更新日: 2022.05.19 その他暮らし

持続化給付金の不正受給額は約176億円! バレたら実名公表がされるって本当?

執筆者 : 高橋庸夫

持続化給付金の不正受給額は約176億円! バレたら実名公表がされるって本当?
新型コロナウイルス感染症により事業に影響を受けた中小企業や個人事業者を支援する制度として、「持続化給付金」や「家賃支援給付金」などがあります。
 
飲食業、宿泊業、小売業、建設業など多くの事業者が給付を申請した反面、不正受給や自主返還などが多く発生したことが問題となりました。
 
ここでは、これらの不正受給者の調査・公表に関する現状について確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

不正受給者などの認定、公表の現状

中小企業庁では、現在も持続化給付金や家賃支援給付金の不正受給について調査中であり、「不正受給は絶対に許しません」との強いメッセージを示しています。
 
不正受給の手口としては、事業を実施していない、売り上げを偽って申請、売り上げ減少の理由が新型コロナウイルスの影響によらない、賃料を実際よりも高く偽って申請、などがあるとのことです。
 
その一方で、給付要件を満たさないにも関わらず給付金等を受給してしまった場合などについては、自主的な返還を受け付けています。
 
返還の際には原則、加算金・延滞金が必要となりますが、中小企業庁が調査を開始する前に自主返還の申し出を行い、返還を完了した場合には、原則として加算金・延滞金を課さないこととしています。
 
経済産業省がホームページにて公表している2022年4月7日時点の不正受給認定者及び自主返還の状況は以下の表のとおりです。
 


※経済産業省ホームページより筆者作成
 
持続化給付金の給付実績は、申請件数約441万件、うち給付件数約424万件、給付総額は約5.5兆円となっています。
 
給付総額からすれば不正受給などの実績はそれ程大きな比率とは言えませんが、判明しているだけでも不正受給と自主返還を合わせて約176億円に上る金額が不正に受給されたことになります。
 

不正受給に対する調査と国税庁との連携強化

中小企業庁では、2022年5月31日までを申請期間とする「事業復活支援金」について、提出された情報などに不審な点が見られる場合には調査を行うことがあり、その結果不正受給と判断された場合は、以下の措置を講じるとしています。


(1)給付を受けた全額に、受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額の返還請求をする。

(2)申請者の屋号、雅号、氏名、法人名等を公表する場合がある。

(3)不正の内容等により、不正に事業復活支援金を受給した申請者を告訴・告発する。

また、事業復活支援金の申請の際には、中小企業庁が定める4つの宣誓事項と6つの同意事項について、全てに宣誓、同意する必要があります。(宣誓・同意事項)そして、虚偽の宣誓や同意事項に違反した場合には、速やかに事業復活支援金の給付の辞退または返還を行っていただくとしています。
 
同意事項の1つには、「支援金等の給付の申請に当たってそれぞれの支援金等の事務局に提出した全ての基本情報等や支援金等に関する調査結果が、中小企業庁及びそれぞれの支援金等の事務局、国税庁その他の関係行政機関並びに捜査機関の間において相互に提供され、基本情報等の提出時に給付申請がされた支援金等以外を含む全ての支援金等の審査及び調査のために用いられる場合があること」が明記されています。
 
これは、中小企業庁と国税庁の連携を強化することで相互の情報を活用し、不正受給の防止と発見に向けた対策を強化することの表れといえるでしょう。
 

まとめ

前述のとおり、2022年版の中小企業庁による支援策として「事業復活支援金」の申請が5月31日を期限として募集されています。
 
これから申請を検討している方々はもとより、一般の方々にとっても、このような支援策が有効に、かつ適時、適正に本当に困っている事業者の支援として活用されることを願うばかりです。不正受給は犯罪です。
 

出典

経済産業省 不正受給及び自主返還について
経済産業省 事業復活支援金
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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