更新日: 2022.09.28 その他暮らし

【大雨や台風】浸水被害に遭ったら、どうやって生活を建て直せばいいの? 公的援助にどんなものがある?

執筆者 : 菊原浩司

【大雨や台風】浸水被害に遭ったら、どうやって生活を建て直せばいいの? 公的援助にどんなものがある?
地球温暖化に伴う気候変動によって大雨の日数が増えたり台風が大型化したりすることで水害のリスクが高まることが予想されます。住宅が浸水被害にあった場合、大きな経済的損失を被るかもしれません。水害への備えや公的援助について把握しておきましょう。
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

地球温暖化により水害リスクは上昇

地球温暖化に伴う気候変動の影響で、台風の大型化や降水量が増加し、水害や土砂災害のリスクが高まっていくと予想されています。水害には河川の氾濫による外水氾濫や下水があふれてしまう内水氾濫があります。また、ため池が決壊し大きな被害をおよぼすこともあり得ます。
 
水害にはさまざまな形態のものがあるため、近くに河川がなくても、お住まいの地域がどのような災害リスクにさらされているかを把握するため、自治体などが発行している洪水やため池などの各種ハザードマップを定期的に確認しておきましょう。
 

水害の修繕費は?

住宅に生じる浸水被害として、浸水深が50cm以下程度で主に基礎部分が浸水する「床下浸水」と、浸水深が50cmを超え居室内まで浸水してしまう「床上浸水」があります。
 
床上浸水では置かれていた家電はもとより、コンセントなどの配電設備や壁・床板などさまざまな設備・建材に被害が及びます。床下浸水であっても基礎部分の排水や除湿などで多額の修繕費が必要になり、被害の状況にもよりますが数百万円単位の修繕費が必要となることもあります。
 

水害への公的援助の種類は?

水害に対する主な公的援助として「被災者生活再建支援制度」と「災害救助法の応急修理」があります。各制度の適用条件と支援内容について確認しておきましょう。
 

被災者生活再建支援制度の概要

被災者生活再建支援制度は、お住まいの地域に水害や土砂災害などで一定件数以上の被害が生じた場合などに適用されますが、支援対象者は損害割合30%以上40%未満の「中規模半壊」以上の著しい損害を受けた世帯に限られます。
 
支援金の支給額は、被害の程度によって支払われる基礎支援金と再建方法によって支払われる追加支援金に分かれています。なお、基礎支援金と加算支援金は、支援内容が違うのでどちらも支給されます。
 

 
※単身者の場合は4分の3の支給額となります。
 

災害救助法の応急修理とは?

一定以上の災害が生じた際に、応急仮設住宅を利用せず、自宅を応急修理して生活を続ける場合、災害直後の応急的な生活を支えるため、災害救助法によって応急修理費用が支給されます。
 
支給額は最大で1世帯あたり54万7000円が限度となります。半壊以上の被害を受けた場合に申請することができますが、半壊の場合は所得制限があり、原則として前年の世帯収入が500万円以下でないと適用を受けることができません。
 
なお、応急修理は、大規模半壊、中規模半壊など支援法の対象となる被害が生じた世帯であれば、被災者生活再建支援金も合わせて活用することができます。
 

まとめ

地球温暖化に伴う気候変動によって今後は水害のリスクが高まっていくと予想され、各種ハザードマップを定期的に確認し、お住まいの地域の水害リスクを把握しておくことが大切です。
 
万が一水害による被害を受けた場合は被災者生活再建支援制度や災害救助法の応急修理といった公的支援を利用することができますが、適用を受けるには一定以上の規模の災害で、かつ住宅に著しい損害が生じる必要があるため、支援対象外となった場合は自力で生活再建を進める必要があります。
 
住宅が浸水被害を受けた場合、数百万円単位の修繕費が必要となる恐れもあるため、支援制度の対象とならなかった場合の経済的負担は大きなものとなってしまいます。水害リスクに備えるためには公的支援制度を把握しつつ、民間の火災保険などを利用するなどして複数の対策を立てておくようにしましょう。
 

出典

内閣府HP「被災者生活再建支援制度の概要」

内閣府HP「住宅の応急修理」

 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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