更新日: 2022.08.15 その他暮らし

お金に余裕がなく治療できない人が対象の「無料低額診療」。利用できる要件とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

お金に余裕がなく治療できない人が対象の「無料低額診療」。利用できる要件とは?
体の不調があっても収入が少ないので病院に行けない、そんな悩みを抱えている人はいませんか。お金がないからといって、病気になっても病院で治療してもらえないということはありません。お金に余裕のない人を対象に、厚生労働省は無料低額診療という制度を設けているからです。
 
そこで、今回は「無料低額診療」とはどのようなものか、どのような場合に利用できるのか、詳しく解説します。
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無料低額診療とは


無料低額診療は社会福祉法2条3項9号で定められている制度です。経済的に困窮している低所得者や要保護者、ホームレス状態にある人、DVの被害を受けている人、人身取引の被害者であった人などが対象です。治療費が払えないという人はもちろんのこと、保険証がないという人もこの制度を利用できます。
 
無料低額診療事業を実施している医療施設は日本全国に約700カ所あります。自分が住んでいる自治体ではどこの病院や診療所が実施しているのかは、各自治体のホームページなどで確認することができます。全日本民主医療機関連合会(民医連)のホームページでも確認できます。
 
診療内容や減免の詳細は病院や診療所によって異なるので注意が必要です。例えば地域によっては1ヶ月の収入が生活保護基準のおおむね120%以下であれば全額免除、140%以下であれば一部免除としているケースもあります。
 
また、重要なポイントは、この制度の適用はあくまでも生活が改善するまでの一時的な措置だということです。無料診療の場合、健康保険に加入するか、あるいは生活保護が開始されるまでの原則1ヶ月、最大でも3ヶ月(一部免除の場合は最大6ヶ月)の措置であることを忘れてはなりません。
 
この制度の目的は生活困窮者に対して経済的な支援を行うことだけではなく、医療施設の立場から生活困窮者の生活支援を行うことでもあるのです。
 

無料低額診療を受けるまでの流れ

無料低額診療を受ける際はまず、自分が住んでいる自治体の社会福祉協議会や福祉事務所といった関係機関に無料低額診療を受けたい旨を相談しましょう。
 
すると、その関係機関が地域で無料低額診療事業を実施している医療施設と協議し、減免額や減免方法を決定します。減免額や減免方法が決定されると関係機関から無料、あるいは低額の診察券が交付されるので、その診察券を持って指定の医療施設に向かいましょう。
 
もしも関係機関へ連絡せず、直接無料低額診療事業を実施している医療施設に行った場合には、その医療施設に所属している医療ソーシャルワーカーと相談した上で減免額や減免方法が決定されます。
 
その際にはあらかじめ給与明細や年金通知書といった収入額が分かる書類を用意しておくとよいでしょう。厚生労働省が2018年に行った調査では、日本全国で約760万人がこの制度を利用しています。
 

まずは地域の社会福祉協議会や福祉事務所に相談しよう!

収入が少なかったり保険証がなかったりするからといって、病院に行くことをためらうことはありません。体調が悪いのに放置してしまうと、最悪の場合、命の危険につながる恐れもあります。
 
無料低額診療はお金がない人でも医療を受けられることを国が法律で定めている制度です。無料低額診療を受けたい人は、まずは地域の社会福祉協議会や福祉事務所に相談してみましょう。
 

出典

e-Govポータル 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)
厚生労働省 無料低額診療事業について
厚生労働省 無料低額診療事業・無料低額老健事業の実施状況の概要(平成30年度実績)
全日本民医連 無料低額診療事業 制度の説明
全国福祉医療施設協議会 無料低額診療事業
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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