更新日: 2022.09.01 子育て

日本学生支援機構の奨学金。留年、停学、退学になった場合はどうなるの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

日本学生支援機構の奨学金。留年、停学、退学になった場合はどうなるの?
日本学生支援機構の奨学金は、自分や家族だけでは学費がまかないきれない場合に利用できる制度の1つです。
 
しかし、これから申し込みをしようとしている人にとっては「万が一、留年や停学や退学になった場合は奨学金はどうなるの?」と思うかもしれません。
 
そこで今回の記事では、留年、停学、退学になった場合の奨学金の扱いについて、解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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結論からいうと止まる

結論からいうと、退学になった場合は、そもそも大学生ではなくなるので奨学金の貸与も止まります。
 
留年、停学の場合も、奨学金の貸与が止まる可能性が高いです。なぜそうなるのでしょうか?
 

適格認定とは

日本学生支援機構では、定期的に「適格認定」を行っています。簡単にいうと「この学生に奨学金の貸与を継続してよいか」を審査することです。
 
以下の3つのポイントがチェックされます。

・人物が優れているか
・修業年限(大学の場合は4年または6年)で卒業または修了できる見込みがあるか
・引き続き奨学金の貸与が必要な経済状況か

実際には、奨学金の貸与を受けている学生が毎年1回、奨学金継続願を提出し、その後、適格認定に移ると考えましょう。
 

4段階で評価される

適格認定の結果は以下の4段階で評価されます。
 
【図表1 適格認定の処置区分】

処置区分 奨学金の交付  詳細
継続 継続する 特段問題がないと判定されれば奨学金の貸与が継続される
警告 継続する 学業成績の向上が期待される。仮に学業成績が不振なままの場合は、奨学金の交付の停止または廃止の判断がなされる
停止 止まる 1年以内で学校長が定める期間、奨学金の貸与が止まる。成績が回復すれば再開することもある
廃止 止まる 奨学生としての身分を失うため、貸与もストップし、再開することはない

出典:独立行政法人日本学生支援機構「適格認定」より筆者作成
 
留年した場合、修業年限で卒業ができなくなります。また、停学に関しても3ヶ月以上続いた場合は、修業年限での卒業が極めて難しくなるでしょう。そのため、基本的には「廃止」と判定され、奨学金の貸与も受けられません。
 
なお、停学、留年した後も大学に在学し続ける場合は、在学猶予の手続きをとりましょう。これは、届け出により、最短の卒業予定年月まで返済期限が猶予される制度です。つまり、卒業するまで返済を待ってもらえます。
 

貸与がストップしないこともある

「試験でカンニングした」「授業をさぼっていたので単位がとれなかった」など、明らかに自分の過失で停学や留年になった場合、救済措置はありません。
 
しかし、自分の過失ではない理由で留年した場合、第二種奨学金(返済義務があるもの)に関しては、貸与がストップしない可能性も出てきます。
 
以下のいずれかに当てはまる場合は「第二種奨学金貸与期間延長願」を提出しましょう。

・留学していた
・病気、けがで療養していた
・ボランティア活動をしていた
・地震、洪水などの災害に遭った
・育児、介護などの個人的な理由で就業年数を超えて在学を認められた(長期履修課程)

 

奨学金の貸与が止まり学費が払えない時の対処法3つ

仮に奨学金の貸与が止まり、学費が払えなくなってしまった場合、延滞を続けると除籍になってしまいます。その前にできる対処法として、以下の3つを解説しましょう。

アルバイトをする

親、親族に工面してもらう

休学して働く

 

アルバイトをする

大学生の場合、後期試験が終わってからの休みがかなり長いため、その間にアルバイトに励めば、まとまったお金が工面できます。
 
体を壊すまで働くのは考え物ですが、できる限りシフトに入れてもらえるようにするなど、収入を確保できるように動きましょう。
 

親、親族に工面してもらう

正直に事情を話し、親や親族に工面してもらうのも1つのやり方です。
 
病気やけがなど、不可抗力によるものである場合は、話し合いが決裂する可能性は低いですが、自分の過失の場合はそうでない点を心にとどめておきましょう。いずれにしても、必ず返済することを条件に借り、勉強に励むのが大切です。
 

除籍して働く

何年かかってもよいから卒業したい場合は、大学に除籍届を出して働く方法も考えられます。学費が貯まった段階で除籍取消をし、大学に復帰しましょう。
 
ただし、除籍取消が必ず認められるとは限らない上に、手続きの際に納入金を求められる場合が多い点にも注意してください。
 

休学の場合は一定額の学費がかかる

休学して働く方法も考えられます。しかし、休学の間も、ある程度まとまった額の学費を払わなくてはいけない点に注意が必要です。「お金がまったくかからない」ことを重視するなら、除籍のほうがより確実でしょう。
 

留年の可能性が高い場合はまずは相談を

大学に入ったものの、健康上の理由で授業に出席できなくなってしまうのは、誰にでも起こり得ます。また、授業や実習を受けているものの、レベルが高くてついていけず、成績が振るわないことだってあるかもしれません。
 
自分の努力だけではどうしようもないと感じたら、学生部などに設置されている相談窓口に問い合わせてみましょう。在籍しているカウンセラーが話を聞いてくれて、親身になって対応してくれるはずです。
 
一度留年してしまうと、卒業するまで返済を待ってもらえるものの、貸与が止まってしまうため、経済的には大きなダメージになります。どうしようもない状態になる前に、まずは上手に人を頼りましょう。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 適格認定
独立行政法人日本学生支援機構 在学猶予
独立行政法人日本学生支援機構 第二種奨学金貸与期間延長願
独立行政法人日本学生支援機構 ホームページ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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