更新日: 2022.09.26 暮らし

全体の「61.6%」が低所得世帯!? 教育費の「無償化」は低所得世帯の救済になる?

執筆者 : 柘植輝

全体の「61.6%」が低所得世帯!? 教育費の「無償化」は低所得世帯の救済になる?
昨今拡充がなされている各種教育の無償化は、低所得者を支援して所得間の教育格差を減らすためのものともいわれています。子どもの教育について特に支援を必要としている、いわゆる低所得とよばれる世帯はどのくらいいるのでしょうか。また、支援にはどのようなものがあるのでしょうか。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

低所得世帯とはどんな世帯?


 
低所得世帯といってもその定義はさまざまです。そのため、サポートする給付金や諸制度によって、低所得として扱う収入の金額も異なっています。仮に、家族構成などによっては住民税非課税世帯の可能性が高い、年収200万円未満の世帯だとすると、低所得世帯は全体の19%ほどになります。
 
また、中央値以下の所得の世帯だとすると、低所得世帯は全体の45.4%から55.9%の間になると推定され、かなりの数の世帯が属する状況になります。さらに、平均値以下の所得の世帯だとすると、低所得世帯は全体の61.6%という驚くべき数値になります。
 
文部科学省の調査によると、子どもの大学進学時に貯蓄を切り崩している世帯は多く、また、家庭の経済状況と子どもの学力には明らかな相関関係が見られるようです。
 
図表1、図表2からは、家庭の所得が高いほど大学進学率も高くなり、学歴が高卒以下よりも大卒の方が所得が高くなることが分かります。これらの統計を踏まえると、低所得世帯の子は低所得となる可能性が高く、結果として低所得は連鎖し、格差が広がっていくと考えられます。
 
図表1
 

 
出典:文部科学省 我が国の成長のための教育投資の充実
 
図表2
 

 
出典:文部科学省 我が国の成長のための教育投資の充実
 
今、教育格差をなくすために進んでいる教育の無償化は、特に、子どもに十分な教育の機会を与えたいが収入が追いつかない、低所得世帯の救済のための制度であるともいえます。
 

教育無償化の内容

ちまたでいわれている教育の無償化には、幼児教育・保育、高校、高等教育(大学など)と3つの段階のものが含まれています。それぞれについて、主立った内容を見ていきます。
 

幼児教育・保育の無償化

幼児教育・保育の無償化では、幼稚園や保育所、認定こども園、地域型保育、企業主導型保育事業を利用される場合に、原則、3歳から5歳児クラスの利用料が無料となります。また、住民税非課税世帯においては0歳から2歳児クラスも無料となります。
 
認可外保育施設などを利用する場合は、3歳から5歳児クラスが月額3万7000円まで無償となり、住民税非課税世帯においては0歳から2歳児クラスも月額4万2000円まで無償となります。その他、幼稚園の預かり保育を利用する場合も、3歳から5歳児クラスが最大月額1万1300円まで無償となります。
 

高校無償化

高校無償化では、一例として共働きで大学生と高校生の子どもを持つ世帯の場合、公立高校であればおよそ年収1090万円まで、私立高校であればおよそ年収740万円までの世帯において高校の授業料が実質無償となります。実質無償となる世帯年収の目安は家族構成などによって異なるため、その点は確認が必要です。
 
また、生活保護世帯や住民税非課税世帯においては、教科書や教材費など、授業料以外の教育費について最大15万2000円の返還不要の給付金を受けることもできます。これらによって、低所得世帯に対する高校進学のハードルは大きく引き下げられています。
 

高等教育への支援

高等教育への支援としては、国の認定した大学、短期大学、高等専門学校、専門学校に通う学生のうち、住民税非課税世帯およびそれに準ずる家庭に属する学生に対し、世帯収入や家族構成によって奨学金の給付や授業料の減免が受けられる制度があります。
 
住民税非課税世帯の場合、最大で、自宅通学では約46万円、自宅外通学では約91万円の給付型奨学金の支給と、さらに入学金約26万円、授業料約70万円の減免が受けられます(いずれも私立大学の場合)。こちらは高校のように無償化というわけにはいきませんが、高額な学費を要する大学などの進学にあたり、低所得世帯の負担を小さくすることができます。
 

収入が少ないと感じる世帯においては、教育の無償化制度を頼るべき

国は現在教育格差を是正し、多くの世帯で子どもが十分な教育機会を与えられるよう、教育の無償化を進めています。また、自治体によっては国の制度に加えて独自の制度を実施していることもあります。収入が十分でないからと子どもの教育費に頭を抱えている方は、一度各種教育の無償化をはじめ国や自治体の実施する教育支援制度について調べ、ぜひとも利用していきましょう。
 

出典

文部科学省 我が国の成長のための教育投資の充実

厚生労働省 2019年 国民生活基礎調査の概況

内閣府 幼児教育・保育の無償化について(日本語)

文部科学省 高等学校等就学支援金制度

文部科学省 高校生等奨学給付金

文部科学省 高等教育の修学支援新制度

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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