更新日: 2019.01.08 その他暮らし

契約社員から正社員へ。会社側がNOとは言えない場合と注意点。

契約社員から正社員へ。会社側がNOとは言えない場合と注意点。
2013年に労働契約法が改正されたことにより、一定の条件を満たす有期雇用労働者(契約社員やアルバイトなど名称を問わず、雇用期間の定められた労働者)は、雇用主に対し、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)へ転換の申込をすることができるというルールが制定されました。

では、一体いつ無期労働契約への転換申込権が発生するのでしょうか。そして、いつから無期労働契約へと転換されるのでしょうか。

もし、無期労働契約への転換を拒否されてしまったらどうなってしまうのでしょうか。

そのような疑問について、とある会社に契約社員として勤めるAさんの事例をもとに解説していきます。
柘植輝

Text:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

契約を何度も更新してきたAさん

2013年4月1日、Aさんは、1年契約の契約社員として働き始めました。
 
Aさんの働きぶりは会社にも評価されており、契約を1年ずつ更新しながらキャリアを重ねていきました。
 
ところが、契約の更新は必ず約束されているものではなく、Aさんの同僚たちは契約の満了により、一人、また一人と退職していきました。
 
Aさんは「自分もいつかは契約が更新されなくなってしまうのではないか。」と悩んでいました。
 
そんな中、Aさんは無期雇用への転換申込権の存在を知りました。そこで、2018年4月1日、会社に対して無期雇用への転換の申込をしました。
 
しかし、会社からの回答は「君との契約は1年ごとであるとあらかじめ決めていたはずだ。無期雇用については認められない。」と、Aさんからの申込を拒否するものでした。
 
無期雇用への転換を拒否されてしまった以上、Aさんはこのまま1年ごとの契約を続けていくほかないのでしょうか。それとも、希望通り無期雇用への転換が認められるのでしょうか。
 

無期雇用への転換を拒むことはできない

無期雇用への転換請求権は、次の要件を満たす有期雇用の労働者において発生します。
 
・同一の使用者との間で、2013年4月1日以降に開始する契約を2つ以上結び、それらの期間が通算で5年を超える見込みであること。
 
そして、雇用主は無期雇用への転換申込を拒否することができません。
 
申込の時点で無期雇用契約が成立したとみなされ、現在の契約が終了次第、無期雇用へと切り替わることとなります。
 
ただし、無期雇用転換への申込は、雇用契約が有効に存在している間に行うことが必要です。
 
では、この要件をAさんに当てはめて考えてみましょう。
 
Aさんの契約は2013年4月1日に開始されており、2013年4月1日以降という要件を満たしています。また、申込をした2018年4月1日時点において、通算で5年を超える見込みとなる契約が有効に存在しています。
 
つまり、Aさんには無期雇用への転換請求権が発生しており、かつ、契約期間内に申込を行ったということになります。ということは、Aさんは現契約の終了後から、期間の定めのない労働契約へと転換されることとなります。
 

クーリング期間に注意

契約と契約との間が一定以上空いてしまうと、それ以前の期間は通算の期間としてカウントされなくなってしまいます。
 
この期間を「クーリング期間」と言います。
 
クーリング期間はそれまでの契約の長さによって、下の表のように変化します。
 

せっかく長い期間勤め続けていても、クーリング期間が空いてしまうことで、無期雇用転換請求権が発生するまでの期間がリセットされてしまいます。
 
積み上げてきた期間がリセットされないためにも、クーリング期間には十分注意しておきましょう。
 
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー

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