日本でも「救急車」が有料に!? 出動にかかる費用は? 有料になったケースを紹介

配信日: 2022.05.25

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日本でも「救急車」が有料に!? 出動にかかる費用は? 有料になったケースを紹介
日本では救急車を無料で呼ぶことができます。これは世界的に見ても珍しいことで、救急車を無料で呼べる国は日本とイタリア、イギリスなど少数です。他の国では基本的に救急車の手配が有料で、数万円請求されるのが普通です。
 
では、日本ではなぜ無料なのでしょうか。そして、本当に救急車を呼ぶのにお金はかからないのでしょうか。本記事では、救急車を呼んだときにかかる費用について解説します。
八木友之

執筆者:八木友之(やぎ ともゆき)

宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

救急車出動についての基礎知識

日本の救急車出動費用が無料なのは、税金で賄われているからです。日本での救急車手配は、日本人だけでなく観光などで来日した外国人も無料で呼ぶことができます。
 
総務省消防庁によると、2021年の救急車出動件数は年間約619万件にも上ります。そのうち、救急車を1度呼んだ場合、約4万5000円かかるといわれているので、619万件 × 4万5000円となり、年間、約2785億円も使われていることになります。
 
結論を先に言ってしまいますが、日本では救急車を呼ぶだけであれば完全に無料です。有料になるかどうかは、呼んだときの事情により決まってきます。そこで、救急車を呼んだ後に費用がかかってしまったケースを紹介します。
 

軽症なのに救急車を呼んだ場合

救急車は、自身で病院に行くことができないような病気や、大けがを負ったときに呼ぶものとされています。それは、軽症患者を扱っていない、高度治療を行うための大病院に搬送するためです。
 
高度治療を必要とする大病院に緊急で軽症患者が来ると、本来治療を優先的に受けなければいけない患者の治療を行うことができなくなります。そのため、大病院では紹介状という制度を作り、紹介状がある方を優先的に治療していきます。
 
そして、紹介状のない患者を診察する場合、病院は選定療養費という費用を請求できることになっています。そのため、緊急搬送された紹介状のない軽症患者は、通常の外来患者と同じく選定療養費を請求されるわけです。選定療養費は、初診では5000円以上、再診では2500円以上、それぞれの病院が定めた金額を支払わなければいけません。
 
なお、2022年10月1日より紹介状がない場合の初診は7000円、再診は3000円に改定される予定です。
 

ドクターカーが来た場合

救急車に乗車している救命救急士は、医者ではないため医療行為ができません。大病院に到着するまで患者の容態が変わらないように、原則、応急処置をすることしかできません。そのため、救急車で搬送中に患者が死亡してしまうような状況の場合は、車中で医療行為ができるドクターカーが手配されることがあります。
 
ドクターカーには医師や看護師が乗車しており、病院に搬送される途中でも医療行為が可能です。つまり、搬送時に医療行為を受けるため、この時点で受けた医療行為に対して費用がかかります。
 

まとめ

救急車は、無料で呼ぶことができます。しかし、軽症で救急搬送され大病院で治療を受けると選定療養費が請求されます。また、あまりにも重症の場合は、搬送途中で医療行為を受けることにより費用が発生します。命にかかわることなので、費用のことなどは考えてはいけませんが、救急車を呼ぶときには完全に無料なんだ、という前提で救急車を呼ぶことのないよう気をつけてください。
 

出典

財務省キッズコーナー ファイナンスランド 税金の大切さを学ぼう!
総務省消防庁 令和3年中の救急出動件数等(速報値)
宇都宮市 ドクターカーについて
第136回社会保障審議会医療保険部会 大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大について
 
執筆者:八木友之
宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター
 

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