【国が認めた!?】「徳政令」って現代でもあるの? 「借金」がチャラになる場合はあるの?
配信日: 2022.07.23
現代の日本においても国が認めた借金の免除、いわば徳政令はあるのでしょうか。借金に苦しむ方に向けて解説していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
現代に徳政令はない
徳政令とは、簡単にいえば、借りているお金を返さなくて良いよという国からのお達しのことです。ようは発令されると借金がチャラになるのが徳政令です。日本では鎌倉時代をはじめ度々徳政令が発生されているという記録が残っています。
しかし時代が変わって現代は、徳政令なるものは発せられていません。借金がチャラになることは債務者にとってはうれしいことですが、金融機関をはじめとする債権者にとっては死活問題です。仮に現代において徳政令が発せられたとすれば大きな社会問題と化すでしょう。
そのため、今後も過去の時代に出たような徳政令がそのまま発せられることはほぼあり得ないでしょう。
現代の日本において借金がチャラになることはあり得るのか?
現代において徳政令の発令は期待できませんが、一定要件の下、借金の全額ないし一部の支払いが免除されるような制度は幾つかあります。時効による債務の消滅や自己破産、民事再生、債務整理などがそれらに該当します。
しかし、どれも制度内容が難解であるため、自分に利用できる制度があるかもしれないという場合でも、必ず弁護士や司法書士へ相談することをおすすめします。
時効による債務の消滅(消滅時効)
消滅時効とは、一定期間行使されない権利は時間の流れにより消滅するという制度です。借金は債務であり消滅時効の対象になります。
借金は原則、債権者(お金を貸している人)が権利を行使できることを知ったときから5年、または権利を行使できるときから10年行使しないときに時効によって消滅するため、債権者に口頭や書面で時効の主張をするだけで借金を返済する必要がなくなります。
任意整理
任意整理とは、債権者と交渉して借金の額を支払い可能な額に減額する私的な手続きです。私的手続きであり、裁判所を通さず行うものではないため簡単そうに思えますが、どこまで減額できるかは交渉次第になるため必ず望む結果を得られるとは限りません。
特定調停
特定調停とは、裁判所を仲介人として債権者と交渉するものです。いわば裁判所を通じて行う任意整理のようなものです。裁判所が関係するので、調停の結果は裁判の判決と同じ効果を持つ強力なものとなります。一方で、裁判所に申し立てて調停を行う必要があり、費用と時間がかかるため注意が必要です。
個人再生手続き
個人再生手続きとは、裁判所にて行う手続きの1つです。裁判所に借金の返済が困難なことを認めてもらい、債権者から同意を得ることで借金を減額し、その減額した後の金額を3年間で分割して支払う制度です。
手続きも大変で借金全額が免除されるわけではありませんが、住宅など財産を維持したまま借金を整理できる点は大きなメリットです。
自己破産
最終手段に自己破産があります。裁判所に申し立て自己破産することで、浪費やギャンブルによって作った借金など一部の例外を除き、借金の返済が免除されます。
しかし、金融機関からの借り入れや裁判所の許可のない転居や旅行ができなくなったり、後見人になれなくなったりするなど、公私にわたって大きな制限を受けることになります。生活に生じる制限を踏まえると、自己破産はもう打つ手がないといった場合の最終手段にとどめておくべきです。
現代に徳政令はないが、借金を減らす手続きはある
現代においては、過去発せられた徳政令のように無条件で借金をチャラにする制度はありません。しかし、一定要件の下借金の全額ないし一部がチャラになる仕組みは存在しています。
借りたお金は返すのが当然ですが、どうしても返済が難しいという場合に制度を頼って借金を整理することは悪いことではありません。それら制度の存在を踏まえた上で、借金で困っている場合速やかに弁護士や司法書士などへ相談することをおすすめします。
出典
裁判所 個人再生手続利用にあたって
執筆者:柘植輝
行政書士