更新日: 2022.08.30 その他暮らし

「タレントになりませんか?」その契約、詐欺かもしれません!

「タレントになりませんか?」その契約、詐欺かもしれません!
テレビで活躍するタレントやアイドルなどを見て「将来、芸能人になりたい!」を思っている子どもたちが、ある日突然街中でスカウトされたら……。うれしくて、すぐにでも契約したくなってしまうかもしれません。しかしその契約、もしかしたら詐欺かもしれません。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

事務所に行ったら、なんか話が違う

タレント・モデル契約についてのトラブルが問題視され、平成28年11月30日の国民生活センター報道発表により注意喚起がされましたが、近年トラブルの相談件数は600~700件前後で推移しています。
 
街中でのスカウトに加え、今は、検索して見つけたオーディションに申し込んだり、SNSのタレント事務所の募集広告に応募したりしたりと、自ら飛び込んで被害に遭うケースも見られます。10代、20代の女性の被害の割合が多くなっていますが、近年、男性の相談も増えています。
(国民生活センター令和4年2月24日報道発表資料より)
 
では、どのような被害内容なのでしょうか。大きく分けて2つあります。
 
1つめは、オーディションや事務所に出向いたところで、不意打ち的に有料のレッスンやマネジメントの契約を告げられるケース。そしてもう1つは、タレントやモデルのつもりで面接に行ったら、アダルトビデオ(以下AV)への出演を強要されたという内容です。
 
それでは、詳細と対策を見ていきましょう。
 

レッスンを受けないと仕事ができない

スカウトされて、面接やオーディションに合格してから、マネジメント料・レッスン料の話をされます。「あなたは応募者○○人中の数名の合格者」なんて言われたら、うれしくなってしまいますよね。少々お金がかかっても……と思うのではありませんか。
 
「レッスンを受けないと仕事ができない。芸能界では当たり前。お金をかけてでもスキルアップが必要」と言われ、さらに、「今日中に契約すれば映画やファッションショーに出してあげる」「今どうするか決めないと、合格を取り消す。今しかないチャンスだ」と言われると、焦ってしまいます。
 
不合格だったとしても、「才能がある。やる気があるならレッスンを受けよう」「他の企画に推薦したい。もう一度事務所に来てほしい」と、期待を持たせてレッスンの契約をさせようとします。お金を支払う契約を急がせる時点で、注意が必要です。
 
なかには、「すぐに仕事が入るから」と言われ、クレジットカードや借金をして契約するよう勧める事業者もいますが、レッスンしてもすぐに仕事や報酬が約束されるのではありません。「有料レッスンの契約をしてもレッスンを受けられない」「マネジャーから仕事の紹介をしてもらえると言われたのに、何もしてもらえない」という事例も見られます。
 
解約したら、高額な違約金を取られた事例も見受けられます。
 

知らないうちに契約?

「絵画モデル、手足の撮影モデルで高収入」というモデルのアルバイトに応募したら、AV出演を勧められた、スカウトされて紹介された事務所はAV女優を派遣しているプロダクションだったという、AV出演を勧められたというものです。
 
契約書の際にプロダクションの説明でサインしたらAV出演の契約書だった、契約後に出演を断ったら違約金を請求されてしまった等、だまされて知らないうちに出演を強要されてしまう被害も発生していました。
 

その場で契約しない!

【すぐに契約しないようにしましょう】

「モデルやタレントに興味がありませんか」と勧誘されたら、名刺をもらう、事務所の名前を聞くなどして、一度帰宅してよく考えましょう。決して、その場で契約してはいけません。また、個人情報の提出を求められても、渡してはいけません。
 

【契約内容に注意をしましょう】

自分の活動の内容、事務所のサポート体制、そして、芸能スクール受講などの費用が「どの段階でいくら必要になるか」を契約前に確認しましょう。契約書が理解できない場合は、サインをしてはいけません。内容を口頭で教えてもらっても、書かれていることと内容が異なる場合があります。当初の話と違うときは、きっぱりと断りましょう。
 

【信頼できる人に相談しましょう】

18歳から成人、親権者の同意なしに1人で契約できますが、未成年者にあった取消権はありません。だからこそ、契約する前に家族や知人に相談するなど、「冷静」「慎重」に考える必要があります。すぐに契約をすることを避けましょう。
 
契約してしまった場合は一方的に取り消すことはできませんが、キャッチセールス、アポイントメントセールスは訪問販売とされ、クーリングオフ(無条件解約)ができる場合があります。消費者ホットラインに相談しましょう。
 
また、令和4年6月23日に「AV出演被害防止・救済法」が施行されました。これにより、AV出演契約をしても、無条件で取り消すことができるようになりました。性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターや警察相談専用電話へ相談しましょう。詳しくは、「内閣府 男女共同参画局 AV出演被害問題について」をご覧ください。
 

出典

国民生活センター タレント・モデル契約のトラブルに注意してください! ‐10代・20代の女性を中心にトラブル発生中‐(平成28年11月30日報道発表資料)
国民生活センター 【若者向け注意喚起シリーズ<No.9>】 タレント・モデルなどの契約トラブル -あなたの夢やあこがれにつけ込んでくる事業者に気をつけて!-(令和4年2月24日報道発表資料)
国民生活センター タレント・モデル契約のトラブルにご注意!
内閣府 男女共同参画局 AV出演被害防止・救済法が施行されました(令和4年6月23日)
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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