更新日: 2022.03.04 子育て

奨学金が返せない…「減額返還制度」が申請できる要件とは?

奨学金が返せない…「減額返還制度」が申請できる要件とは?
現在、多くの人が活用している奨学金制度。返済が必要な奨学金制度を利用した場合、社会人になってから返済しなければなりません。
 
返済の途中で収入が減少したなどの理由で奨学金が返せなくなった場合には、「減額返還制度」を利用できますが、この「減額返還制度」とはどのようなものなのでしょうか。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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奨学金が払えなくなったら?

社会人になって奨学金を返済している中で、何らかの理由で返済が難しくなるケースもあります。
 
その際の救済手段として、「減額返還制度」と「返済期限猶予」が設けられています。まず、この2つの制度の違いを把握しておきましょう。
 

■奨学金の減額返還制度

奨学金の減額返還制度は、毎月の返済額を2分の1もしくは3分の1に減額できる制度です。
 
その際の返済期間は、2分の1を選んだ場合は2倍に、3分の1を選んだ場合は3倍に延長されますが、利息を含む返済額は変わりません。1年ごとに願い出ることができ、最長15年まで延長できます。
 

■奨学金の返済期限猶予

奨学金の返済期限猶予制度とは、毎月の返済を先延ばしにできる制度です。もちろん、先延ばしにした分、返済完了までの期間は延びることになります。
 
返済期限猶予制度も、減額返還制度と同様に利息を含む返済額は変わりません。1年ごとに願い出ることができ、最長10年まで延ばすことができます(一部例外があります)。
 

奨学金の減額返済制度の概要

奨学金の減額返済制度は、さまざまな事情により当初設定した毎月の返済金額での偏差が困難になった際に、その額を2分の1もしくは3分の1に減額し、返済できる制度です。2分の1にするか、3分の1にするかは自分で決めることができます。
 

■制度を受けるための要件

この制度を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
 
(1)災害や病気、または経済的な理由により、奨学金の返済が困難な状態である
 
この場合の経済的な理由の目安は、年間収入金額が325万円以下(給与所得以外の所得を含む場合は225万円以下)となっています。
 
(2)願い出および審査の段階で、奨学金の延滞がない
 
延滞がある場合には、これを解消させれば、願い出ることができます。
 
(3)口座振替(リレー口座)の加入者である
 
口座振替(リレー口座)の加入者でない場合は、願い出る前に口座振替(リレー口座)の手続きが必要です。
 
(4)返済方法が毎月の返済であること
 
毎月返済以外の返済方法を選択している場合は、制度の利用にあたって毎月返済に自動的に変更となります。
 

■制度の適用期間

制度が適用されるのは、1回の願い出につき12ヶ月までの期間となっています。ただし、適用期間終了までに改めて願い出ることにより、最大15年間(180ヶ月)まで延長できます。
 

■制度利用における注意点

減額返還制度適用中に2回連続して延滞となった際には、延滞発生時にさかのぼって制度の適用が廃止されます。
 
また、減額返還適用前の当初返還月額を延滞額として算出した延滞金を加えた額を返還しなければなりません。
 

制度の利用に関するQ&A

ここからは、制度を利用する際の願い出方法や、よくある質問について解説します。
 
願い出方法とは?
A.制度の利用を願い出る場合は、所定の願出用紙に「マイナンバー関係書類」を添付して提出します。
 
願い出る理由によっては、所得証明書などの提出が必要となる場合があります。ただし、返還開始より1年以内に限り、証明書の提出なしで審査を受けることができます。
 
制度の利用を途中で止めるには?
A.制度の利用を途中で止める際には、所定の用紙にて願い出ることで止めることができます。
 
願い出た後、さらに収入が激減した場合は?
A.願い出たときには基準以上の収入があったとしても、その後収入が減り、基準以下となった場合は、再度願い出て審査を受けることができます。
 

まとめ

返済が必要な奨学金を利用した場合は、卒業後に返済していく必要があります。そしてこの返済金が、後輩の奨学金として活用される仕組みとなっています。
 
したがって、必ず返済する必要がありますが、返済が困難な状態に陥った場合には、減額返還制度や返済期限猶予制度などが設けられています。
 
延滞を起こす前に返済が難しいと思った際には、どちらかの制度の利用を考え、願い出るようにしましょう。
 
また、奨学金の貸与基準が緩和され、より利用しやすくなっていますが、利用にあたっては借りられる額ではなく、将来無理なく返せる額を優先に考えることが大切です。
 
出典
独立行政法人日本学生支援機構
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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