更新日: 2022.05.06 その他暮らし

別居、離婚…夫婦問題と不動産の3つのフェーズ

別居、離婚…夫婦問題と不動産の3つのフェーズ
どんなに愛し合った2人でも、一緒に暮らすと関係性が変わることはよくあります。また、さまざまな要因から、これまで順調だった夫婦関係にヒビが入ることもあります。
 
今回は夫婦問題と不動産について、同居時・別居時・離婚時の3つのフェーズで考えてみたいと思います。
寺門美和子

執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)

ファイナンシャルプランナー、相続診断士

公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』   https://www.voicemarche.jp/advisers/781 

第1フェーズ:同居時、コロナ渦で変わったこと・考えなくてはいけないこと

コロナ前は、家族一緒にいるのは主に就寝時のみ、というご家庭もあったかと思います。
 
例えば、夫は会社員、妻は専業主婦、小学生以上の子どもが2人という4人家族の場合、朝、父親と子ども2人は会社や学校へ行き、日中は母親が自宅の主な滞在者となります。夕方、子どもは帰宅早々塾や習い事、友人との遊びなどで外出し、父親は残業や付き合いで帰宅が遅い日など、特に平日は家族4人がそろって食事をしない日が多かったというご家庭もあったかもしれません。また休日も、家族全員が一日中自宅のなかで過ごすことが少なかったというケースもあると思います。
 
しかしコロナ禍になり、在宅勤務・在宅ワークが進んだことで、このような状況に変化がみられるようになりました。会社には行かず自宅で仕事をする夫、学校が終わると自宅で勉強したり遊んだりすることが多くなった子どもたち……。
 
家族全員が自宅で過ごす時間が増えたことにより、生活環境の変化、家族の精神的な変化のみならず、食費や光熱費の増加などの家計における変化も現れ、夫婦で家計相談をする機会もあったでしょう。
 
家族全員の行動範囲が自宅に限られることが多いコロナ禍、金銭的、精神的などさまざまな要因により、筆者のもとへの夫婦問題のご相談も増加しました。ご相談者さまのなかには、自宅滞在時間や家計面を考慮し、物価の高い都心部から、比較的物価の安い郊外の広い戸建てに引っ越したという方もいらっしゃいました。
 
長引くコロナ禍を考慮すると、引き続き「ファミリー・ディスタンス」が問われていくのではと筆者は感じています。今後、引っ越しやマイホームの購入を検討されている方は、家族の動線を考えた住まい選びが重要ではないかと推察されます。
 

第2フェーズ:別居時、さまざまな問題に向き合う大切さ

さまざまな事情により別居をすることになった場合は、子どもの有無、資産、家族の状況などにより、今後の見通しが変わります。大切なのは、目先の問題にとらわれず複眼思考で先のライフデザインを考えてみることです。
 
1つ目は、子どもを連れて新居に移る際は子どもの状況・環境に注意すること。

別居先から学校や塾へ通うことはできるのか

これまでの学校や習い事の友人と会えなくなったら寂しくないのか

 
ティーンエージャーほど、この問題が生活に影響を与える可能性があります。子どもとしっかり向き合い、話し合ってみてください。
 
2つ目は、実家に戻る際は“自分の居場所があるのか”を確認すること。
 
筆者の相談者さまのなかには、「実家に戻ったが“居場所”がなかった」という方もいます。自分が結婚後、両親や兄弟姉妹は新しい生活が始まっています。独身時代に一緒に暮らしていたときとは事情が違うということを認識してください。
 
両親・兄弟姉妹と実家で同居する場合であっても、相手の生活環境はもちろんのこと、家計面も考慮しなくてはいけません。子どもと一緒に実家に移り住むならなおさら、事前にしっかりと家計の相談をしておきましょう。生活費用におけるトラブルを避けるため、金銭的な取り決めをしておくことをお勧めします。
 

<実家に戻る際はここも確認しよう!>

実家の同居家族に看病や介護をする人がいないのかということは、事前に確認し相談しておきましょう。別居後、実家で両親などの介護生活が待っているのならば、精神的な心構えとともに、介護生活に必要な費用、時間配分(仕事・育児等との両立)などを考えておく必要があります。
 
介護は長期化することが多く、特に在宅介護の場合は、家族であっても精神的な負担がかさむこともあります。ヘルパーなどを雇うにも、当然お金が掛かります。長期化することに備え、実家に移り住んだ後の介護スケジュールと、介護に掛かる費用の工面は、事前にしっかりと計画しておきましょう。
 
新居への引っ越し、実家での同居、いずれにしても引っ越し費用や生活が安定するまでの生活費などの工面が必須となります。いきなり別居を実行するのではなく、別居後の環境変化を踏まえた資金準備は事前に必ずしておきましょう。
 

第3フェーズ:離婚時、不動産の対応

離婚時の不動産には2つの側面があります。1つは「住まい」と、もう1つは「資産」という側面です。この2つが絡むから、離婚時の不動産問題は簡単ではありません。
 
「住まい」という面では、子どもがいる場合で考えてみましょう。子どもが学校などに通っていると、「住まい」において学区域の問題が出てくるでしょう。学区域を優先する際は、自宅に誰が住むのがベストかを考えてみてください。
 
しかし、自宅を「資産」の側面で考えた際には、財産分与が発生します。そのときに問題になるのが住宅ローンです。例えば、夫婦の結論が「売却して財産分与する」となった場合、売却額より住宅ローンの残債が大きいことを「オーバーローン」といいます。
 
「住まい」の側面を優先し、子どもと同居する妻に名義変更をして自宅に住み続けることを決めたと仮定します。しかし、住宅ローンを組んでいる銀行などによっては、「自宅の名義」と「住宅ローンの名義」が同一人物でないと変更できないというケースがあります。住宅ローンの名義は、当初支払い能力にて応じて銀行が審査しますが、妻(夫)の収入面において名義変更が認められないことがあります。
 
このような問題をどのように解決してよいかわからない場合は、離婚不動産の専門家や夫婦問題の専門家へ相談をしてみてもよいでしょう。
 

まとめ

それぞれのフェーズで「夫婦問題×不動産」の問題は変わります。家族そろって同居している方、別居をする方、離婚をする方、いずれにもさまざまな注意点がありますので、状況に応じてまずは夫婦で細やかに相談しましょう。
 
「夫婦問題×不動産」の問題において、離婚をする方は特に注意が必要です。もし住宅ローンをペアローンで組んでいる場合は、離婚時の住宅ローン問題は深刻化しやすい傾向にあります。
 
離婚リスクを考えて……というわけではないのですが、住宅ローンの組み方は、将来の生活環境の変化を考慮して慎重に検討してください。
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士

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