更新日: 2022.09.16 その他暮らし

電車の「定期券」と「通常の運賃」、何日使うなら得する?

電車の「定期券」と「通常の運賃」、何日使うなら得する?
在宅勤務の推進などによってオフィスに通勤する日数が減り、定期券を購入するべきか迷うという場合があるかもしれません。
 
そこで本記事では、「月に何回電車に乗るなら定期券を購入するほうが得なのか?」という疑問に対し、答えを見つけ出すための基本的な考え方について解説していきます。
齋藤たかひろ

執筆者:齋藤たかひろ(さいとう たかひろ)

2級ファイナンシャルプランナー

定期券とは

そもそも定期券とは、正式には「定期乗車券」といい、券面に表示された区間・経路で繰り返し乗車する乗客を対象に、一定の期間で区切って発行される乗車券のことです。
 
一般的には1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月というように有効期間が定められ、期間が長いものほど割安になります。定期券は記名人のみが使用でき、貸与などはできません。
 
定期券は学生のみ利用できる「通学定期」と、誰でも利用できる「通勤定期」に大別されますが、本記事では主に「通勤定期」について解説します。通勤定期の購入費用は、「手当」として会社から支給されるケースが多いですが、会社が支給することは法令上の義務ではありません。支給の有無は会社の就業規則によります。
 

定期券と乗車券の料金を比較

それでは、東京圏で主要な鉄道網を有するJR東日本と東京メトロについて、それぞれの定期券と乗車券(普通旅客運賃)の料金を比較してみましょう。
 

JR東日本の場合

JR東日本の普通旅客運賃は、幹線内の場合、「営業キロ」によって分けられた区間ごとに料金が定められています。営業キロとは、乗車券や特急券などの料金計算に使われる距離のことです。
 
例えば、東京付近の多くの路線が該当する電車特定区間では、営業キロ1~3キロの場合は140円、4~6キロの場合は160円、7~10キロの場合は170円といった要領で定められています(ただし、山手線内の区間は一部料金が異なります)。
 
また、図表1の通り、通勤定期の料金は営業キロで1キロメートルごとに設定されています。
 
図表1 JR東日本 大人通勤定期旅客運賃

出典 JR東日本 旅客営業規則 別表第2号ヨ
 
例えば、10キロメートルの区間での乗車券料金は片道170円となっています。これに対し、通勤定期(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)を何日使ったら元を取れるのか、以下の通り日数を計算することができます(東京付近における電車特定区間内の場合。山手線内を除く)。

●1ヶ月定期の場合 5270(円)÷(170[円]×2[往復])=15.5(日)
●3ヶ月定期の場合 1万5010(円)÷(170[円]×2[往復])÷3(月)=14.71568…(日)
●6ヶ月定期の場合 2万5290(円)÷(170[円]×2[往復])÷6(月)=12.39705…(日)

以上のように、最も割安な6ヶ月定期の場合だと、1月当たり13日以上出勤するなら、定期券を購入するほうが得ということになります。
 

東京メトロの場合

東京メトロの普通旅客運賃も、営業キロを基準とした「キロ程」により、区間ごとに料金が定められています。東京メトロの運賃表は、図表2の通りです。
 
図表2 東京メトロ 運賃(特殊区間を除く)

出典 東京メトロ 普通券(きっぷ)
 
東京メトロの通勤定期の料金設定は、図表3の通り1キロ程当たりで定められています。
 
図表3 東京メトロ線 定期旅客運賃表(特殊区間を除く)

出典 東京メトロ 旅客営業規程から、一部抜粋
 
例えば、10キロメートルの区間での乗車券料金は片道200円です。これに対し、通勤定期(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)を何日使ったら元を取れるのか、算出してみましょう(特殊区間を除く)。

●1ヶ月定期の場合 7800(円)÷(200[円]×2[往復])=19.5(日)
●3ヶ月定期の場合 2万2230(円)÷(200[円]×2[往復])÷3(月)=18.525(日)
●6ヶ月定期の場合 4万2120(円)÷(200[円]×2[往復])÷6(月)=17.55(日)

最も割安な6ヶ月定期の場合でも、1ヶ月当たり18日以上出勤しないと、定期券を購入するほうが得にはならないと明らかになりました。また、同じ10キロメートルという条件であっても、JR東日本と比較して東京メトロのほうが、元を取るのに日数がかかることが分かります。
 

通勤スタイルに合わせたベストな選択を

通勤定期の購入費用が勤務先から支給されている場合は、定期券を利用するのがベストな選択であることは言うまでもありません。ただし、交通費を自分で負担する方式なら、オフィス勤務と在宅勤務のバランスを考えて、より得なほうを選択する必要があります。
 
そんなとき、乗車券と定期券の料金算定方法を知っていれば、賢い買い方を自分で計算することができます。鉄道料金は地方や利用する距離によっても異なるため、上記で説明した日数に必ず一致するとは限りませんが、今回説明したポイントを基にぜひ計算してみてください。
 

出典

JR東日本 旅客営業規則 第2編 旅客営業-第3章 旅客運賃・料金-第2節 普通旅客運賃
JR東日本 旅客営業規則 別表第2号
東京メトロ 普通券(きっぷ)
東京メトロ 旅客営業規程
 
執筆者:齋藤たかひろ
2級ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集