更新日: 2022.09.28 子育て

大学無償化「落ちた」を防ぐには? 適用要件を解説

大学無償化「落ちた」を防ぐには? 適用要件を解説
大学無償化(高等教育の修学支援新制度)は、家庭の経済状況に関わらず進学意欲を持つ学生が大学に通えるよう、授業料や入学金の免除・減免や給付型奨学金を受給できる制度です。
 
給付を受けるためには「所得・資産・学ぶ意欲」3つの適用要件に合致する必要があります。
 
本記事では、せっかく申請したのに大学無償化に「落ちた」という事態に陥ることのないよう、押さえておきたい適用条件のポイントを解説していきます。
木元泰徳

執筆者:木元泰徳(きもと やすのり)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

適用要件1:所得

大学無償化の1つ目の要件は、所得の状況です。
 
学生と保護者の合計所得金額などを元に、定められた数式で金額を算出し、基準額以下であれば給付が受けられます。
 
基準額は図表1のとおり1・2・3の3つに区分され、それぞれ受けられる給付金額が変わります。
 
【図表1】

図表1

 
出典:文部科学省「授業料等減免額(上限)・給付型奨学金の支給額」より筆者作成
 
独立行政法人日本学生支援機構のパンフレットでは、給与所得者の父親と無収入の母親、本人と高校生のきょうだいがいる家庭を例に取り、第1区分(住民税非課税世帯)は年収300万円未満、第2区分は年収300万円以上400万円未満、第3区分は年収400万円以上460万円未満と紹介されています。
 
実際にどの区分に分類されるかは本人や家族の状況によって変わるので、ケースごとに確認、計算する必要があります。
 

適用要件2:資産

2つ目の適用要件は、資産状況です。 
 
学生と保護者の保有する資産の合計額が基準額以下であれば、補助対象となります。
 
基準額は、生計を維持する人が2人の場合、2000万円未満。1人の場合は、1250万円未満です。対象となる資産の範囲は、現金や預貯金、有価証券などの合計額で、不動産は対象に含まれません。
 

適用要件3:学ぶ意欲

そして3つ目の適用要件は、本人の学ぶ意欲です。
 
高校3年生時点で申請する場合、高校2年生までの評定平均値が3.5以上の場合は進路指導等で、3.5未満の場合はレポートや面談でそれぞれ学修意欲を確認します。評定だけで決まるわけではないので、所得・資産の要件を満たす場合は諦めずに申請を試みてみましょう。
 
また、大学入学後の適用要件は1年生のときと、2~4年生のときで異なります。
 
1年生のときの要件は下記4項目のうち、いずれかに該当する必要があります。

(1)高校の評定平均値が3.5以上であること
(2)入学試験の成績が入学者の上位1/2以上であること
(3)高卒認定試験の合格者であること
(4)学修計画書の提出を求め、学修の意欲や目的、将来の人生設計等が確認できること

2~4年生のときの要件は下記の2つのうち、いずれかに該当する必要があります。

(1)在学する大学等における学業成績について、平均成績等が上位1/2以上であること
(2)修得単位数が標準単位数以上であること、および学修計画書の提出を求め、学修の意欲や目的、将来の人生設計等が確認できること、いずれにも該当すること

また、留年した場合や修得単位数が標準の5割以下であることなど、特定の条件に当てはまる場合は給付を受けている途中で打ち切りになる場合があります。さらに、学業成績が著しく不良な場合や、退学・停学などの処分を受けた場合には返還を求められるケースもあります。
 

要件を確認した上で申請を

大学無償化の制度を申請して、思いがけず非採用とならないためには「所得・資産・意欲」という3つの条件を満たし、一度認定を受けた後も条件に合致し続ける必要があります。
 
経済的に困窮していることから大学への進学を諦めかけているという場合は、本記事で紹介したポイントを参考に、まずは適用条件を確認するところから始めてみましょう。
 

出典

文部科学省 高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)
 
執筆者:木元泰徳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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