更新日: 2022.05.27 子育て

「高等学校等就学支援金」を利用する生徒は何割くらい? 保護者の年収目安は?

執筆者 : 上山由紀子

「高等学校等就学支援金」を利用する生徒は何割くらい? 保護者の年収目安は?
現代は少子化が進んでいます。未婚化や晩婚化などが要因となっているようです。その中で、子どもの高等学校等への進学率は、令和元年度で通信制を含めて98.8%です(※1)。
 
高校への進学は日本において当たり前のものになっていますが、中には、家庭の経済的な影響で進学できない子どももいます。経済的に進学できない子どもに対しては国のさまざまな支援があります。今回は、そのうち高等学校等就学支援金制度について解説します。
上山由紀子

執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者 鹿児島県出身 現在は宮崎県に在住 独立系ファイナンシャル・プランナーです。
 
企業理念は「地域密着型、宮崎の人の役にたつ活動を行い、宮崎の人を支援すること」 着物も着れるFPです。
 

高等学校等就学支援金って大枠でどんな制度?

高等学校等へ進学を希望する子どもの授業料の一部または全部を支援することで、家庭での教育費の負担を軽減し、かつ、教育を受ける機会を均等にすることを目的とした制度です(※2)。
 

「高等学校等就学支援金」を利用する生徒は何割くらい?

高等学校等就学支援金を利用している生徒は全国の約8割です。この就学支援金は、国から保護者の銀行口座に直接振り込まれるのではなく、都道府県、そして学校が生徒に代わって受け取り、授業料に充てる仕組みとなっています。(※3)。
 

就学支援金の受給資格は?

高等学校等就学支援金は、高校等(高専、高等専修学校等を含む)に在学する日本国内に住所を有する人が対象です。ただし、下記のいずれかに該当する人は対象外です。

(1)保護者等の所得について、以下の算定式により計算した額が、30万4200円以上の人(年収目安約910万円以上の人)
 (算定式)
 (市町村民税の)課税標準額×6%-(市町村民税の)調整控除の額
(2)高校等(修業年限が3年未満を除く)を卒業または修了した人
(3)高校等に在学した期間が通算して36月(定時制・通信制等の場合は別途算定)を超えた人

次に、保護者の年収目安について説明します。
 

保護者の年収目安は?

上記(1)のとおり、保護者等の所得について、算定式で計算した額が30万4200円以上の人は対象外となります。対象となる人に関しては、保護者の働き方や扶養控除対象者の人数によって、家庭ごとに年収の目安は変わっていきます。
 
また、全日制高校の場合の支給額について、公立学校に通う生徒は授業料相当額の年額11万8800円となり、国公立高校は授業料負担が実質ありません。私立学校等に通う生徒は保護者の所得に応じて支給額が変わり、支給上限額が39万6000円となります。
 
文部科学省の参考資料より、例を見ながら説明します。
 
下記一覧表のとおり、共働き世帯か、1人働きか、子ども(扶養控除対象者)が何人いるかで収入の目安は変わっています。
 
就学支援金の支給額は、保護者(原則的に生徒の親権者)の所得で判断します。所得は、扶養控除対象者の人数によりそれぞれの家庭で変わります。収入から所得控除を差し引いた金額が所得となります。所得控除は個人的な情報を加味して税負担を調整するもので、家庭の状況により異なります。
 
両親のうち一方が働いている場合、子どもが1人(高校生、扶養控除対象者1人)でしたら、11万8800円の支給(月額9900円)の対象となる年収目安は約910万円までです。また、39万6000円の支給(月額3万3000円)の対象となる年収目安は約590万円までです。
 
家族の働き方、子どもの年齢等にあわせて該当するところを年収の目安にしてください。
 

 
出典 文部科学省 高校生等への修学支援 高等学校等就学支援金制度
  (参考)年収目安

(注釈)

●子について、中学生以下は15歳以下、高校生は16~18歳、大学生は19~22歳とする(高校生は扶養控除対象者、大学生は特定扶養控除対象者となり、控除額が異なります)。
●給与所得以外の収入はないものとし、両親共働きの場合、両親の収入は同額として計算している。
●配偶者控除対象となっている場合、一方が働いている場合とみなす。

まとめ

子どもの教育費は授業料だけではありません。しかし、その授業料については就学支援金を利用することで、家計の負担を軽減できるかもしれません。入学時等に学校から案内がありますので、対象となる方は申請を忘れないようにしましょう。国の制度はぜひ利用してください。
 

出典

(※1)文部科学省 高等学校教育の現状について
(※2)文部科学省 高校生等への修学支援 高等学校等就学支援金制度
(※3)文部科学省 高等学校等就学支援金制度
(参考)年収目安 文部科学省 高校生等への修学支援 高等学校等就学支援金制度
 
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション

ライターさん募集