「フィギュアスケーター」になるにはいくら必要?将来は稼げるの?

配信日: 2022.08.08

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「フィギュアスケーター」になるにはいくら必要?将来は稼げるの?
浅田真央さんや羽生結弦さんの活躍でフィギュアスケーターに憧れる子どもが増えています。その一方でスケートリンクの減少や、保護者の経済的負担の重さも指摘されていて、誰もが気軽に始めて長く続けられるスポーツではないようです。
 
とはいえ、子どもが「フィギュアスケーターになりたい」と言えば、かなえてあげたいのが親心かもしれません。そこで、本記事ではフィギュアスケートの選手になるための方法や費用、気になる将来性などについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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フィギュアスケート界の実情はどうなっているの?

浅田真央さんや羽生結弦さんのようなスーパースターを輩出しているフィギュアスケート界ですが、4年に1度のオリンピックで1つの種目に与えられるメダルは3つ。北京大会のシングル日本代表として派遣されたのは男女それぞれ3人です。
 
また、グランプリシリーズのような国際大会にも派遣資格を満たす必要があります。国内の競技統括団体である公益財団法人日本スケート連盟の登録選手であることが大前提です。フィギュア人気の高まりで著名なコーチが所属するフィギュアスケートクラブや教室は入会待ちの状態になっているとされます。
 
しかし、以下のような課題も抱えていることから、フィギュア界の実情は決して華やかな面ばかりではないようです。
 

・課題1.少ない競技人口

フィギュアスケートの競技会に出場するには日本スケート連盟(JSF)に登録する必要がありますが、連盟は登録者数を公表していませんので正確な登録者数は不明ですが、2019年に発表した「JSF Vision 2019」によると、JSF競技登録者数は約7600人、全米フィギュアスケート協会に18万4000人の競技人口があると記してあります。
 
日本では同連盟がスピードスケートとショートトラックも統括しているためこれらの競技人口を差し引いた5000人弱がフィギュアスケート人口と推定されます。
 

・課題2.スケートリンクの減少

競技人口が少ない原因の1つとして、文部科学省・スポーツ庁が実施している「体育・スポーツ施設現況調査」によると、全国の屋内スケートリンクの施設数は図表1の通りピーク時(1980年代)の3分の1まで減少しています。
 
スケートリンク自体が少ない中で、通年利用できる施設になるとさらに少ないのが実態で、全体の半分程度しかありません。最も競技人口が多い東京都でも3カ所だけです(2022年7月現在)。
 
図表


(文部科学省・スポーツ庁「体育・スポーツ施設の現況調査」(1969~2018年を基に編集部作成)
 

フィギュアスケーターになるための費用はいくら?

選手になるには、教室やクラブに通って技能を向上させてバッジテスト(初級〜8級)に合格する必要があります。もちろん、そのためには一定の費用がかかります。
 

・フィギュアスケーターになるための主な費用

会員制の教室やクラブ(ジュニアクラス)の月会費は、各団体や年齢などによって7000円〜2万8000円程度と幅があります。
 
また、バッジテストの級を上げていくためには、個人レッスンも必要です。東京23区唯一の通年リンクである「明治神宮外苑アイススケート場」で個人レッスンを受講する場合、30分で2600円~6200円程度(講師や受講者数によって異なる)の料金が必要になります。
 
この他にも、家の近くにスケートリンクがない場合の交通費やガソリン代、スケート靴代(10万円程度)、衣装代(手作りなら3万円〜4万円程度)、参加料(大会によって異なる)、遠征費などは全て保護者の負担です。五輪や世界選手権を目指すために専属コーチをつけるとなると、さらに出費がかさむことになります。
 

フィギュアスケーターの将来性ってどうなの?

保護者のサポートや本人の才能と努力でフィギュアスケーターになれた場合に、どのくらい稼げるのか調べてみました。
 

・競技者時代

五輪でメダルを獲得すれば国と日本スケート連盟から100万円〜500万円、世界選手権でメダルを獲得すれば日本スケート連盟から50万円〜100万円の報奨金が出ます。また、ごく一部の有名な選手はスポンサーとの契約金が得られます。
 
何よりも大会に出場する間はアマチュア選手として活動しなければならないため、競技活動費をねん出するための大会や競技団体のスポンサー企業のCM出演などを除くと、報酬を得るために競技を行う行為は制限される点がゴルフやテニスの選手と大きく異なります。
 

・プロスケーターになる

そこで、浅田真央さんや羽生結弦さんのようにアマチュアからプロへ転向すれば、プロスケーターとしてアイスショーに出演できます。ただし、競技者として集客力のある選手でないと、ショーだけで生計を立てるのは難しいようです。
 

・指導者になる

講習を受けた上で試験に合格すれば公認スケートコーチの資格が得られます(免除制度あり)。この資格を得ることで子どもや初心者を指導できるようになり、コーチとしての実績を積めばナショナルチームの指導も可能になります。
 
ただし、有名な選手の専属コーチになれば別ですが、そうでない限り高額の年収は期待できません。入会する子どもが多い一方、夢を断念する子どもも多いため、常に生徒集めをしなければ安定的に収入を確保するのは困難です。
 

将来性を考える前に習い事の1つとして通わせてみよう

フィギュアスケーターになるには未就学段階から相応の費用が必要です。しかも、上達してバッジテストの級が上がるごとに出場する大会のグレードや規模が上がるため、移動宿泊費もかさむことになります。
 
また、浅田真央さんや羽生結弦さんのようなスーパースターになれば別ですが、フィギュアスケーターになれたからといって、将来的に多くのお金が稼げるわけではないようです。近所にスケートリンク、教室やクラブが開かれているのなら、まずは習い事の1つとして通わせてみるのが現実的といえます。
 

出典

公益財団法人日本スケート連盟 JSF VISION 2019 創立100周年に向けて
日本電産株式会社 スピードスケートチーム日本電産サンキョースケート部
文部科学省・スポーツ庁 体育・スポーツ施設現況調査
西武鉄道 ダイドードリンコアイスアリーナ
明治神宮外苑 スクール・レッスン
日本スケート連盟 公認スケートコーチ1資格概要
日本スケート連盟
スポーツ庁 オリンピック・パラリンピック競技大会の報奨金
公益財団法人日本スケート連盟 表彰規定
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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