中学校の部活動、スポーツクラブへの移行が家計に与える影響は?
配信日: 2022.08.31
今回は、中学校の部活動が地域のスポーツクラブへ移行することで家計に与える影響について解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
なぜ地域スポーツクラブへ移行する?
学校の部活動は多くの課題を抱えています。代表的な課題として、少子化に伴う部活動への参加人数減による持続可能性の低下、対応する教師の労働時間が増加すること、指導経験のない教師にとっては心身の負担になること、などがあります。
このままでは、学校のみで部活動を支えていくことが困難となります。
そこで、活動の場を学校単位から地域のスポーツクラブへ移行することで、少子化の中でもかねて問題とされていた教師の部活動負担を軽減しつつ、子どもたちがスポーツを楽しむ場所を確保することがスポーツ庁の狙いとなります。
ただ、一気に地域のスポーツクラブへ移行するわけではなく、2023年から2025年まで3年間かけ、まずは休日の運動部の部活動から、各自治体が定めた計画に従い進めていくべきだと提言しています。
地域スポーツクラブへの移行で家計に与える影響は?
地域の総合型スポーツクラブのうち、おおよそ88%が会費を徴収しており、その平均額は月あたり約1060円となります。また、新たに地域のスポーツクラブに参加するために、従来の部活動から追加で必要となる費用の平均は1万7851円となっています。
上記のとおり、地域のスポーツクラブで部活動を行う場合は毎月1060円の費用がかかる可能性がありますが、先行事例においては格安で済んでいる場合もあります。
例えば、大分県大分市立野津原中学校や富山県朝日町立朝日中学校では参加費が0円、岐阜県羽島市立竹鼻中学校では500円といったように、地域移行が円滑に進んでいる学校では家計に与える影響はさほど大きくないようです。
この点、学校や地域によって異なる部分は多々あると思われますが、学校と地域の連携がうまくできている場合、地域スポーツクラブへの移行が家計に与える影響は小さい可能性も十分にあり得ます。
金銭面以外での負担が増えることも
地域のスポーツクラブへの移行において、家庭の負担となるのはお金だけではありません。場合によっては子どもの送迎も問題になることがあります。
今までは通える範囲にある学校が活動場所であったため、子どもの部活動について送迎が問題となるのは、たまにある試合や大会のときくらいだったでしょう。
しかし、地域スポーツクラブへ移行するとなると話は別です。移行先となるスポーツ施設が遠く、車での送り迎えが必須となるような場合は、都度送り迎えの時間と手間がかかります。仮にバスなど公共交通機関を利用するとしても、その分の交通費が負担となります。
この点は地域スポーツクラブへの移行に当たって、課題の一つといえるでしょう。
部活動のスポーツクラブへの移行については引き続き注視を
スポーツ庁によって、2023年から少しずつ、子どもの部活動の活動場所が学校から地域のスポーツクラブへと変わっていきます。実際にどのように変わっていき、家計の負担が増えていくのかは、地域や学校の対応によって異なることが予想されます。
2023年以降、中学生のお子さんを育てることになる家庭においては、今のうちから、進学予定の学校における部活動についての情報を定期的に収集しておくとよいでしょう。
出典
スポーツ庁 運動部活動の地域移行に関する検討会議提言 参考資料集
執筆者:柘植輝
行政書士