会社から禁煙手当を受け取っているのですが、喫煙してしまいました…手当は取り消しになりますか?
配信日: 2022.05.21
しかし問題となるのは、禁煙手当を受け取っているのに喫煙してしまったというケースです。このような場合、手当が取り消しとなるのかどうか、解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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1本でも喫煙すれば返還請求されるかも
禁煙手当の制度は、企業によって対象者や支給額、支給方法は異なります。一般的なケースは、喫煙していた従業員が禁煙をした場合に禁煙手当を支給するものと、喫煙をしていない従業員全員に対して禁煙手当を支給するというものです。
いずれにしても、喫煙をしている人は手当をもらえず、喫煙しているのに手当を受給するのは不当利得を受けているということになります。
禁煙手当を受け取っているのに喫煙したことが発覚した場合、禁煙手当の取り消しはもちろんのこと、禁煙手当の返還を求められることもあります。民法第703条・704条には不当利得の返還義務が示されていますし、民法709条には不法行為による損害賠償請求について書かれています。
禁煙手当を支給していた事業所は、不当に禁煙手当を受けていた従業員に対して、手当の返還や損害賠償請求ができることが分かります。たった1本だけであっても、喫煙した事実が企業に発覚した場合、手当が取り消しになることもあります。
ただし、多額の損害賠償請求や重い懲戒処分については、違反行為とのバランスがとれていないので無効となります。
従業員に違約金を科すのは違法
禁煙手当を支給する企業は、労働基準法を踏まえた上で就業規則に禁煙手当を支給する要件や対象者、支給額や支給方法などのルールを定めています。
不当に受給した禁煙手当の返還や罰則、懲戒処分についてもあらかじめ就業規則に明記しているのがほとんどです。就業規則に書いてあったとしても、労働基準法に違反している条項は無効となります。
例えば、禁煙手当にまつわる就業規則を作成する際、企業はあらかじめ違約金の額を設定することはできません。
また、喫煙したことを理由に喫煙者の基本給を減額することは、従業員にとって不利益変更となるため、認められません。企業から違約金を科された場合や基本給を下げられた場合は、労働基準法違反となっているため労働基準監督署などに相談をしましょう。
また、プライベートを含めて禁煙手当を支給している企業もありますが、プライベートで喫煙したことを理由に直ちに懲戒処分を科すことも、従業員の不利益となるため認められません。
もちろん、もともと喫煙している人に対し、就業時間外も禁煙を強要するような禁煙条項を就業規則に取り入れることは、不利益変更にあたるため認められないでしょう。
1本吸っても返還請求される可能性はある
禁煙手当はあくまで従業員や顧客の健康増進を目的に支給するもので、喫煙したい人の「喫煙をする権利」を不当に侵害するものであってはなりません。
喫煙者が不当に禁煙手当を受けていた場合は返還請求される可能性がありますが、喫煙を理由に違約金を科したり給与を減額したりすることはできません。また、重すぎる懲戒処分も無効となるでしょう。
出典
厚生労働省 受動喫煙対策
e-Gov法令検索 労働基準法(16,24)
e-Gov法令検索 民法(703,704、709)
Work×Rule 【福利厚生】禁煙手当とは?その効果・導入企業の支給額の相場感などを解説
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