もしものとき、うちの子どうする? ―ペットに関するお金事情と備えておきたいこと
配信日: 2022.04.12
最新のペットに関するお金事情と、コロナ禍だからこそ備えておきたいことなどをお伝えします。
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
自分よりもペット優先! 年間支出はいくら?
2月22日は、“にゃんにゃんにゃん”で「猫の日」でした。中でも今年は2022年2月22日で2が6つも並ぶことで、例年以上に盛り上がりました。
しかしペットを飼うということは、エサ代だけでは済まないということを皆さんもご存じのことでしょう。
犬や猫などは単なるペットとしての存在ではなく、家族の一員となっています。衣食住どれをとっても、人間と同様、もしくは飼い主以上の生活水準で暮らしている例もみられます。
興味深いデータがあります。総務省統計局「小売物価統計調査」による、人間のカット代(理髪料)とペットの美容院代を比較したものです。
(図表1)
これは少し古いデータですが、ペットがいかに大切に扱われているかが分かります。
これからペットを飼いたいと思う人にとっては、全体ではどれくらいの費用が掛かるのかが気になると思います。
ペット保険のアニコム損害保険が、保険契約者へのアンケートをもとにペットに掛ける年間支出調査を行いました。
その結果、犬に掛ける年間費用は約35万円、猫の場合は約17万円となることが分かりました。主な費目を抜粋したものが図表2になります。
(図表2)
最大の支出項目は「フード・おやつ」ですが、良質のものへ移行するケースやサプリメントを利用する例など、こちらも人間さながらの健康志向がみられるそうです。
もしものとき、うちの子は誰に託す?
家族の一員として楽しく暮らすペットですが、やむを得ず誰かに預けたり、あるいは託したりすることもあります。
1人暮らしでペットを飼っている人も多いです。事前に出張が予定されている場合はペットホテルなどの利用もできますが、今回のコロナ禍のように、急に病院で療養生活を送ることになった場合を想定しておくことも大切です。
このようなときには、ペットの情報を引き継げるメモがあると、預かる側にとっても安心です。以下に一例をご紹介します。
■性格
■日々の暮らし方:散歩のルート、散歩の頻度や時間、トイレのこと、など
■食事の好き嫌い:具体的にどのようなペットフードを食べているか、など
■カットやトリミング:通っている店舗や頻度、など
■健康状態:かかりつけ医、ワクチン接種、既往歴や薬、など
■ペット保険:加入している会社や内容、など
■預かってもらうときの注意点
■急に預かってもらうときのために準備しておくものリスト
■そのほか 気になること
メモといっても、いきなり書き出すことは難しいので、想像しやすいように預ける期間を分けて項目を作ってみました。
1冊のノートにまとめ、日頃から気づいたことをメモしておくと便利です。
スマホで写真を撮り、SNSにアップしている人も多いと思います。文字で残すだけでなく映像にすれば、託される人もイメージしやすいので、有効に使えるツールになるはずです。
諸事情でお世話できなくなったとペットを手放す人もいて、社会的にも問題になっています。
ペットを飼う前に、一緒に暮らす環境は整っているのか、お世話をする時間は確保できているのかなど、自身の生活について見つめ直すことはもちろん、それに加えて本稿の前半部分でみてきたとおり、ペットと暮らすためには費用が掛かることを忘れてはいけません。
ペットの生涯に責任を持つことが大切なのは誰もが知るところです。
自分にもしものことが起こったときにどうするのか……心配性が過ぎるといわれそうですが、大事な“うちの子”のために準備しておくことは必要ではないでしょうか。
出典
(※1)
総務省統計局 小売物価統計調査 ペット関連品目の状況
(※2)
アニコム損害保険株式会社 【2021最新版】ペットにかける年間支出調査
総務省統計局 家計調査(家計収支編)時系列データ(二人以上の世帯)/小売物価統計調査
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士