更新日: 2019.01.10 その他暮らし
歩道を走ってきた中学生の自転車に愛犬がひかれた。どうなる責任?損害賠償は?
朝の出勤・登校の時間帯に急いで自転車をこいでいる姿や、音楽を聴きながら、スマホをいじりながら運転をしている人など、見かけると余計に怖く感じますよね。
自動車と違って小回りがきく自転車は、第三者が予想できない動きをすることがあり、それによって事故を招くことが多くあります。
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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弁護士
中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。
自転車は道路交通法上『軽車両』
近年、ニュースなどで見かけることが増えた自転車事故は、自転車の急な動きや、ながら運転による歩行者との接触や巻き込み事故が多くを占めています。
本来、自転車は道路交通法上『軽車両』と位置づけられているので、他の車両と同じように道路標識や標示に従わなければなりません。
それによると、自転車の通行を許可されている歩道以外は、自転車は『車道を走る』ことが原則義務付けられている乗り物なのです。では、背後から来た自転車に愛犬がひかれ、ケガをした場合は、責任や損害賠償はどうなるのでしょうか?
ここでは、そんな事故に遭遇してしまった鈴木さん(仮名)65歳の例をご紹介したいと思います。
中学生の自転車に愛犬がひかれた
鈴木さんは夫婦二人、そして3歳になる小型犬のトイプードルと暮らしています。
仕事をリタイアした後、鈴木さんが毎日の楽しみとしているのは愛犬との散歩のひととき。
毎朝、7時から30分ぐらいかけて家の周囲を散歩して、愛犬との時間を満喫している日々でした。
ある朝、いつも通り散歩をしていると、背後から猛スピードで歩道を突進してきた自転車が愛犬と接触。避けるひまもなくひかれてしまった愛犬は、うずくまって動けない状態です。
自転車を運転していたのは中学生で、遅刻しそうだからと急いでいた様子。「すみません!」と言って中学生はすぐにでも立ち去ろうとしています。
突然のできごとに愛犬を抱きかかえてぼうぜんとする鈴木さんですが、
(1)歩道を突進してきた中学生に過失があるわけだから、中学生の両親に事故の責任と治療費・慰謝料の請求をしたい。
(2)また、この立ち去ろうとしている中学生には、遅刻をするとしても警察を呼んで事故証明の立ち合いに加わってもらいたい、と考えています。
果たして、中学生の両親は鈴木さんに対して損害賠償を支払う義務はあるのでしょうか?中学生は学校を遅刻しても警察の事故証明に対処する必要があるのでしょうか?東京桜橋法律事務所の石垣美帆弁護士にお伺いしました。
中学生の責任は?
中学生に過失がある場合は、損害賠償を支払う義務があると考えられます。
しかし、中学生は、まだ責任能力がないと考えられますので、監督義務者である親が、代わりに責任を負うことになります。今回のケースは、飼い犬は重症と見られますので、警察を呼んで事故証明をとることをお薦めします。
携帯のカメラがあれば、警察が来る前に、事故の様子を、撮影しておくのが良いでしょう。もし、中学生が警察の事故証明に立ち会うこと拒否した場合は、身分証明書を見せてもらい書きとめておきましょう。
加害者の中学生が不在でも、撮影した事故の様子をもとに、警察に事故証明を作ってもらいます。
鈴木さんは、中学生を警察がくるまで引き留めておく権利はありません。しかし、中学生が警察との立ち会いを拒否して、学校にそのまま行った場合は、鈴木さんの主張を前提に事故証明が作成されます。
その観点では、中学生は、警察の事故証明に立ち会い、きちんと、事実の主張をされるのが良いと思われます。
Text:FINANCIAL FIELD編集部
監修:石垣 美帆(いしがき みほ)
弁護士
中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。