更新日: 2022.07.28 その他暮らし

クラウドファンディングはビジネスに活用できるか? 活用事例を解説

執筆者 : 古田靖昭

クラウドファンディングはビジネスに活用できるか? 活用事例を解説
商品やサービスのアイデアはあるのに資金が足りない、資金繰りが厳しいというビジネス上の悩みを抱えている場合、クラウドファンディングの活用による資金調達が選択肢としてあげられます。
 
本記事では、商品やサービスの開発、資金繰り難からの回復などビジネス面でクラウドファンディングをどのように活用できるのか、その方法や事例を解説します。
古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

クラウドファンディングの活用

クラウドファンディングは、インターネットを活用して不特定多数の人たちから少額ずつお金を集める資金調達の手法です。
 
クラウドファンディングには、「寄付型」、「購入型」、「投資型」の3つの種類があります。寄付型は、支援者がお金を寄付する仕組みで、購入型は、支援者がお金を支援した上で、リターンとして商品やサービスを受け取る仕組みです。
 
投資型は、さらに「株式型」、「貸付型」、「ファンド型」の3つに分けられます。株式型は、投資に対して株式をリターンとして受け取り、貸付型は、投資資金を集めて企業に融資し、リターンとして利息付で返済を受けられます。最後のファンド型は、投資資金を集めて企業の事業に投資し、リターンとして配当金を受けることができます。
 
また、クラウドファンディングは受け取る方式によっても分類できます。「All-or-Nothing方式」と「All-in方式」があり、All-or-Nothing方式は、目標金額を達成した場合のみに支援金を受け取ることができます。All-in方式は、目標金額が達成できずに終了したとしても集まった分だけ支援金を受け取れる方式となっています。
 

クラウドファンディングの活用事例

クラウドファンディングの活用事例を紹介します。
 

資金繰り難から回復するための資金調達

新型コロナウイルス感染症によって打撃を受け、金融機関から融資を受けることも難しくなっていたある遊園地は、クラウドファンディングを活用して5500万円の支援金を集めました。
 
この遊園地は経営再建中で8年がかりで黒字になったところ、新型コロナウイルス感染症の影響によって、売り上げの減少や休園を余儀なくされました。そこでクラウドファンディングを活用し、「1日貸し切り権」といったユニークな返礼品を用意して支援を呼びかけたところ、地元の新聞やSNSで話題となり、日本全国から資金が集まったのです。
 
クラウドファンディングの活用による知名度の向上もあり、団体利用客が増加して売り上げが前年同月を大きく上回る月もありました。
 

新商品開発と顧客開拓につながる

クラウドファンディングは、商品やサービスの新たなアイデアはあるものの十分な需要があるかがわからないという場合にも活用できます。
 
高級傘の製造や販売を行うある企業は、新商品開発と顧客開拓につなげるためにクラウドファンディングを活用しました。
 
同社は、IoTデバイスを利用して傘を紛失するリスクを低減するというアイデアを基に、新商品開発や資金調達、テストマーケティングを行うためにクラウドファンディングを利用したのです。その結果、価格設定や商品設計面での課題が明らかになり、また、商品の認知度向上にもつながりました。
 

クラウドファンディングはビジネスに活用できる

クラウドファンディングは、金融機関からの融資が難しい状況でも資金を調達できる可能性を生み出し、またテストマーケティングや新規顧客開拓などに活用することもできます。
 
また、政府による補助金事業の審査を受けるとき、新たな商品やサービスに対する十分な市場ニーズがあることを説明する際には、クラウドファンディングで行ったテストマーケティングが有効であるともされています。補助金申請や金融機関から融資を受けるにあたって、クラウドファンディングでテストマーケティングを行ってから申請、相談するのも手でしょう。
 
このようにクラウドファンディングは、新事業のための資金調達だけではなく、資金繰りやテストマーケティングなどビジネスの幅広い局面で活用できる手法といえるでしょう。
 

出典

中小企業庁 不特定多数の人から資金を調達「クラウドファンディング」
 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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