更新日: 2022.09.06 その他暮らし

所有から利用へ。カーシェアリングって?

執筆者 : 植田英三郎

所有から利用へ。カーシェアリングって?
個人の自家用車の所有・利用形態が変化しています。特に駐車場コストの高い都会地を中心に、カーシェリングの利用が着実に伸びているようです。今回はカーシェアリングのしくみと、マイカー所有との違いについて学んでみましょう。
植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

カーシェアリングと利用会員の状況

カーシェアリングは2010年以降本格的に車両台数と利用者が増え始め、2022年3月時点では車両台数は約5万1千台、利用会員数は263万人を超えています(※1)。
 
車両台数は国内の自家用車数の0.09%に過ぎませんが、利用会員者は総世帯数の約4.5%となっており(※2、3)、ある一定層の人たちがカーシェアリングを利用し始めていることがうかがわれます。今後、カーシェアリングを利用する人は、2030年までには倍増すると見られています(※4)。
 

カーシェアリングのしくみとマイカーとの比較

カーシェアリングを利用するためには、事前に入会から予約に始まる手続きが必要です。流れは次の表の通りです。
 

 
カーシェアに関心のある人は、マイカーを比較対象としていると思われます。コスト面などについて、次の表で比較してみましょう。
 

 
表は筆者が作成
 
車の所有や利用する動機は、単に経済面だけではありませんが、車両購入費・ランニングコスト・便利さ・駐車場の4項目のうち、3項目でカーシェリングに優位点があります。(黄色網掛け項目)
 
一方で、マイカーは、いつでも必要なときに使えることの他にも、代えがたい魅力があります。
 

●所有し、乗り、走る楽しさ
●移動(ドライブ)に必要なモノを常時車に置ける便利さ
●MaaS(Mobility as a Service)としての車の先進性への期待

 
車を持つ楽しさ、また経済性は、それぞれの状況に合わせて選ぶことです。経済性において優位なカーシェアリングの、利用時の費用についてもう少し見てみましょう。
 

カーシェアリングの利用例

カーシェアリングを利用して「普通」の走行をした場合の、年間5000キロメートル走行と3000キロメートル走行の例について見てみましょう。
 
年間5000キロメートル走行と3000キロメートル走行のカーシェアリング費用を試算してみると、5000キロメートル走行時は年間約27万円、年間3000キロメートルの場合は年間約18万円という試算結果になります。
 
走行内容は、さまざまなケースがありますが、以下の想定での月間費用の計算例です。・年間5000キロメートル 月約400キロメートル走行、月8回(週2回) 1回当たり 平均50キロメートル走行の場合
    

 
・年間3000キロメートル 月約250キロメートル走行 月8回(週2回) 1回当り 30キロメートル走行の場合
 

 
表は、筆者が大手カーシェリング(タイムズ)の料金体系を参考に算出し作成
 
有料駐車場料金を負担する場合の年間の車の維持費は約40万円と言われており、上記の2例はカーシェアリング利用時の参考になるのではないでしょうか。
 

マイカーからカーシェアリングに切り替える際のポイント

カーシェアリングの経済的なメリットについて見てきましたが、カーシェアリングにはデメリットもあります。
 

●予約が埋まっていて借りられない場合がある。
●返却予定時間が決まっているので、当日の予定変更などができない場合がある。
●車両の清掃が不十分な場合がある。
●毎月固定費がかかるケースもある。

 
以上の他に最大のポイントは、自宅の近くにステーションがあるかどうかです。
 
実際にマイカーから移行するに際しては、事前に1ヶ月程テスト利用を行った上で、最終的にマイカー処分、カーシェアリングの正式契約が望ましいと思われます。
 

まとめ

カーシェアリングの流れとマイカーとの比較、そして月間使用時の費用例についてまとめてみました。車の魅力や利便性と、自身や家族の求めている価値観と比べて判断されてみてはいかがでしょうか。
 

出典

(※1)交通エコロジー・モビリティー財団 わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移

(※2)自動車検査登録情報協会 自家用乗用車(登録車と軽自動車)の世帯当たり普及台数

(※3)総務省人口統計資料2022  5786万世帯から算出

(※4)経済産業省 令和3年度製造基盤技術実施等調査  58P~59

 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP