更新日: 2019.01.11 その他暮らし
上がり続ける都内私立高校の学費、10年で7%もアップ 3年間でかかる費用は平均217万円?
特に子育て世帯は教育費を確保するために、支出を聖域なく抑制している世帯も多いのではないでしょうか。
教育費を確実に備えていくためには、教育費がいくらくらいかかるのか早めに把握しておきたいところです。
そこで、今回は私立高校へ行く場合に備えて、私立高校の費用を調べてみました。
Text:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
授業料は前年比1.4%も上昇
下記の表は、都内私立高校の初年度納付金の合計、および内訳をまとめたものです。「授業料」と「その他」は毎年度納付する費用で、「入学金」と「施設費」は入学時に一括納付する費用です。
年度ごとの変化を確認できるよう過去9年間分を載せてあります。
平成30年度の初年度に納付する費用の平均は918,794円で、そのうちの49.6%を授業料が占めています。授業料の割合は徐々に高くなってきており、数年後には50%を超えそうです。
各費用が増えているなかで、施設費だけ前年比6.2%も減っています。
私立高校に入学した場合にかかる費用は、1年次が初年度納付金(総額)、2年次と3年次は授業料とその他の合計になります。平成30年度の数値で計算すると下記のようになります。
918,794円+(455,345円+170,111円)+(455,345円+170,111円)=2,169,706円
あくまで平均値ではありますが、3年間で約217万円にもなります。おおよそ入学時に290,000円、月々52,000円です。貯めたり助成制度を利用したりして、確実に準備をしておきたいところです。
私立高校の初年度納付金は20年以上も上がり続けている
先ほどの表にあった「初年度納付金(総額)」の推移をさらに長期間確認するために、22年間(平成9年度から平成30年度)の推移をグラフにしてみました。
見事な右肩上がりのグラフです。都内私立高校の初年度納付金(総額)の平均値は、確認できた平成9年以降で一度も下がったことがありません。平成9年度が780,755円、平成30年度が918,794円なので、この間に138,039円(17.7%)上がっています。
家計収入も同じように上がり続けてくれたら負担感は変わらないでしょうが、現実は厳しかった人が多いのではないでしょうか。
都内在住生徒の私立高校授業料への助成が拡充
2017年(平成29年)度から、東京都では私立高校に通う都内在住生徒の授業料への助成制度が拡充されました。
国の制度である就学支援金と、都の制度である私立高等学校等授業料軽減助成金を合わせて、世帯年収760万円未満なら年442,000円まで助成してもらえる可能性があります。
対象者に要件(親の年収制限等)があることや、申請が必要であることなどの注意点はありますが、子を私立高校へ行かせたい親にとっては、非常にありがたい制度です。詳細については、公益財団法人東京都私学財団へお問い合わせ下さい。
私立高校の学費を準備することは大変ですが、子どもの進路を親の事情で狭めたくはないものです。親としてはまずは現状を理解し、できる限りの経済的備えをしていきましょう。
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士