更新日: 2022.08.24 その他暮らし

残業・休日・深夜手当の割増率はどのくらい? 計算方法を詳しく解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

残業・休日・深夜手当の割増率はどのくらい? 計算方法を詳しく解説
給料のうち残業や休日、深夜手当は法律で割増率が決められているのをご存じですか? 「休日出社して働いたときの残業代の割増率はどのくらい?」「割増賃金の計算方法は? どんな労働時間が割増賃金の対象?」など疑問をもっている方もいるでしょう。
 
そこで、残業など手当の割増率や計算方法について把握していれば、割増賃金や収入の具体的な計算ができるようになります。
 
そこで本記事では、残業・休日・深夜手当の割増率や割増賃金の計算方法などについて解説します。
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割増賃金とは

割増賃金とは、会社(使用者)が労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働をさせた場合に通常の賃金に上乗せをして支払う賃金のことです。その際に使用される割増率は、労働時間の種類などで異なります。
 
なお残業・休日・深夜手当について、労働基準法では雇用形態による区別を定めていません。そのため、契約社員やアルバイト、派遣社員でも割増賃金が発生します。
 
それでは、残業などをしたときに、どの程度の割増率で賃金計算されるのかを以下で説明します。
 

残業・休日・深夜手当の割増率一覧表

残業・休日・深夜手当の割増率一覧表は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

労働の種類 労働時間 割増率
法内残業(就業規則上の所定労働時間は超えるが、法定労働時間を超えない場合) 1日8時間、週40時間以内の労働 割増なし
時間外労働(法定労働時間を超える場合) 1日8時間、週40時間を超える労働 25%
深夜労働 22~5時までの間の労働 25%
休日労働 法定休日(週1日)の労働 35%
時間外労働(限度時間内)+深夜労働 月60時間を超えない時間外労働+22~5時までの間の労働 50%
休日労働+深夜労働 法定休日(週1日)の労働+22~5時までの間の労働 60%
月60時間を超える時間外労働(※) 月60時間を超える時間外労働 50%
月60時間を超える時間外労働(※)+深夜労働 月60時間を超える時間外労働+22~5時までの間の労働 75%

※中小企業については2023年4月1日から適用
 
出典:東京労働局「しっかりマスター労働基準法」より筆者作成
 
上記のとおり、割増率は25~75%となります。
 

割増賃金が発生する3種類の労働時間

割増賃金が発生するのは大きく分けると、「法定労働時間を超えて労働した時間」「22〜5時の間に労働した時間」「法定休日に労働した時間」の3つです。どのようなときに、割増率が適用された割増賃金が発生するのかを知っておくことで、割増賃金や収入を計算しやすくなります。
 
ここでは、割増賃金が発生する3種類の労働時間について見ていきましょう。
 

時間外労働の時間

法定労働時間とは、労働基準法第32条で定められた労働時間のことです。法定労働時間は、原則1日8時間、週40時間で法定労働時間を超えて働いた残業が時間外労働です。時間外労働には、25%以上の割増率が適用されます。
 

深夜労働の時間

深夜労働とは、22〜5時の間にした労働のことです。労働基準法37条4項に基づき、25%以上の割増率が適用されます。
 
時間外労働と深夜労働がどちらも発生した場合には、「時間外労働の割増率25%以上+深夜労働の割増率25%以上=50%以上の割増率」となります。
 

休日労働の時間

休日労働とは、法定休日(週1日または4週間を通じて4日以上)の労働です。労働基準法35条に基づき、休日労働には35%以上の割増率が適用されます。
 
なお、前もって法定休日を出勤日として、代わりにほかの日を休日とする「振替休日」を取得した場合、手当は支給されません。しかし、休日労働をした後で代わりとして「代休」を取得した場合は、手当が支給されます。
 

割増賃金の計算方法

割増賃金の計算方法は、以下のとおりです。
 
・割増賃金額=1時間あたりの賃金額×対象の労働時間×各労働種類の割増率
 
月給制の場合は「月給÷1年間における1ヶ月の平均所定労働時間」で1時間あたりの賃金額を算出します。月給には、家族手当や通勤手当、住宅手当などは含まれませんが、精勤手当は含まれます。
 
東京都労働局の「しっかりマスター労働基準法」では、次の例を示しています。

・基本給:23万5000円
・精勤手当:8000円
・家族手当:2万円
・通勤手当:1万5000円
・年間所定休日:122日
・1日の所定労働時間:8時間
 
1年間の1ヶ月平均所定労働時間:[(365日-122日)×8時間]÷12ヶ月=162時間
1時間あたりの賃金額:24万3000円÷162時間=1500円

上記の例で、時間外労働の時間が月に10時間だとすると、割増賃金は「1500円×10時間×125%=1万8750円」となります。
 

残業・休日・深夜手当の割増率は雇用形態に関係なく25%以上

時間外労働、深夜労働、休日労働の時間には、25%以上の割増率が適用されます。これについて、雇用形態は関係ありません。
 
割増率や割増賃金の計算方法を把握していれば、残業・休日・深夜手当や収入の計算を具体的にできるようになります。早速、最近行った時間外労働や深夜労働、休日労働の割増賃金を計算してみて、ご自身の給与明細を確認してみたらいかがでしょうか。
 

出典

東京労働局 しっかりマスター労働基準法
e-GOV 法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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