更新日: 2022.09.26 その他暮らし

高齢の親が光回線の便乗勧誘で契約してしまった。解約はできる?

執筆者 : 宿輪德幸

高齢の親が光回線の便乗勧誘で契約してしまった。解約はできる?
2024年1月から1年ほどをかけて、NTT東日本およびNTT西日本で固定電話のIP網への移行が開始されますが、「固定電話がIPになるとは、一体どういうこと?」と思う人も多いのではないでしょうか。
 
固定電話のIP網移行に伴い、デジタルに疎いと思われる高齢者を狙って「固定電話が使えなくなるので光回線の契約が必要」といった詐欺的な勧誘が増えています。今回は便乗勧誘の手口のほか、光回線を契約してしまった場合の対処方法について説明します。
宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
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固定電話は今までどおり使える

現在の固定電話は、公衆交換電話網という中継交換機を使っていますが、これを中継ルータに切り替え、IP網とするのが今回の移行作業です。
 
作業は局内設備の切り替えであり、利用者については自宅での工事など何の作業も発生しませんし、電話機や番号を含め、これまでの固定電話もそのまま使えます。また、IP網では距離が関係なくなるため、固定電話への通話料は全国一律で3分9.35円となります。
 
つまり、固定電話の利用者は工事や手続きなど何もする必要はなく、市外通話が多い場合はIP網への移行により料金が安くなる可能性があります。
 

便乗勧誘の手口

IP網への移行に便乗したトラブルの事例では、光回線の勧誘が多いようです。
 
例えば、「アナログ回線が無くなって今の固定電話が使えなくなるから、光回線にした方がいい。今なら工事費が無料でできる」などと勧誘し、NTTの子会社を名乗ることで信用させて、別会社の光回線を契約させるといったケースがあります。
 
この場合の光回線は、NTTから光回線の卸売りを受けた事業者が提供している光回線サービスです。各事業者が独自にさまざまなサービスと組み合わせて販売しており、NTTの回線は解約となります。
 

光回線の契約は初期契約解除の対象

光回線の契約の場合、契約書面が届いた日を初日とした8日間以内に事業者へ書面で申し出れば、解約料を負担することなく契約の解除ができます。
 
これは、携帯電話や光回線など通信サービスを対象にした初期契約解除という制度で、訪問販売など特定の取引について一定期間であれば無条件で契約の撤回や解除ができるクーリングオフとよく似ていますが、契約の解除に伴い利用者に一部負担が生じることや、対面販売や通信販売のように自分の意思で契約した場合でも一方的に解約が可能であることなどが特徴です。
 
初期契約解除制度では、以下のような理由で契約解除ができます。
 

●サービス内容が理解できていない
●電波の入りが悪くなった
●通信速度が思ったほど速くない
●もっといいサービスがあった
など

 
ただし、以下の費用などは利用者が負担しなければなりません。
 

●契約解除までの期間のサービス利用料
●サービスと同時に購入した機器の代金
●実施済みの工事費用
●事務手数料
など

 

必要がなかった契約を解約したい場合

「勧められるままに契約したが、冷静に考えると必要がないので解約したい」というときには、まず消費者ホットラインに電話して相談しましょう。最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口につながり、専門の相談員が対応してくれます。
 
初期契約解除制度を使って契約を解除するには、決められた書類を作成して申請する必要がありますが、こうした手続きに慣れていない場合は時間がかかり、適用できる期限を過ぎてしまうことがあります。そのため、手続きの内容などについて早めに相談窓口で確認しておくのが確実です。
 

まとめ

光回線の便乗勧誘では高齢者の被害が多くなっており、固定電話のIP網への移行時期が近づくと、さらに被害件数が増加することも予想されます。
 
離れて暮らす高齢の親には、このような理解が難しいサービスの勧誘があったら、その場で契約しないで自分に連絡をするように伝えておきましょう。「息子(娘)に相談しないと決められない」という言葉で、被害を事前に防げることもあります。
 

出典

独立行政法人国民生活センター このままでは固定電話が使えなくなる!? それって光回線の“便乗”勧誘かも

 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士

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