任意後見人って何? 後見人になる人はどんな人? かかる費用や契約方法について
配信日: 2022.09.24
しかし具体的にはどのような制度で、任意後見人にはどのような役割があるのかを知らない人がほとんどではないでしょうか。
そこで本記事では、任意後見制度の概要と、任意後見人の役割やなれる人、任意後見制度の契約方法と費用について簡単にまとめました。ぜひこの機会に、任意後見制度について理解を深めてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
任意後見制度とは
「任意後見制度」とは、自己判断能力に不安がある人を法的に保護・支援する「成年後見制度」のひとつです。
任意後見制度では、認知症や障害などによって判断能力に問題が生じた場合に備えて、本人が判断能力を十分に有しているうちに自ら任意後見受任者を選び、将来任意後見人に委任する事務の内容を、公正証書による契約(任意後見契約)で定めます。
本人の判断能力に問題が生じた場合、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されると任意後見契約が発効し、任意後見受任者が任意後見人となって委任された事務を代行することになります。任意後見監督人選任の申し立てができるのは、本人、配偶者親等内の親族、任意後見受任者のみです。
任意後見人と任意後見監督人
「任意後見人」は、後見を受ける本人が選び、判断能力に問題が生じたのちの事務を委任した人です。任意後見人には、本人が指名する成人であれば、原則として誰でもなれます。身内や友人のほか、弁護士や司法書士などの専門家や社会福祉協議会などの法人への依頼も可能です。
ただし、破産者や本人との訴訟歴がある人、金銭に著しくルーズな人などは、任意後見人になれないことが法律に定められています。
任意後見人が受任する事務には、次のようなものがあります。
・財産管理:不動産や預貯金などの管理、年金の管理、税金・公共料金の支払いなど
・介護・生活面の手配:要介護認定の申請手続き、介護サービス提供契約の締結、介護費用の支払い、医療契約の締結、入院手続き、入院費用の支払い、老人ホームの入居契約の締結、生活費の送金など
あくまでも介護や生活面の手配が仕事であり、家事や直接的な介護行為は任意後見人の仕事に含みません。
一方、「任意後見監督人」は、任意後見人が適正に仕事をしているかどうかを監督する人です。また、法律行為において本人と任意後見人の利益が相反する場合に、本人を代理する役割もあります。
任意後見監督人は多くの場合、次のような専門知識をもつ第三者のなかから家庭裁判所が選任します。
・弁護士
・司法書士
・社会福祉士
・税理士
・福祉関連法人
任意後見受任者に近い親族や復権していない破産者、本人との訴訟歴がある人は任意後見監督人になれません。
任意後見制度の契約方法と費用
任意後見制度の利用について、おおよその流れは次のとおりです。
1.任意後見契約を締結
2.判断能力に問題が生じたら、任意後見監督人選任の申し立て
3.任意後見監督人選任後、任意後見契約が発効
任意後見契約を締結するには、本人と任意後見人になる人が公証人役場に出向き、任意後見契約公正証書を作成しなければなりません。このとき、以下の費用がかかります。
・公証役場の手数料:1契約1万1000円(証書の枚数5枚以上は5枚目から1枚ごとに250円加算)
・法務局への印紙代:2600円
・法務局への登記嘱託料:1400円
・書留郵便料:約540円
・正本謄本の作成手数料:1枚250円
任意後見監督人を選任する際は、原則として本人の同意のもと、本人の住所地の家庭裁判所に申し立てをします。申し立ての際には、次のものが必要です。
・申立書
・本人の戸籍謄本(全部事項証明書)
・任意後見契約公正証書の写し
・本人の成年後見等に関する登記事項証明書
・本人の診断書
・本人の財産に関する資料
・申立手数料:収入印紙800円分
・登記手数料:収入印紙1400円分
申し立てののち任意後見監督人が選任されると、そのときから任意後見契約の効力が生じます。
任意後見人は財産管理や生活面のバックアップ役
任意後見人は成年後見制度において、後見を受ける本人の判断能力に問題が生じたのちの、財産管理や生活面のバックアップをする役割をもつ人です。本人の信頼する成人ならほとんど誰でもなることができます。
任意後見制度を利用するには、公証人役場で公正証書による契約を締結したのち、家庭裁判所による任意後見監督人の選任が必要です。一連の費用は2万円弱程度と、それほど大きな金額ではありません。
老後などの備えとして、任意後見制度の利用について家族で検討してみてはどうでしょうか。
出典
厚生労働省 成年後見はやわかり 成年後見制度の種類
厚生労働省 成年後見はやわかり 任意後見制度とは(手続の流れ、費用)
法務省 成年後見制度・成年後見登記制度 Q16~Q20 「任意後見制度について」
日本公証人連合会 2 任意後見契約
日本公証人連合会 Q. 任意後見契約公正証書を作成する費用は、いくらでしょうか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部