働き方改革…脱時間給?給与明細の見方を知って現状把握!知らないと後々、悲しい目に。
配信日: 2018.04.11 更新日: 2019.01.11
この機会に自分の働き方や給料について確認してみませんか。
Text:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
将来は時間にとらわれない働き方になる?
そもそも「裁量労働制」とは、実際に働いた時間ではなく、労使であらかじめ決めた「みなし労働時間」を基に、残業代込みの賃金が支払われる制度です。
仕事の進め方や時間配分などを自分の裁量で決められるので、「裁量労働制」と呼ばれています。
これまでの9時から17時までの働き方ではなく、働きやすい時間の配分を自分で決められることはメリットになります。政府の働き方改革関連法案では、脱時間給制度の創設も挙げられています。
時間にとらわれずに成果を重視する働き方にすることにより、仕事の効率アップを目指すものです。これらはともに、今すぐではないにしても、これからの働き方や給料に大きくかかわってくるので、注視が必要だと思います。
給料明細を確認して現状を知る
より身近で、“いま”しておいたほうがよいことがあります。給与明細の確認です。パートで働いている人は「時給○○円 〇時~〇時」で応募しているので、自分の時給や労働時間について把握できている場合が多いです。
一方で正社員の人は、意外と疎かになっています。私自身も、メーカーで正社員をしていたときは給与明細を見ることはなく、銀行口座に振り込まれた金額しか見ていませんでした。
先月は忙しかったので今月は少し給料が多い……何か自分にご褒美を買わないとね、という具合です。
給与明細を確認すると、いろいろな情報が記載されています。大きく3つの項目で構成されています。
【勤怠項目】
当月の勤務状況についての記録部分です。出勤日数や取得した有給休暇日数・休日出勤・振替日数・残業時間などが記載されています。時間外手当など、給料計算のベースになります。
【支給項目】
基本給と各種手当があります。手当には「役職手当」「家族手当」「通勤手当」などがありますが、会社によって違いがあります。自分の会社の制度を知っておくとよいと思います。
注意してほしいのは「残業手当」です。残業時間が反映されているか確認してください。基本給はボーナスなどの基準になります。
残業の多い人は手当支給後の金額と混同しがちです。「ボーナスは給料の3カ月分と聞いたのに少ない」と思ってしまうのは、そのためです。
【控除項目】
主な控除項目は以下のとおりです。
・社会保険料
<健康保険料>
本人や家族が病気やけがで診察を受けるときに、一定割合の負担で医療を受けるために支払う保険料。保険証を提示して利用している身近な存在です。
<厚生年金保険料>
将来支給される老齢年金や、死亡したときに遺族に支給される遺族年金、障がい者になったときの障害年金を受給するために支払う保険料。老後の生活を支える資金として重要な役割を担います。
<雇用保険料>
退職したときに、次の仕事が見つかるまでの間に支給される失業手当の受給、就業支援を受ける、また在職中も含めて教育訓練を受けるために支払う保険料。
<介護保険料>
一定の要介護状態になったときに介護サービスを受けるために、40歳以上になると納める保険料。
たくさん引かれていると感じますが、雇用保険料以外は会社と折半しているので、会社が同額の負担をしています(雇用保険は一般的な業種の場合、事業主が2/3負担)。
・税金
<所得税>
総支給額から、社会保険料の合計額を控除した金額をもとに算定されます。
<住民税>
前年の所得に基づき計算されます。新入社員の場合は2年目より天引きされます。退職した場合は、翌年は収入がなくても住民税の納付書が送られてくるので注意が必要です。
・その他
<組合費や親睦費>
会社によって、天引きされることがあります。
<個人加入の財形・生命保険>
個人で加入している、財形や生命保険・個人年金などの支払を天引きにしている場合は、この項目で控除されます。
将来、働き方の制度が変更されるかもしれません。また転職する、あるいは起業するといった「働き方」を変えるとき、現状を知っておくことは重要です。
起業すると、天引きで支払われていたものを、自分で払わなければなりません。
同じ会社に勤務していても、管理職になって残業がつかなくなったことで給料が下がる人は意外と多いです。先輩たちも残業代に頼った生活をしていたために、せっかく昇進したのに生活が苦しくなったという話を多く聞きました。
今月の給料日には、じっくり明細を確認してみませんか。
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士