更新日: 2022.05.26 その他暮らし

賃貸住宅の退去時に多額の請求が来るって本当?

賃貸住宅の退去時に多額の請求が来るって本当?
賃貸住宅の退去時には、部屋の傷などを修復して返却しなければいけません。近年、民法改正や国土交通省がまとめたガイドラインに、退去時に行わなければいけない修復範囲や修復費用の金額基準が明記されました。
 
修復について明記されたことにより、トラブルは少なくなるかもしれません。修復費用の支払い基準が明確にされてしまったため、借りる側としては、費用の値段交渉がしづらくなり、きちんと費用を請求されるようになってしまったともいえます。
 
本稿では、賃借人が修復費用として支払わなければいけない項目、支払わなくてもよい項目、支払わずに済むようにするにはどう対策をすればよいのかを解説します。
八木友之

執筆者:八木友之(やぎ ともゆき)

宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

賃借人が支払う必要がある修復内容

賃借人が退去時に支払わなければいけない主な項目は、以下の通りです。

・タバコのヤニで色やニオイがついてしまった壁紙
・テレビや冷蔵庫などを壁際に設置したことによる壁紙焼け
・賃借人が故意や過失で空けた穴
・ペットのニオイや汚れ
・畳についた飲み物なのどのシミ

賃借人の管理に問題があるような行動でついた汚れや傷は、賃借人の責任となる傾向があります。
 

賃借人が支払う必要がない修復内容

賃借人が退去時に支払わなくてもよい主な項目は、以下の通りです。

・通常通り使用している状態で時間が経過したためにできた汚れや傷
・テレビや冷蔵庫を一定距離壁から離して設置したのにもかかわらずついた壁紙焼け
・画びょうなどを刺した小さい穴(ただし、穴の数が多いと支払いが必要になる可能性あり)
・次の入居者を募集しやすくするためのハウスクリーニング代金
・カーペットが家具でへこんだとき(ただし、数が多いと支払いが必要になる可能性あり)

世間一般の常識範囲内でついた汚れや傷については、賃借人の責任とはならない傾向があります。
 

修復費用を抑える対策とは

退去の際の修復費用を抑える対策を詳しく説明します。
 

賃貸借契約書を確認

近年の賃貸借契約書には、修復範囲とともに、修復するときの金額まで記載するようになりました。記載されている金額が、相場よりはるかに高い場合があります。
 
しかし、賃貸借契約書に記名押印してしまうと、この相場より高い金額を承諾したものとされ、退去時に支払い義務が生じます。そうならないように、賃貸借契約のときに、修復範囲と修復金額は必ず確認しておきましょう。
 

記録を残す

入居時の室内の状況を記録に残すため、写真や動画を撮影しておくのがポイントです。特に、中古の賃貸物件の場合は、最初から汚れや傷などがついているときがありますので、あとで不当な請求をされないように記録をしっかり残しておきましょう。
 

退去時の室内の手入れ

退去に際して、室内の手入れをすることもポイントです。室内にほこりがたまっているとハウスクリーニング代金を請求されますし、専用庭に草が生えているままだと雑草の撤去費用を請求されてしまいます。
 
汚れは水拭きをして、から拭きまですると取れるケースもありますので床はしっかり掃除するようにしましょう。ただし、壁紙は水拭きをすることでかえって汚れるケースがありますので注意してください。
 

まとめ

賃貸物件から退去し新居に移る場合は、移転の費用など多額の費用がかかります。その多額の費用に、退去時の請求が乗ってしまうと支払い金額が膨れ上がります。そのようなことにならないよう退去時の修復費用はできるだけ抑えていかなければいけません。
 
退去時の修復費用は、きちんと手入れをし適切な使用方法で生活していれば、少額で済むはずです。抑えられる費用は抑え、余計な出費はしないように準備しておきましょう。
 

出典

法務省 賃貸借契約に関するルールの見直し
国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)
 
執筆者:八木友之
宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

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