更新日: 2022.08.15 子育て

私立高校の「実質無償」の「実質」とは?無償にならないのはどんな費用?

私立高校の「実質無償」の「実質」とは?無償にならないのはどんな費用?
2020年4月から高等学校等就学支援金制度が始まりました。このことから、私立高校の授業料が「実質無償化」されたといわれています。しかし、この制度を利用するためには要件を満たしていなければなりません。また、私立高校へ通う際にかかる全ての費用が無償の対象になるわけでもありません。
 
そこで今回は、高等学校等就学支援金制度を受けるための要件や授業料以外にかかる費用について詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高等学校等就学支援金制度を受けるための要件

「高等学校等就学支援金」は国が行っている返還不要の授業料支援制度です。高等学校等就学支援金制度を受けるためには、3つの要件を満たしている必要があります。
 
その要件とは、1つ目が、高校に通う子どもが3年(定時制・通信制の場合は4年)を超えて在学していないこと、2つ目が、専攻科や別科の生徒、あるいは科目履修生や聴講生ではないこと(専攻科については別に授業料等に対する支援があります)、最後が、親の世帯年収が910万円以内(両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安)であることです。
 
とりわけ3つ目の所得要件に関しては、両親が共働きの場合は夫婦の収入を合算した金額が判断基準となるので注意が必要です。どちらか収入の多い方を基準にするわけではありません。
 

 
私立高校の場合、支給額は所得に応じて2段階に分けられます。世帯年収が590万円未満(両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安)の場合、支給額の上限は年間39万6000円です。私立高校の授業料の平均は約40万円ですので、その場合は実質的に授業料がほぼ無償になるでしょう。
 
しかし、世帯年収が590万円以上910万円未満の場合、支給額の上限は年間11万8800円になります。そのため、世帯年収が590万円以上の家庭では、制度を利用しても支給されるのは学費の一部ということになる可能性が高いでしょう。
 
ただし、世帯収入の基準は片働き世帯か共働き世帯か、さらには子どもの人数や子どもの年齢によって異なりますので、詳しくは文部科学省のサイトなどで確認してください。
 
また、国から支給された支援金は保護者が直接受け取るわけではありません。支援金は学校側が受け取って、そのまま授業料に充てられるからです。そのため、受給が決定する前に学校側に授業料を納付しなければならない場合には、前もって授業料を用意しておく必要があります。そうして受給が決定した後、支援金額が学校側から還付されます。
 

授業料以外にかかるお金

高校生活を営む中で必要となる費用は授業料だけではありません。2018年に文部科学省は、私立高校では年間でどのくらいの費用がかかっているのかを調査しました。
 
その結果、入学金のような学校納付金等に21万5999円、定期代など通学関係費に11万4043円、部活動費など教科外活動費に5万6224円、修学旅行や社会見学費用に5万3999円、図書や学用品等の費用に4万2675円などがかかるということです。
 
年間で50万円弱になります。さらに、塾に通わせたり家庭教師を雇ったりすれば、補助学習費が25万1000円かかります。つまり、私立高校に子どもを通わせている家庭では、授業料とは別に毎月6~7万円程度が必要になるということです。
 

高校進学資金は早いうちから準備しておこう!

高等学校等就学支援金制度を利用して授業料が実質無償化になったとしても、私立高校に子どもを通わせる場合には多くの費用がかかります。高校3年間だと総額は150万円程度になるでしょう。
 
お金がないからといって子どもの学びの可能性を狭めるようなことはしたくないもの。だからこそ、子どもの高校進学資金は早いうちから準備しておくことが大切です。
 

出典

文部科学省 就学支援金リーフレット
文部科学省 平成30年度子供の学習費調査の結果について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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