マイホーム有効活用の1つ『マイホーム借上げ制度』ってなに?
配信日: 2018.04.30 更新日: 2019.01.10
今回は、「マイホームを他人に賃貸する」方法として、一般社団法人移住住みかえ支援機構(JTI)の「マイホーム借上げ制度」について解説します。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
マイホーム借上げ制度のしくみ
一般社団法人移住住みかえ支援機構(JTI)の「マイホーム借上げ制度」は、主に50歳以上の人の自宅を終身で借り上げて、原則3年の定期借家契約で若年層を中心に転貸し、一定の家賃収入を住宅の所有者に保証する仕組みです。
最初の入居者との転貸借契約が成立したあとは、仮に空室、空き家になっても、直近の転貸借契約を募集する際に決定した、最低保障家賃が継続的に支払われます。
マイホームを賃貸に出すときは、空き室、空き家になり、家賃収入が得られないのが最大のリスクですので、最低保障家賃があるのは安心ですね。
ただし、手数料がかかりますので、契約前によく確認しておきましょう。
具体的には、空き家・空室積立金10%と管理手数料5%を家賃から差し引いた額が住宅の所有者に支払われます。なお、募集予定家賃は周辺相場の80~90%となります。家賃保証をする以上、周辺相場より家賃を安くするのは仕方ありません。
賃借人との契約は、定期借家契約です。定期借家契約の場合、原則として契約の更新はできませんので、契約期間が満了したら退去しなければなりません。再契約はできます。
定期借家契約のメリットは、賃貸人にとっては、入居者が居座ったり、立ち退き料を請求されるといったリスクから解放される点にあります。通常の賃貸借契約の場合、「契約期間は2年間」となっていることが多いですが、定期借家契約の場合は双方の合意で契約期間を自由に設定できます。「マイホーム借上げ制度」では基本的に3年間となっています。
したがって、3年の定期借家契約終了時には、再契約することも、自宅に戻ることも、売却することも自由に選択できます。
家賃には、国の保証基金による債務保証がありますので、JTIが万一の場合も安心です。
また、もともと賃貸目的のアパート等でなければ、別荘や相続した親の家などでも利用できます。ただし、制度を利用するには、JTIの建物の劣化診断や旧耐震基準の物件については耐震診断が実施され、改修を行わなければならない場合もあります。
マイホーム借上げ制度とリバースモーゲージの違い
リバースモーゲージは、自己所有の自宅(土地付き一戸建て住宅、一部マンションも)を担保に金融機関等からお金を借り入れ、契約者が亡くなったあとに相続人が自宅を売却等して返済する仕組みです。
相続人は保険金や自己資金などで債務を返済すれば、必ずしも売却しなければならない訳ではありませんが、基本的には売却を前提にしています。
マイホーム借上げ制度はリバースモーゲージと異なり、最終的に住宅を手放すことがないのがメリットです。
家賃返済型リバースモーゲージ
「家賃返済型リバースモーゲージ」は、茨城県の常陽銀行とJTIが共同開発したものです。自宅をJTIに借り上げてもらい、JTIから支払われる家賃を担保に、最長35年の家賃額から利息を引いた金額を、5000万円を上限に一括して借りられる制度です。20歳から利用できます。
「マイホーム借上げ制度」と同様のメリットに加え、まとまった資金を確保できるのがメリットです。また、リバースモーゲージと異なり自宅の売却を前提としていません。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。