電力の一律買取制度が変わる! FIP制度のポイントと「太陽光発電」の注意点とは?
配信日: 2022.09.29
しかし、2022年度に「電気事業者による再⽣可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が改正され、50kWh以上の発電所はFIP制度も選べるようになっています。
本記事では、2022年度にスタートしたFIP制度の概要や太陽光発電投資を始める上での注意点について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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FIP制度の概要
FIP(フィールドインプレミアム)制度は、市場価格連動型の新制度です。従来の固定価格買取制度と異なり、補助金の額はどの時間帯でも一定です。
市場価格に応じて売電価格は変動し、一般的には太陽光発電による電力供給量が多い昼ごろは売電価格が安くなり、夜は高くなります。固定価格買取制度と異なり、太陽光発電ができない夜間に電力を供給することによって、高く買い取ってもらえるようになります。
FIP制度から考えられる太陽光発電の注意点
FIP制度が強制的に適用されるのは1000kWh以上の発電所のみとなるため、大規模な太陽光発電投資を考えている人以外は、短期的な影響は少ないでしょう。
ただし、これから太陽光発電投資を始める人は、3つの注意点を認識する必要があります。
1.売電価格が上がる可能性は低い
2012年度では1kW当たり34~42円だった売電価格は、2022年度には10~17円に暴落しています。1000kWh未満であれば、売電価格は10年間または20年間固定されるものの、その後の売電価格はどうなるか分かりません。
2012年度以降一度も上がったことがない売電価格が、上がる可能性は低いです。太陽光発電を始めた当初から十分な収益が確保できない場合、将来的に赤字になる可能性も考えられます。
2.FIP制度の対象範囲が広がる可能性がある
経済産業省資源エネルギー庁の資料によると、将来的には太陽光発電を含む再生可能エネルギーの完全自由化を検討しています。FIP制度は自由化を目指すための段階的な措置であり、将来的には対象範囲が広がる可能性もあるでしょう。
2022年度現在では選択制となっている50kWh以上~1000kWh未満の発電所についても、FIP制度が強制的に適用される可能性があります。
3.太陽光発電事業者のコスト増になる可能性が高い
FIP制度が適用されれば、昼間に電力供給を行っても十分な売電価格にはならないでしょう。売電価格が高い夜間に電力供給を行うためには、蓄電池を設置して昼間に発電した電力をためておく必要があります。
太陽光発電の維持費だけでなく、蓄電池の設置費用や管理費用も必要になるでしょう。
太陽光発電投資を検討している人は注意が必要
売電価格が高かった当初はメリットの大きかった太陽光発電も、今後の状況は厳しいといえます。
これから太陽光発電投資を考える人は、将来的な売電価格の下落も考慮した入念なシミュレーションが求められるでしょう。
出典
資源エネルギー庁 再エネ特措法改正関連情報
資源エネルギー庁 FIP制度について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部