【自然との共存】「マタギ」の年収や仕事内容って?

配信日: 2022.09.15

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【自然との共存】「マタギ」の年収や仕事内容って?
クマやシカ、イノシシなどの狩猟をするマタギという仕事を聞いたことがある方も多いでしょう。ジビエ料理の流行に伴い、テレビや新聞などのマスコミで狩猟について目にする機会も増え、狩猟は身近な存在になってきました。ここでは、狩猟を生業(なりわい)としているマタギの年収や仕事内容について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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マタギの仕事内容とは?

マタギ(又鬼)とは、日本の東北地方などの山岳地帯で、クマやシカ、イノシシなどの野生動物を伝統的な技法で狩猟を行う人のことで、特に秋田県の阿仁マタギが有名です。
 
マタギの仕事は、野生動物を相手にするので、自然環境への深い知識や狩猟する動物への対応力が必要です。自然の中で共存するために「山の恵みをいただく」というマタギの精神のもと、生態系を乱さないように山の環境への配慮も必要となります。森林の減少やカモシカの禁猟化という背景もあり、マタギのみで生計を立てている人は近年減少しています。
 
また、高齢化が進むにつれて、後継者が育たなくなりマタギの文化を受け継ぐ人がいなくなってしまうという深刻な問題もあります。
 
また、マタギの減少と相まって、近年は野生動物によって起こされる「獣害」も増加しています。イノシシやシカなどが畑の作物や樹木の樹皮、高山植物を食い荒らす「食害」、入山した人がクマに遭遇し襲われる「人身事故」のような被害も後を絶ちません。自然と共に生きるためにも、獣害を駆除する狩猟者の役割は大きいのです。
 

現代のマタギや猟師に必要な資格

マタギに限らず猟師になるためには、「狩猟免許」が必要です。狩猟免許は都道府県知事が交付するもので、罠猟(わなりょう)免許、網猟免許、第1種銃猟免許(装薬銃)、第2種銃猟免許(空気銃)の4種類があり、自分の狩猟スタイルに合わせて免許を取得します。
 
また、猟銃を所持するためには、住所地の公安委員会(都道府県警察)に猟銃所持の許可を受ける必要があります。資格取得後は、地域の狩猟者に同行して狩猟技術を教えてもらいながら狩猟をします。地域の猟友会に所属すれば初心者でも参加しながら技術を学ぶ機会が得られるでしょう。
 

マタギの年収とは?

マタギの平均年収は240万円程度といわれています。しかしマタギの収入は狩りをした野生動物を売って生計を立てているので地域差や個人差も大きいのが現実です。地域によって狩猟可能な期間が定められていて、11月中旬~翌年2月中旬までしか狩猟することはできません。
 
そのため、狩猟期間以外は、山に詳しいという特技を生かしてガイドの仕事を請け負ったり、農・林業などをしたりしながら生計を立てることが一般的となっています。マタギを専業としていては、生活していけないのが現実なのです。
 
近年ではジビエ料理の流行もあり、週末のみ趣味で狩猟をする人も増加しています。趣味で狩猟をする場合は、仕留めた獲物を売った金額が収入となりますが、有害鳥獣駆除をすれば報酬がもらえる制度もあります。有害鳥獣駆除とは、国や自治体からの依頼を受けて畑を荒らす野生動物を駆除することで報酬がもらえるという制度です。
 
自治体によって報酬額は変わりますが、栃木県鹿沼市ではイノシシの駆除で1万6000円、ニホンジカ1万5000円、ニホンザル1万8000円の報酬が受け取れます。有害鳥獣駆除と狩猟では狩猟できる期間も異なります。
 
また、国(農林水産省)は令和5年度概算要求の中で、市町村の「被害防止計画」に基づく取り組み等を総合的に支援する「鳥獣被害防止総合対策交付金」の費用として前年度比約25億円増の約125億円を計上しています。
 
北海道を除く全国の猟期は、鳥獣保護法により原則、毎年11月15日~翌年2月15日と定められています。ただし、有害鳥獣駆除であればそれ以外の期間にも対象の鳥獣に限って狩りができます。それでも狩猟で生計を立てることは難しいですが、狩猟の技術を生かして副業として収入を得ることは十分に可能です。
 

自然と共存する新しいマタギ文化が必要

昔はマタギの世界は女人禁制でした。山の神様が非常に嫉妬深い女性なので、女性が山に入ると山の神様が怒るという、独特の世界観があったのです。現代でも自然を敬うマタギの精神が受け継がれるいっぽう、近年は女性や若い世代の狩猟者も増えつつあり、広く狩猟の文化を広めることが重要視されています。
 
時代の流れとともにマタギ文化を取り巻く環境も変化しており、次の時代にどのようなマタギ文化をつないでいくかが課題ともいえます。
 

出典

環境省 狩猟ポータル ハンターになるには 狩猟免許を取得する

一般社団法人大日本猟友会 [狩猟者へのみち]狩猟免許の取得

農林水産省 鳥獣被害対策コーナー 予算(令和5年概算要求)

鹿沼市 有害鳥獣捕獲報償金について

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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