろんテイクアウトも可能で、パンやお惣菜をテイクアウトで買っていくお客さんも多くいました。
 
ある日、Y美さんが厨房(ちゅうぼう)で料理を作っていると、アルバイトが「助けてほしい」と言うので店の入り口に走りました。なにやら50代くらいの男性が怒っています。
 
「この店でテイクアウトした惣菜の味付けがしょっぱすぎる!一口しか食べられなかったぞ!返金しろ」
 
Y美さんは戸惑いました。Y美さんは提供する料理の味見を欠かしません。また、テイクアウトのお惣菜はまとめて作っているので、男性が買ったお惣菜は他のお客さんも食べているはずです。今のところ、他のお客さんからのクレームは一切来ていません。
 
Y美さんは念のため聞きました。「しょっぱいというのは、どの程度でしょうか…」
 
「そんなもの知るか!私の口に合わなかったんだよ」
 
やはり…。このお客さんは自分の口に合わなかったという理由でクレームをつけに来たのです。
 
「申し訳ございませんでした。貴重なご意見ありがとうございます。ただ、味付けのお好みはお客様それぞれですので、返金はいたしかねます。」
 
男性はその後も食い下がり、30分近くY美さんに説教を続け、文句を言いながら帰っていきました。
 

2週間に1回来るクレーマー。仕事にも支障が…

2日後のことです。「この前の男性がきた」とアルバイトに呼ばれました。Y美さんはまたか…とうんざりした気分でした。内容は先日の話の繰り返しです。
 
「返金するのが筋じゃないのか!」と男性は怒鳴ります。Y美さんはへこへこと謝るしかありませんでした。
 
その後も、2週間に1回のペースで男性は現れました。Y美さんはその度に、対応を迫られました。Y美さんが男性の対応をしている間、キッチンは他のスタッフに任せていますが、料理を提供する時間が遅れていることは否めません。
 
また、小さなお店で男性がY美さんを説教することで、お店にいるお客さんの居心地も悪くなっていますし、その間お客さんがお店に入らないことも感じています。
 
このような場合、Y美さんはこの男性を「恐喝」で訴えることはできるのでしょうか。また、返金の義務はあるのでしょうか。弁護士の石垣美帆先生にお伺いしました。
 

「買った食べ物が口に合わないから返金しろ」返金の必要はある?また、逆に悪質なクレーマーを「恐喝」で訴えられる?

「買った食べ物が口に合わないから返金しろ」というクレーム。このような場合、お店側が返金する必要はありません。購入したものをどう評価し、どのようにするかは購入者の問題であり、お店に責任はありません。
 
ただ、お店がクレーマーを訴えた場合も、恐喝未遂程度で「恐喝」とはならないでしょう。このようなケースでは「恐喝」ではなく、「営業妨害」の範疇で賠償請求できることがあります。
 
悪質なクレーマーから必要以上に時間を取られたとみなされ、対応にかかった時間や売上減少額からその金額を算出していくことになります。その判断材料はアルバイトの時給や、クレーマーによって帰ってしまったお客さんなどの機会損失です。
 
対応に取られた時間を正確に証明するためには、防犯カメラを設置したり、対応した時間などを詳しくメモしておくことが大事です。
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部
監修:石垣 美帆(いしがき みほ)
弁護士
中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。

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