小学校の昼休み、子どもが校庭の鉄棒で転落し負傷! 治療費は学校が支払う?
配信日: 2022.08.11
そんなとき、治療費は学校が負担してくれるのでしょうか。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
災害共済給付制度について
災害共済給付制度とは、子どもが学校の管理下にある状況においてけがを負った際に給付を受けられるものになります。ここでいう学校の管理下とは、授業中や課外活動中はもちろん、昼休みなどの休憩時間の他、登下校中や学校の寮など幅広く含まれます。
例えば、休み時間中に鉄棒で転落してけがをした、登校中の通学路で自転車事故でけがをした、給食で食中毒になってしまったというような場合で給付を受けられる制度になります。また、死亡してしまったり、けがが治った後に障害が残った場合にも給付を受けることができます。
ただし、高等学校と同等以上の学校に通う生徒や学生が自己の故意の犯罪行為または故意に負傷したような場合や、重大な過失によるような場合など一定の事由に該当する場合は学校内で起きたことであっても災害共済給付制度の対象外となることがあることにご注意ください。
給付の金額は?
災害共済給付制度によって受けられる給付の金額は起きた災害の種類によって異なります。
負傷や疾病の場合であれば、原則医療保険並みの療養に要する費用の10分の4の額、障害の場合は最大4000万円が、死亡の場合は最大3000万円が支給されます。
出典:独立行政法人日本スポーツ振興センター 「災害共済給付制度」のお知らせ
学生・子ども向け傷害保険の検討も
災害共済給付制度があるとはいえ、万が一に備えて学生・子ども向け傷害保険の加入も検討してみてください。
災害共済給付制度は学校外の日常生活でのけがなどは補償されませんし、学校の管理下で起きたけがなどであっても、一定の場合は補償の対象外であることもあるからです。さらに、特約を付けることでスマートフォンや習い事の道具など、携行している物が破損した場合に補償を受けられるなど補償内容を幅広くすることもできます。
そういったことを考えると、学校生活とは関係なく子どもが抱える多くのリスクを保障できる学生・子ども向け傷害保険の加入についても検討しておくことをおすすめします。
学校や教職員に対して責任を追及できるか
災害共済給付とは別に学校や担当教員個人へ直接責任を追及して、治療費や損害賠償を請求することのできる場合があります。
例えば、担当する教職員の故意または過失によって事故が起こった場合は学校側に使用者責任に基づいて損害賠償の請求をしたり、生徒への安全配慮義務を怠ったことによる債務不履行責任に基づいて損害賠償をできる場合があります。また、国立学校や私立学校である場合は学校だけでなく、その担当教員個人へ損害賠償の請求をすることが認められる場合もあります。
この点非常に難しい法的判断を求められるため、実際に学校や教職員へ責任を問う際は弁護士へ相談の上、対応することをおすすめします。
子どもが学校の管理下でけがをした場合、まずは災害共済給付制度の検討を
子どもが昼休みに鉄棒から落下してけがをした場合など、学校の管理下でけがが起こった場合、災害共済給付制度によって治療費の一部について給付を受けられる場合があります。また、場合によっては学校や担当教員に直接治療費を含む損害賠償を請求できることもあります。
子どもが学校の管理下でけがなどを負った場合、まずは災害共済給付制度が利用できないか、通っている学校へ確認してみてください。
出典
独立行政法人日本スポーツ振興センター 保護者の方へ
独立行政法人日本スポーツ振興センター 「災害共済給付制度」のお知らせ
執筆者:柘植輝
行政書士