更新日: 2022.08.29 その他暮らし

旅の形態は、さまざま。ひょっとしたら「いいとこ取り」になるかもしれないパターンとは?

執筆者 : 上野慎一

旅の形態は、さまざま。ひょっとしたら「いいとこ取り」になるかもしれないパターンとは?
新型コロナウイルス感染拡大の問題が表面化してから、早くも2年半が経過しました。旅行需要喚起策「Go To トラベル事業」も、全国一律で実施されたのは2020年10月から12月にかけてのわずか3ヶ月足らず。その後、エリアや対象者を絞り込んだ「県民割」が運用されています。
 
この制度を全国的に展開しようとした矢先にコロナ禍の第7波入りが喧伝され、拡充の動きは停滞中です。
 
ところで、旅の形態はさまざまあって、どうするかは人そ れぞれ。そこに、「いいとこ取り」のようなパターンなどを考えられないものでしょうか。
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

旅の形態ごとに長所・短所あり

日本人の国内旅行消費額で宿泊旅行は、2011年以降2019年まで年間14億円から17億円くらいの幅の中で推移していました。ところがコロナ禍の影響で、2020年7.8億円、2021年7億円と大きく落ち込んでいます(※1)。
 
一方、同時期で国内宿泊旅行の1人1回当たり旅行支出(旅行単価)の動きを見ると、2018年と2019年はかなり活況でしたが、2020年4万8000円台、2021年4万9000円台もここ10年余りの中では、決して見劣りしない数字となっています(※1)。
 
ところで、この宿泊旅行、旅行目的「観光・レクリエーション」で2021年に旅した人は約8万人。このうちパック・団体旅行利用は約7000人で、残り約7万3000人は個人旅行。また同行者は、家族系の約5万8000人が最大で、友人約1万1000人余り、自分ひとり約6500人と続きます(※2)。
 
ここで【図表1】をご覧ください。個人旅行とパック・団体旅行、そして個人旅行(家族系以外)の中での、長所・短所のイメージをまとめたものです。
 

図表1-1

図表1-2

 
個人旅行とパック・団体旅行の対比は、わかりやすいと思います。そして個人旅行の中でも、家族との旅行はさて置き、友人との旅行とひとり旅ではかなり対照的な要素が感じられます。
 
ここで、冒頭で提起した「いいとこ取り」に関してですが、出発から帰着までずっと同じ形態で続ける必要はないのではないか。そんな視点で、筆者も経験している3つのパターンをご案内しましょう。
 

「集団旅」と「ひとり旅」。その“ハイブリット型”とは

(1)集団行動するが、宿は1人1室にする

・学生時代の友人たちと鬼怒川温泉に泊まったときのパターンです。泊まった宿は、夕朝食ともバイキング形式で供される大衆的な旅館型ホテル。実は、定員4名くらいの部屋でも繁忙期でなければ1名宿泊が可能な場合があり、しかも料金は定員宿泊時と同一でした。
 
・気心の知れた友人同士とはいえ、さほど広くない部屋で枕を並べるのは、イビキ・寝言・歯ぎしりなどの懸念もありえます。
 
・1名1室が可能かどうか。旅館系タイプはダメだろうと先入観を持たずに、旅行予約サイトなどで確認してみる価値はあると思います。

 

(2)現地集合・現地解散にして、集団行動する

・知人たちと会津若松に観光旅行に出掛けたときのパターン。宿は、ビジネスホテルで1人1室にしました。
 
・鉄道ルートの場合、東京から郡山まで新幹線利用となりますが、時節柄、車内でシートを対面にしての談笑や酒食は避けなければなりません。また郡山からの在来線はロングシート席の場合が多く、これまた談笑等には不向きです。
 
・こうした事情もあり、各自が都合の良い交通手段で現地に直接集合する形に。その後はずっと集団行動したうえで、現地で解散しそれぞれ帰途につきました。

 

(3)各自バラバラにひとり旅しながら、夕食と晩酌だけ現地で共にする

・サラリーマン時代の同僚たちと、ずっと続けているパターンです。事前にみんなで合議して決めた開催地の地方都市(直近は盛岡でした)に集まって、夕食と晩酌を共にする。
 
・お店は、開催地ごとに持ち回りでつとめる幹事役が選んだ居酒屋。金曜日の夕刻に集合して、地元の食材や地酒などを味わいながら楽しいひと時を過ごす。ただそれだけです。
 
・この例会に参加すること以外は、行程も内容も各自が決めて自分のペースで自由に旅をする。いわば「ひとり旅の集合体」のような会です。もう13年以上も続いています。

 

まとめ

コロナ禍の先行きは、まだまだ不透明。内外からの観光需要が以前のような水準に回復するかどうかも、予断を許さない状況だと思います。
 
とはいえ、気兼ねなく旅行ができるようになる時期がいずれはやってくるでしょう。旅はそもそも、出発から帰着までずっと同じ形態で続ける必要性などない。「いいとこ取り」の視点を持つと、旅の選択肢やバリエーションがもっと豊かになるかもしれません。
 

出典

(※1)観光庁「旅行・観光消費動向調査の2021年年間値(確報)」
(※2)観光庁「旅行・観光消費動向調査」~「2021年1~12月期 集計表(確報)」(旅行形態や同行者の数値に関するデータは、「T04」(第4表)のボタンをクリックすると表示される)
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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