生活習慣病で入院したらどれくらいの費用と時間がかかる?
配信日: 2022.08.11
生活習慣病の治療のためには、多くの医療費と時間がかかります。そこで、生活習慣病で入院した場合、どれくらいの費用と日数がかかるのか解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
生活習慣病はどんな病気?
生活習慣病とはその名のとおり、食事や運動不足、喫煙・飲酒など生活習慣が深く関連し、それらが要因となって発症する病気のことで、心臓病や脳卒中、がん、糖尿病などが含まれます。
厚生労働省の「人口動態統計月報年計」よると、令和2年の死亡者では死因の第1位はがん(27.6%)、第2位が心疾患(15%)と、全体の40%以上が生活習慣病により亡くなっています。
出典:厚生労働省 「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
また、「令和3年版厚生労働白書」では、高血圧性疾患の患者数が993万7000人、糖尿病が328万9000人と、非常に多くの方が生活習慣病を患っています。
出典:厚生労働省 「令和3年版厚生労働白書 資料編 I 制度の概要及び基礎統計(保険医療)」
このように、生活習慣病は現代の日本人にとって決して無縁といえるものではなく、多くの方に関係する病気として予防はもちろん、治療にかかる費用について知り、備えておく必要があります。
生活習慣病での入院日数の平均は?
生活習慣病に限った話ではありませんが、病気で入院する場合、症状によっては長期に及ぶこともあります。
厚生労働省の「患者調査」(令和2年)では、主な生活習慣病の退院患者の平均在院日数は下記のようになっています。
傷病分類 | 平均在院日数 |
---|---|
悪性新生物 | 19.6日 |
糖尿病 | 30.6日 |
高血圧性疾患 | 47.6日 |
心疾患(高血圧性のものを除く) | 24.6日 |
肝疾患 | 23.4日 |
慢性腎臓病 | 53.4日 |
※厚生労働省 「令和2年(2020)患者調査の概況 結果の概要(3 退院患者の平均在院日数等)」より筆者作成
病状や年齢などによっても異なりますが、生活習慣病で入院することになったら、1回の入院で少なくとも20日程度、長い場合は2ヶ月近くとなる可能性があると考えておくべきでしょう。
生活習慣病で入院する場合の費用は?
入院日数や病気の症状、治療内容などにもよりますが、生活習慣病で入院すると1回につき、22万円から70万円程度(3割負担の場合)は医療費のみで必要となりそうです。
傷病分類 | 1入院費用(3割負担の場合) |
---|---|
悪性新生物 | 約28万円から約32万円 |
糖尿病 | 約22万円 |
急性心筋梗塞 | 約52万円 |
脳梗塞 | 約53万円 |
※公益社団法人 全日本病院協会 「診療アウトカム評価事業 医療費 重症度別 急性期グループ 年間(2021年度)」より筆者作成
前述のとおり、これらの金額はあくまでも医療費のみであるため、食事代や個室を利用する際の費用は別となります。
参考までに、公益財団法人 生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」によれば、治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いの家族の交通費も含む)や衣類、日用品費などを含んだ入院1日当たりの自己負担額は、平均で2万3000円となっています。
生活習慣病で入院した場合の費用にどう備えるべきか
生活習慣病での入院にかかる費用に備えるには、医療保険に加入する方法があります。医療保険に加入している場合、病気で入院したときに入院給付金や手術給付金といった保険金が受け取れます。
日本には保障内容が充実した健康保険制度があるため、きちんと資産形成ができている方であれば、必ずしも医療保険は必要ではないかも知れませんが、日々の生活が大変で十分に貯蓄ができていない、保険がないと不安である、また子どもがまだ小さく、これからお金がかかるという場合、医療保険に加入しておくと生活習慣病で入院した場合のリスクに備えることができます。
いざというときに困らないように生活習慣病への備えを
生活習慣病での入院は20日以上の長期間にわたることもあり、病気の症状などにもよりますが、医療費含めた入院費用は1日当たりの平均で2万3000円程度は発生することが考えられます。
実際に病気になる前はイメージがつかないかも知れませんが、生活習慣病は誰でもかかる可能性があります。いざ生活習慣病となって入院が必要となったときに困らないように、今回紹介した統計を参考にして医療保険に加入したり、貯蓄をして備えておいてください。
出典
厚生労働省 令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況
厚生労働省 令和3年版厚生労働白書 資料編 I 制度の概要及び基礎統計(保険医療)
厚生労働省 令和2年(2020)患者調査の概況 結果の概要(3 退院患者の平均在院日数等)
公益社団法人 全日本病院協会 診療アウトカム評価事業 医療費 重症度別 急性期グループ 年間集計(2021年度)
公益財団法人 生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」
執筆者:柘植輝
行政書士