更新日: 2022.08.09 その他暮らし

今年働きすぎていませんか? 令和3年度「過労死等の労災補償状況」について

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

今年働きすぎていませんか? 令和3年度「過労死等の労災補償状況」について
毎年、「過労死」で亡くなる人は多く、厚生労働省は「STOP!過労死」を掲げて、毎年11月を「過労死等防止啓発月間」に定めており、事業主に対しても働きすぎ、長時間労働の削減に取り組む指導を行っています。
 
また、厚生労働省は2022年6月24日、令和3年度「過労死等の労災補償状況」を発表しました。
 
過労死を防ぎ、仕事を続けるためにどのようなことができるのか、改めて見直してみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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令和3年の過労死等の労災補償では精神障害による事案が過去最多に

厚生労働省の発表によると、過労死等の労災請求件数が前年比264件増加の3099件で過去最多となりました。このうち、脳・心臓疾患が原因となった事案が753件(前年度比31減)、精神障害が原因となった事案が2346件(同295増)です。
 
実際に労災が認定されたのは801件で、このうち136件は自殺未遂・死亡件数でした。
 

・上司などからのパワハラが最も多い要因

労災が認定されたケースで最も多い原因は、上司などからパワハラを受けたことによる精神障害です。
 
改正労働施策総合推進法(通称パワハラ防止法)が大企業では2020年6月から、中小企業では2022年4月から施行されています。各企業はパワハラを防止するためにさまざまな措置をとることが義務づけられましたが、それでもパワハラによる被害は完全に防止できていない状況です。
 

・仕事内容・仕事量に大きな変化が起きたことも精神的な負担に

パワハラに続いて、仕事内容や量が大きな変化を迎えたことも精神障害の原因になっています。
 
慣れない仕事はただでさえストレスになりますが、周囲のサポートがあれば乗り越えられる可能性も高くなるでしょう。しかし、コロナ禍によってリモートワークが増え、働き方が変化するなかで1人で考え、対処しなければならないことから精神的な負担を感じる人が増えていることが考えられます。
 

36協定以上の長時間労働は労働基準監督署に指導をしてもらえる

過労死を防ぐための方法の1つとして、「過労死ライン」が設けられています。
 
過労死ラインとは、長時間労働で過労死をする可能性が出てくる目安です。「1ヶ月間で100時間以上の残業」「2~6ヶ月間で1ヶ月間の平均残業時間が80時間以上」が目安となっています。
 

・36協定とは


 
労働基準法の36条「残業・休日出勤をさせる場合には労働組合等と協定を結ばなくてはならない」という決まりです。これに違反している場合、労働基準法を守っているかを監視している機関「労働基準監督署」や弁護士などに相談することができます。
 
労働基準監督署は相談があった場合、立入調査をして状況に応じて行政指導を行うので、長時間労働の解決が可能です。それでも改善されない場合は刑事処分の対象となり、労働基準法違反の罪で有罪が確定した場合、最高で6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。
 

・残業代の請求をするときのポイント

労働基準監督署に動いてもらうためには、「証拠」を集めておくことが重要です。証拠になるものは「タイムカード」や「勤務日報」、「業務メール」の日付などが挙げられます。ほかには、「残業代を正確に計算」しておくことも大切です。正確な残業代は「1時間当たりの基礎賃金×割増率×残業時間数」で計算できます。
 
残業代を請求しても応じてくれないときは弁護士に相談し、労働審判・訴訟を行うことも可能です。
 

過労にならないようにまずは相談を

労働基準法が守られているかどうかを監督している「労働基準監督署」があるため、残業時間が「過労死ライン」を越えている場合は、まず相談しましょう。
 
ただ、確実な証拠がなければ監督署も動けないので、相談する前に残業時間がわかる証拠をできるだけ集めておくことが大切です。監督署は証拠を確認し、労働基準法に違反している場合は立ち入り検査のうえで行政指導を行います。
 
残業代を請求する場合は弁護士への相談をすることも検討しましょう。
 

出典

厚生労働省 STOP!過労死
厚生労働省 令和3年度「過労死等の労災補償状況」を公表します
社会保険労務士PSRネットワーク 過労死等の労災補償状況(令和3年度)精神障害に関する事案の増加が目立つ
厚生労働省 労働施策総合推進法に基づく「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます!
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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