更新日: 2022.08.19 その他暮らし

不動産を共同名義・共有持分にする際に注意することって、どんなこと?

執筆者 : 柘植輝

不動産を共同名義・共有持分にする際に注意することって、どんなこと?
物理的に分割が難しい不動産は、相続時や購入時など複数人の共同名義で取得し、共有状態になることがあります。
 
しかし、単純に1人が所有するのではなく、複数人で所有する関係上、場合によっては問題が生じます。
 
今回は、不動産を共有する際の注意点について解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

共同名義と共有持分

不動産を複数人で所有する際には、「〇〇と△△の共同名義」「共有持分は〇〇と△△で2分の1ずつ」などといわれることがあります。まずはこの言葉の意味から知っておきましょう。
 
共同名義とは文字通り、不動産を複数人で共同して所有している状態です。前述の例でいえば、〇〇と△△の2人が名義人(所有者)となり、1つの不動産を所有しているということです。
 
また共有持分とは、共同名義の不動産についての各名義人の所有割合のことで、前述の例の場合、〇〇と△△が2分の1ずつの割合で不動産を所有していることになります。
 

不動産を共同名義・共有持分とする際の注意点

不動産を共同名義・共有持分とする場合、次のような点に注意する必要があります。
 

使い方で話し合いが必要になる

共有状態にある不動産は、持分こそ定められていても、名義人全員が不動産全体について使用する権利を有します。物理的に、ここからここまでは〇〇が使用し、ここは△△が使用する部分というように区切ることができません。
 
仮に、名義人の1人が、自分の持分に基づいて当該不動産の全体を独占して居住していても、基本的には強制的にその方を追い出すことはできず、話し合いで解決するか、損害賠償を請求する程度にとどまります。
 
そのため、不動産を共有名義とするのであれば、あらかじめ不動産の使い方について、順番や予約制などルールを定める必要があります。
 

第三者が共有持分を取得する可能性がある

不動産を共有する各名義人は、自分の持分について、法律上はほかの名義人の同意なくに売買することができます。
 
そのため、ほかの名義人が無断で持分の売却を行った場合は、知らない第三者と共有状態になることもあります。
 
また、持分を有する名義人が亡くなって相続が発生した場合、相続人が共有持分を取得して共同名義人となるケースも考えられます。
 
この点については、相続のように不可抗力となる部分もありますが、勝手に持分を売却しないなど、共同名義人の間でルールを決めておく必要があります。
 

一部の共同名義人に負担が偏ることがある

不動産の共同名義人は、その共有持分の割合に応じて管理費用を負担するとされています。
 
例えば、不動産にかかる税金や修理など管理に関する費用の支払いについて、その不動産を一度も利用していない共同名義人が請求された場合でも、断れないということになります。
 
しかし実際には、共同名義人の誰かが「そんな修理は必要ないから払わない」などと言い出し、トラブルになることもあり得ます。
 
不動産を共同名義とする際は、使用頻度や個々の考え方に関係なく、その不動産について税金や管理費用の負担が生じることを、全員で認識しておく必要があります。
 

賃貸やリフォーム、売却などが自由にできない

共同名義となっている不動産の利用(賃貸など)や改良(リフォームなど)は、過半数の共有持分を有する名義人の同意が必要です。
 
また、売却や取り壊しといった処分行為は、名義人全員の同意が必要となります。
 
名義人同士で口約束による同意があった場合でも、最終的に反対する方が現れる可能性もあるため、不動産を誰かに貸し出したり売却を行ったりする際は、必ず書面で合意書を作っておく必要があります。
 

不動産を共有する際は名義人同士で事前に十分な話し合いを

不動産を共同名義にして、各名義人が共有持分を有する場合、その性質上、トラブルが起こりやすいことを知り、事前にある程度の対策を行っておく必要があります。
 
相続や売買など、何らかの理由で不動産を共同名義、共有持分という形で所有するケースでは、使い方などについて、名義人同士で十分に話し合っておくことをおすすめします。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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