幼児教育・保育の無償化。利用料とは別でかかる費用はある?
配信日: 2022.09.02
無償化によって利用料はかからなくなったものの、別途費用がかかるケースがあります。また、トータルの費用でどちらがお得かを考える前に、幼稚園と保育園の違いも知っておきましょう。
今回は、幼稚園と保育園の違いや特徴、幼児教育・保育の無償化について紹介します。
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
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幼稚園と保育園の違い
幼稚園と保育園では、目的などに意外と大きな違いがあります。また、認定こども園という幼稚園と保育園の両方の特徴をもった施設もあります。
幼稚園の目的について、学校教育法では「義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長すること」としています(学校教育法第22条より抜粋)。
幼稚園を管轄するのは文部科学省で、小学校や中学校と同じく教育施設として位置付けられています。
一方、保育園(保育所)は「保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて、保育を行うことを目的とする施設」と児童福祉法で定義されています(児童福祉法第39条より抜粋)。
保育園を管轄するのは厚生労働省で、3歳から5歳では幼稚園教育に準じる教育を行いますが、ベースは児童福祉施設であり、利用するためには保護者が就労しているなど「保育を必要とする事由」が必要です。
また、幼稚園と保育園では利用時間などについても違いがあります。
幼稚園は1日約4時間の教育時間が基本となっており、午後や土曜日などの預かり保育を実施する幼稚園もありますが、多くは昼過ぎに終わります。また、夏休みなどの長期休業日があります。そのため、フルタイムの仕事をしている家庭では、幼稚園が終わった後のお迎えや休みの日の対応が難しいでしょう。
一方、保育園は保護者の状況に応じて8時間から11時間の利用ができ、長期休業日はありません。フルタイムで働いている家庭でも、仕事帰りに子どもを迎えに行くことができます。
まずはこうした幼稚園と保育園の違いを知った上で、費用面について考えていきましょう。
幼児教育・保育の無償化
幼児教育・保育の無償化により、3歳~5歳児クラスの利用料は無料になっています(0歳~2歳児クラスは住民税非課税世帯のみ無料)。幼稚園、保育園、認定こども園の多くが無償化の対象です。また、対象となる期間は原則、満3歳となった後の4月1日から小学校入学前までの3年間となっています。
ただし幼稚園の場合、無償化の上限が月額2万5700円となっており、上限を超えた部分は自己負担となります。また、対象期間についても、入園できる時期に合わせて満3歳から適用される点が保育園とは異なります。
なお、幼稚園の預かり保育を利用する場合も無償化の対象ですが、自治体から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。就労の要件などを満たして認定を受けた場合、預かり保育の利用については最大で月額1万1300円まで無償になります(預かり保育1日当たり450円の上限があります)。
無償化でも別途費用がかかるもの
幼稚園や保育園の利用料が無償化されているとはいえ、別途費用がかかるものがあるので注意しましょう。
まず、給食費(食材料費)、おやつ代(副食費)などがあります。保育園などの0歳~2歳児クラスでは保育料に含まれているケースが多いですが、3歳~5歳児クラスでは別途必要です。ただし、自治体独自の取り組みで給食費などが無償になったり、助成を受けられる場合があります。
それ以外には、通園送迎費(バスなど)、遠足などの行事費、制服代、教材費なども費用がかかります。行事が多い幼稚園などでは、こうした保護者負担となる費用についても確認しておいてください。
また、延長保育料も無償化の対象外です。延長保育の利用を考えている場合は、施設の案内をよく確認しましょう。
まとめ
幼児教育・保育の無償化によって、幼稚園や保育園の利用料の負担は少なくなりました。費用面で違いがあるとすると、給食費や行事費、制服代、教材費などになるでしょう。
幼稚園と保育園は目的や利用対象者に違いがあります。どちらに通わせるかは費用面だけでなく、施設の特徴や親の働き方、子どもの希望、自治体による子育て支援制度など、さまざまな面から検討しましょう。
出典
内閣府 よくわかる「子ども・子育て支援新制度」
e-Gov法令検索 学校教育法
e-Gov法令検索 児童福祉法
内閣府 幼児教育・保育の無償化について
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員