遺品整理の費用は控除されるの? 遺品整理する際の注意点について解説!
配信日: 2022.05.31
本記事では、遺品整理における費用や注意点について解説します。
執筆者:宮本建一(みやもと けんいち)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
遺品整理とは?
ひとり暮らしの親族が亡くなったときに利用するのが遺品整理サービス。ここでは遺品整理業について説明し、相場や注意点について説明します。
・遺品整理業とは?許認可は?
遺品整理業とは、亡くなられた方の生活用品やごみ、遺品などを整理し仕分けする業者のことをいいます。また、遺品整理を業として行うためには許認可の取得が必要となります。
主な許認可として次の2つがあります。
●一般廃棄物収集運搬業許可
ごみは「産業廃棄物」「一般廃棄物」に区分され、家庭から出たごみについては、「一般廃棄物」に該当します。そのため、遺品整理業者は一般廃棄物収集運搬業許可が必要となります。
家庭から出たごみは地方自治体の責任のもと適切に処理する必要があるため、地方自治体の許可や委託を受けていない業者は家庭のごみを収集することができません。
●古物商許可
遺品整理業者のなかには、遺品整理で出た不用品を買い取るサービスを提供している業者があります。貴重品や骨董品などを買い取るには古物商の許可が必要です。
・遺品整理の相場は?注意点は?
では、遺品整理にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
総務省行政評価局が発表した「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」(令和2年3月)によりますと、10万円から40万円の間の取引が多くなっています。
【見積書にみる遺品整理サービスの金額】
金額の区分 | 見積書例の件数 |
---|---|
10万円以下 | 7 |
10万円超 20万円以下 | 19 |
20万円超 30万円以下 | 23 |
30万円超 40万円以下 | 12 |
40万円超 50万円以下 | 5 |
50万円超 60万円以下 | 3 |
60万円超 100万円以下 | 4 |
100万円超 | 2 |
計 | 75 |
一方で、遺品整理サービスを利用した遺族が、許認可を取得せずに営業している業者から法外な金額を請求されているケースが少なからずあります。総務省がこのようなデータを公表した理由のひとつには、遺族と遺品整理業者とのトラブルが多発している点があげられます。
遺族は遺品整理を業者に依頼する際、許認可の取得有無を確認することをおすすめします。
遺品整理の費用は控除できるのか?
遺品整理に必要な費用は遺族が負担するのが一般的ですが、この費用は相続税を計算するときに費用として認められるのでしょうか。
・相続税とは、控除できる費用は
相続税とは、個人が被相続人から相続などによって財産を取得した場合、その取得した財産に課される税金です。被相続人から相続などによって「財産を取得した人それぞれの課税価格の合計額」を「相続税が課される財産の価額の合計額」から「相続財産の価額から控除できる債務と葬式費用の金額の合計額」を差し引いて算出します。
では、遺品整理にかかった費用も控除できるのでしょうか。
・遺品整理の費用は?
控除できる葬式費用ですが、範囲が決まっています。
葬式費用とは、次のような内容が該当します。
・お寺などへの支払い
・葬儀社などへの支払い
・お通夜に要した費用
墓地や墓碑などの購入費用、香典返しの費用や法要に要した費用などは、葬式費用に含まれません。また、遺品整理にかかった費用は相続財産の控除には当てはまりません。
まとめ
遺品整理について注意すべき点や相続税について説明しました。遺品整理はしっかりと一般廃棄物収集運搬業許可や古物商の許認可を受けている業者に依頼して、高額なサービス料を請求されないように注意が必要です。
また、遺品整理にかかる費用は相続財産の控除にはならない点も理解しておきましょう。
出典
総務省行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」(令和2年3月)
相続財産から控除できる葬式費用
執筆者:宮本建一
2級ファイナンシャルプランニング技能士