更新日: 2022.08.19 その他暮らし

「国葬」って実際いくらかかるの?「国民葬」との違いやこれまでに国葬された人について調べてみた!

「国葬」って実際いくらかかるの?「国民葬」との違いやこれまでに国葬された人について調べてみた!
2022年7月22日の閣議で、故安倍晋三元首相の「国葬儀」を9月27日、日本武道館で執り行うことを決定しました。
 
そこで、国が全額負担して行われる「国葬」はどの程度の費用が必要なのか、これまで国葬された人にはどのような人がいるのか注目してみました。
FINANCIAL FIELD編集部

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内閣総理大臣経験者の「国葬」は1967年以来

大正15年に「国葬令」が公布されました。このため戦前は、軍人や政治家の国葬が行われています。例えば、ソウルで暗殺された伊藤博文初代内閣総理大臣(1909年)、日露戦争で勝ったときの連合艦隊司令長官東郷平八郎(1934年)、太平洋戦争で真珠湾攻撃を指揮した山本五十六海軍大将(1943年)らです。
 

・これまで総理経験者の国葬は5人

戦前は、国の要の人物だった内閣総理大臣に対しては国葬が行われており、伊藤博文、山縣有朋、松方正義、西園寺(さいおんじ)公望の4人が国葬でした。ただ、戦後の1947年に国葬令が「失効」したため、戦後に行われた「国葬」は、1967年の吉田茂1人だけです。
 
そして、55年ぶりに国葬が行われる予定なのが安倍晋三元首相です。国葬令が失効して以来、吉田茂元首相の国葬も異例だといわれていましたが、今回の閣議決定に基づく国葬儀の実施は、連続在職日数2822日、通算在職日数3188日の宰相への岸田内閣による特別な判断が込められているといえるでしょう。
 

・国葬以外には国民葬や合同葬などがある

国葬は国で功績があった人の葬儀を国費を使用し、国が喪主となって国家儀式として行うことです。戦前は国葬令があったことから、内閣総理大臣や軍人などの葬儀を国葬として行うことも珍しくありませんでした。
 
国葬令失効後は主に、国民葬あるいは衆議院葬、参議院葬、内閣・自由民主党合同葬として行われてきました。国民葬は国葬と語感は似ていますが、費用は国費以外に一部を遺族が負担するので、全額を国費負担する国葬儀とは異なります。
 

国葬の費用は約2億円になる可能性も


 
過去に行われた国葬の費用は1967年の吉田茂氏の場合で国費1810万円でした。ただ、これは1960年代当時の価値での話です。
 
日本銀行によると、当時の1万円を2022年の価値に換算するには「消費者物価指数(あるいは企業物価指数)÷1960年代の消費者物価指数(企業物価指数)」で計算します。消費者物価指数に当てはめると「101.8÷23.9=4.25倍」ですので、当時の1万円は2022年の価値で4.25万円です。つまり、吉田氏の国葬にかかった費用は7692万5000円ということになります。
 
当時は日本武道館に皇族、世界73カ国の特使らが参列しました。また、全国各地ではサイレンが鳴らされ、儀仗(ぎじょう)隊の「弔銃斉射」も行われた記録があります。
 

・2000年以降の元内閣総理大臣の葬儀費用は約1億5000万~2億円

2020年に行われた中曽根康弘元首相の葬儀は内閣・自民党合同葬で、費用は政府と自民党が折半しました。費用は約1億9300万円で、政府は9650万円を負担しています。
 
2000~2007年までの間に4人の元内閣総理大臣の合同葬が行われていますが、2004年の鈴木善幸氏の1億900万円を除き、1億5000万円台が必要でした。
 
そのため、2022年9月に予定されている安倍氏の国葬も1億5000万~2億円ほどかかる可能性があります。
 

国葬は政府が1億5000万~2億円ほど負担をする可能性も

戦前は国葬令があったことから、政治家や軍人の葬儀が国葬で行われることも少なくありませんでした。しかし、戦後に国葬令が失効し、国葬が最後に行われたのは1967年でした。当時は2022年の価値で約7700万円の費用がかかっています。
 
時代が流れて2000年以降になると、合同葬の場合でも1億5000万~2億円ほどの費用がかかっており、2022年9月に予定されている55年ぶりの国葬についても同程度の費用が国費から全額捻出されることになると予想されています。
 

出典

首相官邸 岸田内閣総理大臣記者会見(令和4年7月14日)
首相官邸 内閣官房長官会見(令和4年7月22日午前)
日本銀行 昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?
総務省 2020年基準消費者物価指数全国2022年(令和4年)6月分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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