中学生の保護者が知っておきたい、高校に行くための支援制度

配信日: 2022.08.16

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中学生の保護者が知っておきたい、高校に行くための支援制度
高校時代は、大学時代に次いで教育費がかかる時期ですが、授業料への支援や低所得世帯については授業料以外の教育資金への支援もありますので、中学時代の教育費より負担が軽くなります。
 
これらの教育費の負担を軽減する制度を利用すれば、低所得世帯の子どもも私立高校への進学が可能です。どのような支援策があるのかポイントを解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

高校に進学すると1年間でどのくらい教育費がかかる?

文部科学省の調査(*1)によると、子どもの学校教育、および学校外活動のために支出した1年間の経費は、公立高等学校(全日制)で45万7380円、私立高等学校(全日制) で96万9911円となっています。
 
このうち授業料などの学校教育費は、公立高等学校(全日制)で28万487円、私立高等学校(全日制) で71万9051円となっています。塾代や習い事代等の学校外活動費は、公立高等学校(全日制)では17万6893円、私立高等学校(全日制) では25万860円となっています。
 
学校教育費は「かかるお金」ですが、学校外活動費は「かけるお金」です。子どもの才能を伸ばすために学校外活動費にお金をかけたい気持ちはよくわかりますが、お金をかけたからといって才能が伸びる保証はありません。
 
資金に余裕のある家庭は別として、学校外活動費は計画的に支出するようにしましょう。例えば、習い事は優先順位を決め1個までにとどめる、塾代は無料のネット講座を活用するなどすれば節約できるかもしれません。
 


 

教育費の負担を軽減する公的な支援策にはどのようなものがあるか

学校教育費について、授業料の支援については高等学校等就学支援制度(国)があり、授業料以外の教育費の支援については高校生等奨学給付金(自治体)があります。
 
自治体による支援制度は、自治体ごとに支援の内容が異なる場合がありますので注意してください。本稿では東京都の例をとって説明します。
 
【都立高等学校(全日制)の支援制度】
 

・就学支援金(国)

両親・高校生・中学生の4人家族の場合、年収(目安)910万円未満では年間の授業料(11万8000円)が無料になります。就学支援金は授業料と相殺されます。
 

・多子世帯における授業料支援(都)

910万円以上でも多子世帯の場合には、東京都の授業料減免制度により授業料の半額5万9400円の支援を受けられます。
 

・高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)(都)

世帯年収(目安)270万円未満が対象です。授業料以外の教科書費・教材費、学用品、通学用品、教科外活動費等高校生等奨学給付金に充当されます。世帯の状況に応じて最大年額14万3700円が保護者の銀行口座に12月頃振り込まれます。
 

・給付型奨学金(都)

世帯年収(目安)350万円未満では、学校が指定した教育活動の中から、生徒が希望する活動に必要な経費(資格取得費・検定試験費用等)を世帯の状況に応じて最大5万円を、東京都が保護者に代わり支払います。
 
【私立高等学校の支援制度】
 

・就学支援金(国)

世帯年収(目安)910万円未満では、年間授業料(11万8000円)が無料になります。さらに、世帯年収(目安)590万円未満だと39万6000円軽減されます。
 

・授業料軽減助成金(都)

就学支援金に上乗せされます。世帯年収(目安)910万円未満で3万5200円、590万円未満で7万3000円の支援が受けられます。就学支援金と授業料軽減助成金を合計して最大(在学校の授業料が上限)46万9000円の支援を受けることができます。
 
世帯年収(目安)910万円以上でも、多子世帯の場合には東京都の授業料減免制度により5万9400円の支援を受けられます。
 

・高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)(都)

世帯年収(目安)270万円未満が対象です。授業料以外の教科書費・教材費、学用品、通学用品、教科外活動費等高校生等奨学給付金に充当されます。世帯の状況に応じて最大年額15万2000円が保護者の銀行口座に12月頃振り込まれます。
 

無利子貸付制度

教育費の無利子の貸付制度として、東京都受験生チャレンジ支援貸付金があります。これは、塾等の費用20万円、高校の受験料2万7400円以内を無利子で貸し付ける制度です。
 
入学した場合、申請により返済が免除になるのが特徴です。令和4年度から収入基準額の見直し等を行い、支援対象が拡大されました。
 
その他、東京都育英資金、私立高校の入学支度金貸付制度、ひとり親家庭向けの母子父子寡婦福祉資金(就学支援資金・修学資金)、低所得世帯向けの社会福祉協議会の生活福祉資金(教育支援資金)や、あしなが育英会の貸付金などがあります。
 
ここまで見てきた助成金・貸付金は、申し込まないと利用できません。手続きのスケジュールをよく確認しタイミングを逃さないようにしましょう。
 
(*1)文部科学省 平成30年度子供の学習費調査の結果について
 

出典

東京都生活文化スポーツ局 令和4年度 都内私立高等学校(全日制)の学費の状況
文部科学省 高校生等への修学支援
東京都教育委員会 ホームページ/授業料・入学料・支援制度等

東京都私学財団 ホームページ

東京都福祉保健局 ホームページ/受験生チャレンジ支援貸付事業
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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