更新日: 2022.09.28 その他暮らし
残業しなくても「みなし」で支給される? みなし残業の概要を解説します
ですが、そもそも残業時間が計算されない「みなし残業」はどのような制度なのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、みなし残業のメリットとデメリットをご紹介します。違法な「みなし残業」になる場合もあるので、現在みなし残業が適用されている方や転職でみなし残業が適用される予定の方は必見です。
執筆者:羽田直樹(はだ なおき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
【経歴要約】
1983年兵庫県立宝塚西高校入学。野球部入部。高校3年生時生徒会長を務め、首席で卒業。
1986年同志社大学法学部法律学科入学。労働法専攻。大学時代は部員300名を擁するESSに在籍し、1回生時は英語弁論大会で関西3位に入る。3回生時はセクションリーダーを務める。英検準一級合格。ディベート・ディスカッションで英語本体と論理的思考を学ぶ。
卒業後、都市銀行入行。支店勤務を重ね、住宅ローン、カードローン業務に従事し、渉外担当に従事。証券外務員資格、FP2級資格を取得。
2008年には本店事務部門課長に就任。その後、新入社員研修講師を拝命、2012年には事務管理部門の責任者としてコンプライアンスオフィサー・内部管理責任者・衛生管理者2種資格を行使し金融機関の事務管理部門の中枢を務める。
特に、特殊業務である、相続トラブル 破産 不渡り 金融犯罪 口座不正利用 当局対応などに精通。警察、国税局、金融庁との交渉経験あり。
【保有資格】
英検準一級
証券外務員2種
FP2級
コンプライアンスオフィサー
証券外務員1種
内部管理責任者
衛生管理者2種
【スキルセット】
個人ファイナンシャルプラン
金融コンプライアンス全般(法令 規制関係 事故関係 個人情報保護)
【強みとエピソード】
ファイナンシャルプラン全般、金融商品の仕組み、口座不正利用や振込詐欺などの金融犯罪などのトピックをお伝えできればと思っております。
本店の管理職時代は日本を代表する大企業取引・全国一円からの苦情対応当局対応などユニークなエピソードを数多く抱えております。
また、ファイナンシャルプランナーと内部管理責任者の両資格を保有していることで『攻め』と『守り』の両側面からの見解を展開できるものと思っています。
●メガバンクの金融事務の実体験をもつファイナンシャルプランナー
●証券外務員一級の販売スキルと内部管理責任者としてのリスクマインドを持つフィナンシャルプランナー
●あらゆる相続案件の処理経験がある元メガバンカーのファイナンシャルプランナー
●当局対応などニッチな経験をもつファイナンシャルプランナー
みなし残業とは
みなし残業とは、実際に時間外労働をしていなくても残業したとみなす制度です。基本給に一定時間の残業代を含めて支給されるシステムを「固定残業代制」といいます。
みなし残業のもう一つの制度として「みなし労働時間制」があります。「みなし労働時間」は実際に働いた時間に関係なく、労働時間そのものが労使協定によってあらかじめ決められる制度です。
厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査の概況」によると、「みなし労働時間制」を採用している企業の割合は13.2%となっており、86.8%の企業は採用していません。
われわれが「みなし残業」を考えるとき、「固定残業代制」と「みなし労働時間制」どちらを指すのかをしっかりと理解することが大切です。
みなし残業の仕組み
「みなし残業」の考え方をまとめると、図表1のようになります。
【図表1】
出典 厚生労働省 裁量労働制の概要より筆者作成
ここでは、実際に残業代が発生する「みなし残業」の中の「固定残業代制」について解説します。
みなし残業のメリット・デメリット
みなし残業制で働くことのメリットは次の3点です。
・残業時間の算出が不要になる
・定時で終業しても残業代が発生するので仕事の効率が上がる
・収入の増減を気にしないので生活設計が立てやすい
みなし残業制で働くことのデメリットは次の3点です。
・会社側から見れば、人件費の高騰につながる
・規定時間までは残業しなければならないという雰囲気がある可能性がある
・規定時間を超過した残業は請求しにくい雰囲気がある可能性がある
みなし残業制で働く際の注意点
みなし残業制で働く際の注意点は図表2のようになります。入社前、入社後のそれぞれの局面で、適切な手続きがなされているか注意しなければなりません。
【図表2】
確認項目 | 内 容 | 詳 細 |
---|---|---|
求人票・労働契約 | 適切な表示 | 以下の点を正確に表示しなければなりません
・固定残業代を除いた基本給の額 ・固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法 ・固定残業時間を超える時間外労働、 休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う表示 |
残業時間の実態 | 適切かつ正確な管理 | 設定された残業時間を超える残業や深夜労働、休日出勤には別途割増賃金を支給する設定しなければなりません |
給与明細 | 適切な表示 | 以下の点が適切に表示されていなければなりません
・固定残業代により法定最低賃金を下回っていない ・固定残業代の金額やそれを超えて残業した時間を記載 ・残業時間は45時間以内である |
出典
厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」
NECソリューションイノベータ「みなし残業とは?2つの意味やメリット・デメリット、導入時の注意点も解説」より筆者作成
まとめ
ここでは、労働者であるわれわれが必ず直面する「みなし残業」の考え方について解説してきました。
「みなし残業制」を「固定残業代制」として採用している企業はトラブルを回避するために、適切な方法で労働者と契約を結ばなければなりません。
労働者であるわれわれも、「みなし残業制=固定残業代制」は違法な取り扱いがされる可能性があることを肝に銘じて日々業務にあたりたいものです。
出典
厚生労働省 裁量労働制の概要
厚生労働省 固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。
厚生労働省 令和3年就労条件総合調査の概況
NECソリューションイノベータ みなし残業とは?2つの意味やメリット・デメリット、導入時の注意点も解説
執筆者:羽田直樹
二級ファイナンシャルプランニング技能士