更新日: 2022.08.28 その他暮らし
国がサポートしてくれる「中小企業退職金共済制度」って何? 退職金はいくらもらえるの?
本記事では、国がサポートしてくれる中小企業退職金共済制度を利用したいと考える人に向けて、その概要をはじめ、加入の要件や制度の利用により退職の際に受け取れる金額などについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
中小企業退職金共済制度とは
中小企業退職金共済制度の概要
本制度は、「中小企業退職金共済法」(昭和34年法律第160号)に基づき、中小企業の振興や、そこに勤める人の福祉の増進を目的として、国によって設けられた制度です。
厚生労働省が管轄している、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)によって運営されています。
具体的には、中小企業がそこに勤めている人に対し、毎月掛け金を支払って積み立てをおこない、従業員が退職する際には、まとまった金額の退職金が退職者本人に支払われる制度となっています。
中小企業退職金共済制度の加入条件
本制度は、中小企業で働いている個人が申し込みをするものではなく、企業が加入するものです。個人事業主であっても加入できます。なお、企業が加入する際は、あらかじめ決められている加入要件を満たすことが必要です。
加入要件は業種ごとに、「資本金・出資金の総額」か、「常用従業員数」のいずれかの基準を満たしているかどうかが問われます。
具体的には、業種ごとに以下が加入の条件となります。
<一般業種の場合>
資本金・出資金の総額が3億円以下、または常用従業員数が300人以下であること
<卸売業の場合>
資本金・出資金の総額が1億円以下、または常用従業員数が100人以下であること
<サービス業の場合>
資本金・出資金の総額が5000万円以下、または常用従業員数が100人以下であること
<小売業の場合>
資本金・出資金の総額が5000万円以下、または常用従業員数が50人以下であること
加入できるのは中小企業に勤めている従業員で、原則として全員の加入が必要になります。
ただし、試用期間中の従業員や、決められた期間のみ雇用される従業員、すでに定年退職することが決まっている従業員などについては、加入する必要はありません。
また、下記にあてはまる人は、中小企業退職金共済制度に加入できないため、注意が必要です。
●法人企業の役員
●中退共制度に加入している人
●特定業種退職金共済制度や小規模企業共済制度に加入している人
※中小企業退職金共済法に基づく特定業種(建設業・清酒製造業・林業)退職金共済制度には、企業として両制度に加入はできますが、同一の従業員が両制度に加入することはできません。
●被共済者になることに反対の意思を表明した従業員
中小企業退職金共済制度に加入している場合に受け取れる退職金の金額
本制度に加入している従業員が、退職する際に受け取れる金額は、毎月支払われていた掛け金の金額と納付年数によって決められた「基本退職金」と、厚生労働大臣が決めた支給率に従って基本退職金に上乗せされる「付加退職金」の合計額です。
なお、毎月の掛け金の金額は、5000円~3万円の範囲で16通りの選択肢があり、事業主がその選択肢の中から、従業員ごとに掛ける金額を決められます。
また、一度決めたあとでも月額変更申込書を提出することで金額を変更することが可能です。
中小企業退職金共済制度を利用しよう
中小企業退職金共済制度に加入するためには、「資本金・出資金の総額」か、「常用従業員数」のいずれかの基準を満たす必要があるなど、条件があります。
しかし加入することで、事業者にとっても従業員にとっても、さまざまなメリットがあります。
加入条件に当てはまっている中小企業は、中小企業退職金共済制度の加入を検討するとよいでしょう。
出典
厚生労働省 中小企業退職金共済制度とはどのような制度ですか。
独立行政法人勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部(中退共) ホームページ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー