更新日: 2022.07.29 子育て
「生活保護」を受けていても大学進学は可能? 利用できる制度はどんなもの?
この記事では、どうすれば大学進学することができるのかをはじめ、利用できる制度について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
世帯分離すれば大学進学は可能に
内閣府の「子供の貧困対策に関する有識者会議」第4回資料によると、「平成28年度子供の大学等進学率の内訳」は大学等に進学したのは全世帯で52.1%であるにもかかわらず、生活保護世帯は19.0%と非常に低くなっています。
この理由は、生活保護を受けている世帯の大学進学は原則としては認められていないからです。ただし、「世帯分離」することによって大学に進学することは可能になります。
世帯分離とは、同じ世帯であっても特定の人のみ生活保護の対象から外すというものです。例えば、これまで両親と子ども1人の3人世帯が生活保護を受けていたとします。大学に進学する際、進学する子どものみ生活保護世帯から外してしまうのです。世帯分離は同じ家に住んでいたとしても行うことができます。
ただし、生活保護の対象外となってしまうため、その分、もらえる生活保護費は少なくなってしまいます。そのうえ、子どものみ医療費扶助から外れてしまうことになります。そのため、国民健康保険に加入し、国民健康保険料を支払う必要が出てくるのです。医療費も自己負担分は支払わなくてはなりません。
大学進学で利用できる制度とは?
大学に進学するとなると、入学金や授業料、教材費などがかかります。ただでさえ生活保護費が減っているのに支出が増えるため、家計のやりくりは大変です。そのため、2018年に成立した「改正生活保護法」によって大学進学を理由とした世帯分離の場合、「住宅扶助分」に関しては減額されないことになりました。
つまり、家賃の補助費は世帯分離した子どもの分ももらえるのです。また、大学に進学する際には「進学準備給付金」の支給があります。条件によって支給額は異なり、大学進学で転居する場合は30万円、転居しない場合は10万円もらえるというものです。また、「奨学金制度」を利用するという手もあります。
20歳になれば国民年金に加入しなければなりませんが、学生の場合は本人の所得が一定以下の場合は「学生納付特例制度」を利用することが可能です。この制度を利用すれば、在学中の保険料は猶予されます。つまり、大学で勉強している間は国民年金保険料を支払わなくて済むのです。大学に進学する際は、こうした制度を上手に活用するとよいでしょう。
世帯分離や制度の活用で大学に進学しよう
世帯分離することによって、生活保護世帯の子どもでも大学進学は可能です。2018年に成立した「改正生活保護法」によって家賃の補助費は世帯分離した子どもの分も支給されることになりました。このほか、進学準備給付金や奨学金制度も活用することができます。生活保護世帯であってもあきらめずに、大学進学を検討してみてはいかがでしょうか。
出典
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 生活保護FAQ No.2 生活保護を使いながら大学は行けるの?
内閣府 第4回 子供の貧困対策に関する有識者会議
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部