【家計相談】年収300万円、これからひとり親になります。家計をやりくりするコツを教えてください

配信日: 2022.09.27

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【家計相談】年収300万円、これからひとり親になります。家計をやりくりするコツを教えてください
Aさんは近々離婚をする予定です。離婚後は、現在の仕事を続けながら3歳になる子どもと2人で生活をしていくことになるのですが、年収が300万円ほどで、今後の生活に不安を感じています。
 
ひとり親が利用できる制度や家計のやりくりのコツなどを教えてほしい、とのご相談です。
三藤桂子

執筆者:三藤桂子(みふじけいこ)

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルマザーとあらゆる立場を経験した後、FPと社会保険労務士の資格を取得し、個人事業主から社会保険労務士法人エニシアFP を設立。

社会保険労務士とFP(ファイナンシャルプランナー)という二刀流で活動することで、会社側と社員(個人)側、お互いの立場・主張を理解し、一方通行的なアドバイスにならないよう、会社の顧問、個別相談などを行う。

また年金・労務を強みに、セミナー講師、執筆・監修など首都圏を中心に活動中(本名は三角桂子)。

https://sr-enishiafp.com/

離婚前にすべきこと

どんな理由にせよ、離婚すると夫婦は他人となります。しかしながら、子どもにとっては、お父さん、お母さんです。子どもの健やかな成長のためにも、離婚する際には次のことについて考えてほしいです。
 

1 離婚の理由の明確化

話し合いによっては、協議離婚ではなく、調停や審判になることもあります。また、現状でお子さんにどのように話すのか、さらに、お子さんが成長したときに話をする時のためにも離婚の理由を明確にすることは必要です。
 

2 財産分与・親権・養育費の取り決め

原則、婚姻期間中に築いた2人の財産は半分になります。養育費はお子さんの年齢から養育期間が長いため、取り決めは離婚前に公正証書などで決めておくことをお勧めします。また、離婚の理由によっては慰謝料等の請求が考えられます。
 

3 離婚後の住居、生活設計

引っ越しが必要であれば、引っ越し費用や保育園が変わる等、日常の生活費とは別に費用がかかることが想定され、洗い出しが必要です。
 
例えば、日常生活において、仕事で子どものお迎えが遅くなり、延長保育が必要になることも考えられます。2人でカバーできたものを1人になることで、新たな費用がかかることがあります。
 

4 公的機関等の手続きについて

ひとり親には、要件を満たすことで公的機関から支援を受けることができます。離婚届を提出すると、今後の必要な手続きについて説明があるでしょう。忘れずに手続きしましょう。
 
1人で子どもを育てることは2倍の負荷がかかることが予想されます。しかしながら、収入は基本的に半分となります。不安を解消するために、公的機関等から受けられる手当等をご紹介します。
 

児童手当と児童扶養手当

児童手当は、ひとり親に限らず、0歳から中学校卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)までの児童を養育している人に支給されます。
 
一方、児童扶養手当は、父母の離婚などで、父または母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭(ひとり親)の生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として支給される国の制度です。
 
子どもが18歳に達する日以降の最初の3月31日までにある児童(一定以上の障害の状態にある場合は20歳未満)を監護している母または監護しかつ生計を同じくする父、もしくは父母に代わってその児童を養育している人に支給されます。
 
ただし、請求者および請求者と生計を同じくする扶養義務者等の前年の所得によっては、児童扶養手当の全部または一部が支給停止となります。
 
Aさんの収入のみでお子さん1人の場合、児童扶養手当は一部支給になります(下記の表参照)。給与所得者であれば、会社でもらう源泉徴収票の中の「給与所得控除後の金額」という欄から、自営業など、ご自身で確定申告されている人は、確定申告書の控えの中の「所得金額の合計」を確認します。
 
さらに養育費を受け取っているのであれば、養育費の8割相当を加算した額で限度額が決まります。
 
参考:児童扶養手当で審査する「控除後の所得」の算出方法
児童扶養手当で審査する所得=所得(収入-必要経費)+養育費の8割-8万円-諸控除
 

図表1

 

その他の支援

児童扶養手当を受けていると、市区町村等から支援を受けることができます。主な支援は下記のとおりです。なお、市町村等によって支援の内容や有無が異なります。制度等の詳細等はお住まいの市町村等に問い合わせしましょう。
 

<医療費助成>

シングルマザー(母子家庭)の医療費助成は、「マル親」と呼ばれるものです。助成の対象者は次のとおりです。

(1) 児童を監護しているひとり親家庭等の母または父
(2) 両親がいない児童などを養育している養育者
(3) ひとり親家庭等の児童または養育者に養育されている児童で、18歳に達した日の属する年度の末日(障害がある場合は20歳未満)までの人としています。

なお、所得限度額以上、生活保護を受けている場合などはその対象から外れます。助成対象は、国民健康保険や健康保険など各種医療保険の自己負担分から一部負担金を差し引いた額が助成されます(住民税非課税世帯は、医療保険の自己負担分。なお、市町村によって異なる場合があります)。
 

<修学援助制度>

学校教育法第19条により、小学校または中学校に在籍する児童生徒の保護者に対して学用品費通学用品費など、必要な援助を行っています。認定基準や援助費目など異なるため、詳細はお住まいの市町村にお問い合わせください。
 

<上下水道料金の減免>

児童扶養手当または特別児童扶養手当を受給している場合、基本料金および基本料金に関わる消費税等相当額が減額される場合があります。詳細はお近くの水道局等へご確認ください。
 

ひとり親家庭等の支援

経済的・精神的にも、ひとりで子育てをする不安や悩みを相談等できるところがあると心強いものです。厚生労働省で行う、「ひとり親家庭の子育て・生活支援関係の主な事業」は次のとおりです。
 

図表2

 

まとめ

2022年の厚生労働省「ひとり親家庭等の支援について」によると、母子世帯の母自身の平均年収は243万円(うち就労収入は200万円)となっています(平成28年度全国ひとり親世帯等調査)。
 
すでにAさんは就労されているので、まずは何にいくらかかるのかを洗い出しすることが必要です。また、お子さんが小さい時は、思うように仕事ができない時の出費を考慮します。
 
慣れない生活は、経済的・精神的にも不安になることが多いかもしれません。ひとりで悩まずに、職場の人や友人など話を聞いてくれる人がいると心強いものです。また、ひとり親の相談窓口や母子家庭の支援する制度を活用することをお勧めします。
 

出典

厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課 ひとり親家庭等の支援について(令和4年4月)
厚生労働省 「児童扶養手当」についての大切なお知らせ
厚生労働省:児童扶養手当制度の概要
厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告
 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

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