更新日: 2022.07.15 その他暮らし
70歳以上の人口1人あたりの医療費はどのくらい?
厚生労働省「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」によると、当年度の医療費は44兆3895億円で前年比2.3%増、人口1人あたりの医療費は35万1800円で前年比2.5%増となっています。増加要因のひとつは、高齢化が進んでいることです。
そこで本記事では、医療費の概要と70歳以上の人口1人あたりの医療費について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公的医療保険と医療費の概要
日本では全国民が何らかの公的医療保険に加入します。主な公的医療保険は、国民健康保険、被用者保険、後期高齢者医療制度の3つです。この公的医療保険によって、国民は費用の全額を負担することなく医療を受けることができます。
保険料の負担割合は、70歳未満が3割(6歳未満は2割)、70歳以上75歳未満が2割(現役並み所得者は3割)、75歳以上が1割(一定所得者は2割、現役並み所得者は3割)です。
・国民健康保険
市区町村が運営する制度で、自営業者、学生、無職の人などが対象です。また、70歳以上75歳未満の人で要件に該当する方も当保険に加入します。
・被用者保険
健康保険組合、協会けんぽ、共済組合などが運営する制度です。健康保険組合は大企業に勤める人、協会けんぽは中小企業に勤める人、共済組合は公務員が対象です。70歳以上75歳未満の人も、それぞれに適応する保険に加入することになります。
・後期高齢者医療
各都道府県の広域連合が運営する制度です。75歳以上の人は全員が加入します。そのため、これまで国民健康保険や被用者保険の加入者だった方に対しても、75歳からは当制度への移行が義務付けられています。
・医療費とは
医療費(国民医療費)は、国民が当該年度内に医療機関などで受けた保険診療費の推計です。具体的には、各医療保険制度による給付、後期高齢者医療制度と公費負担医療制度による給付、患者が負担した医療費を合算した費用になります。
医療費には、医科・歯科の診療費、薬局調剤の医療費、入院時の食費や生活医療費、訪問看護医療費などが該当します。
70歳以上の医療費はどうなっているの?
厚生労働省「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」によると、高齢化に伴い70歳以上の医療費は全世代で最も高くなっています。
・70歳未満における年齢階級別の医療費
まず、65歳未満の医療費の内訳は、0~14歳が2兆4987億円、15~44歳が5兆2232億円、45~64歳が9兆6047億円で、合計は17兆3266億円です。そして、65歳以上70歳未満は27兆629億円となっています。
人口1人あたりでは、0~14歳が16万4300円、15~44歳が12万6000円、45~64歳が28万5800円で、平均は19万1900円です。なお、65歳以上70歳未満は75万4200円となっています。
・70歳以上の医療費
一方、70歳以上の医療費の総額は39兆9017億円、人口1人あたりでは176万5700円です。この推計からは、医療費は70歳以上と65歳未満との間に大きな金額差があることが分かります。
なお、男女別医療費の総額は、男性が17兆7056億円、女性が22兆1960億円、1人あたりの医療費は男性が192万円、女性が166万300円となっています。
現役世代も医療費の動向から目が離せない!?
日本の医療費は毎年1兆円ベースで増加しています。これには、医療の高度化や患者負担の見直しといった複数の要因が考えられるため、必ずしも高齢化だけが原因ではありません。ただし、70歳以上の医療費がその他の世代と比べて突出して高いのは、高齢化が進んでいることによる結果であると考えられています。
今後も高齢者人口の増加が予測されているため、公的保険の主な担い手である現役世代も医療費の動向には注視が必要でしょう。
出典
厚生労働省 令和元(2019)年度 国民医療費の概況
厚生労働省 平成21年度医療費の動向
厚生労働省 国民医療費の範囲と推計方法の概要
厚生労働省 後期高齢者医療制度について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部